2009年12月29日
2023年9月14日
カール・セーガン 「悪霊にさいなまれる世界」上下巻 以前、ニセ科学批判を行うサイトで紹介されていて、ずっと気になっていた本。文庫で出ていたので買ってみた。読みやすい文章だが、内容は濃いので読破するのに結構時間がかかった。 「人は誤りを犯すものである」だから、エラー修正機能は必須であり、それが正常にかつ偏りなく機能するためには、言論の自由が保障された社会と充分な教育が必要である、という話。 「懐疑的」という言葉の誤解もこれで解けた。「○○に懐疑的」というと、かなり否定的なニュアンスにとらえられがちだが(マスコミの責任も大)、「懐疑」は否定することではなく、「本当…
ギネ終了! JINあと一回。
2009年12月14日
2009年12月14日
とうとう最後まで観てしまった「ギネ」。案の定な終わり方だったが、最後近くの君島先生のセリフはなかなかだったので、再録しておく。
小笠原行きの船に乗り込む列に並ぶ、柊先生とその息子。そこに駆けつけた玉木と君島。あなたは小笠原で何をする気なの? と詰問する君島に柊先生
「まだ具体的には何も決めていません」(←息子も連れてくのにこれはないよね)「徳本さんのことがあって考えました」「小笠原には産科医がいない、島の妊婦さんと生活をともにすることでもっとお産を知りたい」「高度医療の現場だけがお産ではないと思います」
などと力説。君島先生怒り心頭、
「女学生みたいな…
とほほのギネ、いとしのJIN
2009年12月7日
2009年12月8日
今週の「JIN」も、見どころたくさんで満足でありんした(←変)。
江戸の大火の場面が一番の見せどころだったと思うが、今回なんといっても鈴風さんが仁に迫る場面が。
何しろ大沢たかおさんは、 困った顔をさせたら天下一品 の俳優(と勝手に断言)。吉原の花魁といえば名実ともに女子力最強、しかも恋人激似の鈴風さんのなりふり構わないアタックに、耐えに耐えて、あぁもうダメかも……と自制心がついえていく風情、胸キュンしなかった女子はいないであろう。
いや微妙に女子の感覚じゃなかったかも。私はあの場面観て、若くてすれてない、可愛い女の子に目じりを下げるオジサンの気持ちが一瞬…
「ギネ」を観るなら「ノーフォールト」を読むべし!
2009年11月30日
2023年9月14日
さてさて毎回突っ込みどころ満載のドラマ「ギネ」の原作。 「ノーフォールト」上下巻(岡井崇、ハヤカワ文庫)
近所の本屋に平積みされてたので、図書券使って買った。 ちなみに「「無過失(ノーフォールト)医療補償制度」とは「医師・病院にミスがあってもなくても、患者や遺族に充分な補償がなされる制度」のことで、日本でも今年からようやく産科医療補償制度が始まったらしい。 ふむふむ。読んだ(ほぼ一気読み)。
…………
柊せんせ、キャラ違う!
てか、ぜんっぜん、違う話やないかい!
予想がついていたことではあったが、あまりの違いっぷりに脱力した。小説をドラマ化やアニメ化、映画化…
さすがの「JIN」、なんでか「ギネ」
2009年11月26日
2009年11月26日
「JIN」はすっごい視聴率みたいだ。五回目以降から二十パーセント超え。もちろん今クールではぶっちぎりのトップばく進中♪ 私も欠かさず観ている。 毎回、何かしら事件は起こるのだが、それが大仰な感じじゃないのがとてもいい。俳優もベテランぞろいで、全体的に抑制された演技、演出のおかげで、テーマがくっきり際立つのであろう。小道具や伏線もさりげなく、だがぴりりと効いている。何より、ひとつひとつのセリフを、ひとりひとりがすごく大事に、誇りを持って言っている、その気持ちがビンビンに伝わってくるのもいい。そういうのが役者の技術ってもんなんだろうなあ。 金八先生、じゃない緒…
「沈まぬ太陽」山崎豊子 を読んだ
2009年11月21日
2023年9月14日
「沈まぬ太陽」山崎豊子 新潮文庫
文庫本にして五冊の大作。映画化されて一躍脚光を浴びている今買うのは気恥かしかったが(へそまがりなので)、一巻だけ、と買ったらあれよあれよと引きこまれ、ついつい全部読んでしまった。「不毛地帯」の時も同じ感じ。何がいいって、主人公にしびれるんである。有能かつ人格も行いも高潔、一本筋の通った男を書かせたら、山崎さんの右に出るものはいない。少年漫画に出てくる、男性にとってだけの完全無欠な美少女と同じく、現実にはいない男性だとしても、やっぱりいいものはいいんである。
元・毎日新聞学芸部で、かの井上靖のもとで記者として働いたことの…
四十代主婦、西尾維新を読んでみた
2009年11月17日
2023年9月14日
中学生の娘が最近、ライトノベルばっかり読んでいる。 と、以前の日記にも書いた気がするが、相変わらずである。 このところ、やっと私にもわかる、というか聞いたことのある作者のものを借りてきたので、読んでみた。 「クビツリハイスクール」西尾維新 おどろおどろしいタイトルの割にこのアニメな表紙、ポップな装丁。世間一般で言うライトノベルのイメージそのものの外見に、正直のっけから引いた。 で、二ページほど読んでみて。 おお、案外文章は確りしている(失礼!)。四十代の、本にはちょっとうるさいオバちゃんの目にも、特にひっかかることなくするする読める。登場人物の名前と喋り方と設定そ…
ギネ~やっぱり観るのやめたっ!
