「国宝」

  私としては珍しく封切り日に観た。平日とはいえさすがにお客さん多い。結構長い映画なのに最後まで殆ど誰も席を立たず。


「国宝」李相日(2025)

 いやーーーーー凄かった。大河をぎゅーっと圧縮してまとめて観た感。メンバーも大河でお馴染み多しのそうそうたる顔ぶれ。あえて事前知識をなるべく入れずにいたので、序盤で背中にモンモン入れてた少年(黒川想矢くん:「怪物」の湊役!)がどっちなのかちょっと迷った(いや流石に主人公が誰かは知ってたけどさ)。つまりガラスの仮面でいうところの「二人の王女」、アルディスが吉沢亮でオリゲルドが横浜流星のところ逆にしたんかなーなどと失礼な事を考えたりもしてた。だけどそんなこと全然なかった。流星さんの色気と器用さが、歌舞伎の家の血の効用(?)として違和感なかったし、亮さんの目にはハッキリ狂気が見えた。取り憑かれた者の持つ狂気が。

 そもそも役者とはいえ全くの初心者なのに、あの歌舞伎の動きを短期間でものにするばかりか、国宝たる境地に至るまでを演じるなど正気の沙汰ではない。時間軸の長い物語ゆえ正直駆け足感否めないところはあったが、そんなことは些細なことで(むしろよくもよくも三時間に纏めた。それこそ一年かけて大河でやってもまだ足りないと思う)、とにかくこの二人の天才の、一世一代の演技を見せていただいたことに感謝しかない。

 歌舞伎といえば所作の美しさをまず連想するけど、それだけじゃない。メチャクチャ激しい。一体どうやったらそんなことできるの無理……という動きのオンパレード。これ全て型があるのよね。型を完璧にマスターして身体に覚え込ませてからがスタート。いやエグい。完全にアスリートじゃん。

 原作者の吉田修一さんは裏方として何年か歌舞伎に関わり、そのうえで小説を書いたらしいけれど、此方もある意味狂気だよね。何としてもこの世界を書きたい!という狂気。クリエイティブは甘くない。そりゃそうだよね、命を削って限界超えて作るものだもの。この映画に、この美しき天才ズに巡り会えた幸運をかみしめる。タイトル通り、国宝級の面白さでした。

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