2009年11月14日
2009年11月14日
もう一度納得いかないことがあったら、観るのやめる、と言った。 この間の水曜日、五回目。 柊先生、前回の騒ぎにより、産婦人科から婦人科に移らされる。 柊「嫌です! 私、お産が好きなんです ! 移りたくありません」 (中略) 先輩医師「君は、死から逃げてる。自分の母親の死からも、徳本さんの死からも。医者がそれではダメだ。医者に必要なのは客観性。それを身につけて冷静になるまでは、執刀はさせない」 (中略) 柊「いやです! 私は逃げてません! 死を考えているからこそ産婦人科医になったんです!」 (中略) 先「婦人科でダメなら、あとは辞めてもらうしかない。よく考えろ」 また別の場面、…
文學界特別賞・合原壮一朗「狭い庭」について
2009年11月11日
2009年11月14日
いつも手厳しい講評をする花村萬月さんと松浦理英子さんによる、特別賞をとった作品。 作者は高校三年生の男子。特にストーリーらしいストーリーはなく、作者と等身大と思われる主人公の日常の脳内探検といった趣の作品。 新人賞を獲った「ディヴィジョン」とは対照的に、真っ正面からの自分語り、こういう文章を照れもなくすぱーんとかけるのはこの年齢がぎりぎりかもしれない。特別賞を与えたお二人も「これからどう、とかいうのはとりあえず問題にせず、今、世に出しておくのもいいと思った」と異口同音に仰っている。 内容はかなりの不思議ちゃんだが、文章自体には破たんがなく、几帳面だ。何もそこ…
どちらが信用できる医者か?
2009年11月10日
2009年11月10日
ドラマはたまーにしか観ないのだが、何年に一回か、継続して観てしまうことがある。今年はそういう年らしい。 このところよく観ているドラマは二つ。どちらも医療系である。 1.「ギネ~産婦人科の女たち」 2.「JIN―仁―」 この間の回で出たセリフ: 1.柊医師「○○さんは、死にません!」 2.南方医師「死ぬことも、救いなんだよね」 状況を簡単に説明すると、1.は帝王切開後に出血して、再手術になった(手術は成功、だがその後感染症で命を落とす)患者に対して言った言葉で、2.は、末期の梅毒患者に手を尽くしたものの、亡くなってしまったその後につぶやかれた言葉。 私は幸い、命に関わる…
十月に読んだ本 その一
2009年10月16日
2023年9月14日
「ミーナの行進」小川洋子 ものを書くひと、というのは皆多かれ少なかれそうなのかもしれないが、小川さんは記憶、というものにすごくこだわりのある人だと思う。 値千金の記憶を持つ人間は強い。ほんの短い間でも、幸せな記憶があれば、人間大抵の辛いことには耐えられるという。「人を幸せにする記憶」を丁寧に書き綴った切ない一篇。 「悪人」吉田修一 吉田修一さんの作品はこれが初めて。犯人が誰か、途中までうまくボカしながら進んでいく構成はとてもいいと思った。犯人がはっきりと判明した後でも、登場人物がそれぞれしっかり動いていくので飽かずに読み進められた。この中で一番の悪人は誰だろう…
自転車で右折のときは、曲がり角に寄らないで!!
2009年10月1日
2009年10月1日
最近、母親+前後に子ども二人、の三人乗りが条件付きで認められ、 小学生まではヘルメットをかぶれだの 横断歩道は降りて引いて渡れだの 自転車まわりの論がかまびすしい感じですが 昔から、ひとつ言いたいことがある! 自転車で右折のときは、曲がり角に寄らないで!! どういうことかといいますと・・・・・・ 自転車は左側通行という決まりです 当然左折するときは、曲がり角に沿って曲がる形になります ところが ここで右折してきた自転車とぶつかりそうになったことが、一度や二度ではない この間は 小さいお子さんを乗せたお母さんの自転車が当然のように曲がってきて あと数秒気がつくのが遅れたらえらいこ…
九月に読んだ本 その5
2009年9月28日
2023年9月14日
新型インフルの嵐がやっとおさまった(うちだけ)と思ったら、もうすぐ十月……ああ。 というわけで読書の記録を急ぎます。 「白夜行」東野圭吾 舞台化、ドラマ化されております。 えー、一言でいいまして、私が今まで読んだ東野作品の中で最高傑作です。直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」も傑作ですが、それよりも時間軸が長く、物語の層があつい。「胸を打つラスト」という言い方がありますが、まさにその言葉どおり、読後は本当に哀しく胸が詰まる。タイトルもこれ以外のものは考えられないというくらいぴたりと嵌っている。東野さんに小説の神が舞い降りたのだとしか思えない。 続編っぽい作品もあ…
九月に読んだ本 その4
2009年9月21日
2023年9月13日
連休ですね 連休ですが 長女が新型インフルエンザにかかり(それもご丁寧に連休一日前) 土曜日のはずだった体育祭も延期になったので 自宅にお籠り状態のおさ子一家でございます 長女は別室に隔離状態なので幸い他の家族に感染してはいないようですが(今のところ) もう、読書くらいしかすることない というわけでばんばんいきます♪ ネタバレ注意! 「五月の独房にて」岩井志麻子 美容師バラバラ殺人事件、という実際にあった事件を元に書かれたものですが、解体部分がリアルで怖い。主人公=犯人の女は、山岸涼子「天人唐草」風味。 「シャトウルージュ」渡辺淳一 いわずとしれたR-18設定ですが、それを目…
九月に読んだ本 その3
2009年9月15日
2023年9月13日
「魂萌え!」桐野夏生 ドラマ化・映画化もされております(残念ながらどちらも観ていません) 前回「グロテスク」を読んだときと同じように、一気に読み終わりました 突然伴侶を失った妻の混乱を描いた話で、桐野作品には珍しく明るいラスト (いや、よーく考えると明るくはないのかもしれない) 主人公・敏子は59歳で、夫は会社を定年まで勤め上げた真面目なサラリーマン、都内に古いながらも一戸建てを構える、年金も一か月十五万ほどある いわゆる「最後の恵まれた世代」 桐野さんのことだから、かなりキツイ書き方をするかと思いきや、主人公およびその周辺の、同年代の女性たちに対する視線は優しい 今…
九月に読んだ本 その2
2009年9月13日
2023年9月12日
読書の秋でございます 熱中症の余波で弱っていた体も、このところの涼しさでようやく元に戻りつつあります 何より読書が普通に出来るようになったのは嬉しい♪ というわけで、再び 花村萬月さん「皆月」 第19回吉川英治文学新人賞を獲得しております 他の候補作には桐野夏生さんの「OUT」、佐藤多佳子さんの「しゃべれどもしゃべれども」 などそうそうたるメンバー 映像化もされています wikiでみたら、奥田瑛二さん主演、由美役が荻野目慶子さん 奥田さんはちょっとかっこよすぎかいな、とは思うものの、こんど借りてみようと思います 「みんな月だった」という謎のメッセージを残し失踪した妻を探しに…
九月に読んだ本 その1
2009年9月9日
2023年9月12日
その前に「シャングリ・ラ」の話をしておこう、ちょっとだけ SFファンタジー大長編(といっていいのだろうか)池上氏の本はこれが初めて ゲームはあまりしないのではっきりはわからないが、「何か使命を持った主人公が」「苦難を乗り越えて」「必要なアイテムを集め」「その世界の王に君臨する」というストーリーは神話を基としたロールプレイングゲームの王道といってもいいかもしれない 形としてはオーソドックスなのだ あとはキャラだが、よくもまあこれだけ濃いいキャラを自在に操れるものだと感心 しかも、誰も死なない(笑 悪役の小夜子およびそのさらに敵役、というお姉さんなんてもうターミネータ…
8月に読んだ本 その2
2009年8月24日
2023年9月12日
「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん 爽やかでほろ苦、だが温かい読後感。欲をいえば、毒がなさすぎる感じだろうか。 だがこの心地よい世界は癖になる。挿絵がカッコイイ。てかカッコ良すぎ? 「守宮薄緑」花村萬月 短編集。単に寄せ集めたのではなく、「短編集」として考えに考えた本だという。 どれも読みごたえがあって面白かった。 本人がこれだけ毛色がちがう、と仰っている「犬の仕組」が一番強烈ですばらしく怖く、好き。 今「シャングリ・ラ」池上永一を読んでる途中。何といってもアイディアが素晴らしいし、作家本人がとても楽しんで書いているふうがうかがえて羨ましい(って実際には苦しいのだろ…
8月に読んだ本 その1
2009年8月21日
2009年8月27日
「悼む人」天童荒太 この方の作品は「永遠の仔」をずっと前に読んだきり 文章がうまく物語も起伏に富んでいてどんどん読み進められる感じだったが なぜかそれ以外の作品には手が伸びないまま現在に至った 最近、文芸誌に載っていた短編を読んだのをきっかけに 実家にあった本書を二日で読破 何年もかけて書き上げた小説だという 決して「社会派」といわれるようなジャンルの小説ではないのに、 巻末の「参考文献」が多いことに驚いた 「悼む人」が荒太さんの中で熟成していくあいだ TVや新聞やネット、さまざまな本、のなかから 普通に生活するなかから 見たこと聞いたこと思ったこと感じたことのすべて シンプル…
残暑お見舞い申し上げます
2009年8月8日
2009年8月8日
蒸し暑い日々が続きます 皆様いかがおすごしでしょうか さて わたくしの家は明日からお盆モードです しばらくネットともお別れです 皆様も よいお盆休みを 読んだ本 山本文緒「落花流水」
七月に読んだ本 その2
2009年7月25日
2009年7月31日
「僕たちの戦争」荻原 浩 こちらも図書館で借りました、荻原さんも実はお初 気にはなっていた作家さん、および作品なので これは読まねばなるまいと思ったのでした さてその理由ですが この作品読まれてない方はここからネタバレです、注意! 茨城の海辺でサーフィンをしていた現代の若者と 終戦前年、同じ海で訓練飛行していた海軍の若者が 入れ替わる形でタイムスリップします 二人は誰もが見間違うほどよく似ていて、それぞれの時代で騒動を巻き起こします じつは以前、やっぱり現代の若者が突然終戦前年にタイムスリップする という長編を書いたことがありまして 初めての長編だったもんですから(といいわけ…
七月に読んだ本
2009年7月22日
2009年7月31日
図書館でまとめ借りした本の数々についてのメモ 「長い長い殺人」宮部みゆき えーと、これは「模倣犯」の前振りのような作品でした 最初はそれほど深くつっこまないつもりだったのかな? 何しろ語り手が「財布」 なんとなく可愛い、ですし描写もさすがにうまいのですが 先に「模倣犯」を読んでしまった私には物足りなかった まだ「模倣犯」いってない方はどうぞ♪ 「メタボラ」桐野夏生 朝日新聞に連載していた当時、ちょっとだけ読んだことがあって、ずっと気になっていた作品でした 記憶を失った「僕」の行く末は、続きを読んだら余計迷宮にはまった感じですが 人物造形、構成さすがにうまい 出てくる男子がい…
ラノベのチラ見
2009年7月6日
2009年7月6日
最近、中学生になった長女はいわゆる「ラノベ」=ライトノベルばっかり読んでいる 学校の図書室に山と置いてあるそうな 表紙は漫画風イラスト 作者名もどことなく漫画家風な、普通ではちょっとありえない名前 あまりに毎日のように借りてくるので どんなもんかと開いてみたら なんじゃこりゃー! ある場面で八人の登場人物が出てくる、しかも一気に 戦闘シーンとかいうのではなく 一つの部屋に八人がいる さて、あなたは書けますか?八人の場面 それがどういうのになってるかというと (名前は仮名、セリフは創作となっております(笑)) 「ねえ、ちょっと」 とアリサ。 「なに」 ロン。 「これ誰が撮ったのかな?」 サ…
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