「ベルサイユのばら」(映画)

 ムッスメネトフリシリーズ略してMsNFs。←かえってメンドクサイだろこの略


「ベルサイユのばら」吉村愛(2025)

 これも映画館で観損なったというか、観に行くのちょっと迷ってるうちに終わっちゃったやつ。ベルばらはドストライク世代なので、今更映画かーうーん、などと二の足を踏んでしまった。スマホ画面で観終わった感想は「やっぱり行っとけばよかったなあ」である。

 勿論時間制約があるため、内容はかなり端折られてる。あくまでオスカルとアンドレ二人の愛が中心で宝塚のそれを思わせるミュージカル仕立てなのだが、これがまあとんでもなく似合う絵面であり物語である、ということを改めて実感した。あの時代に「ベルばら」を演目の題材に選んだ宝塚の慧眼恐るべし。と同時に、宝塚の「その物語の核となる要素を揃え、主となるイメージを的確に捉えた上で独自の世界を構築する」技をこの映画の方もガッツリ踏襲しているのである。重い歴史的事象を背景に、まさに「バラたち」が咲き誇る一瞬の輝きを二時間足らずの枠の中に綺麗に封じ込めてみせた。これは初見だろうが小うるさい古参だろうが等しく胸打たれますわ。天晴。

 何より「オスカルはフランス革命の端緒、かかげられた理想が一番輝いた瞬間に命を落とした」ことが、漫画より尺が短いが故により強調された感が良かった。オスカルが最愛のアンドレとともに命を賭けた「正義」は美しくピュアなまま永久保存、漫画ではその先もアントワネット目線で語られるが、まあオスカルもアンドレも見ないで済んでよかったですねという暗黒の未来だ。映画ではナレーションで淡々と歴史的事実を述べてて、これも悪くなかった。

「革命」というものがいかに移ろいやすく、過激な方向に振れやすい危うさを抱えたものか、フィクションの形で小学生のみぎりに叩き込まれた私は実に幸運だったと思う。当時は言語化できてなかったけどね。池田理代子さんありがとう。元となったシュテファン・ツヴァイクさんありがとう。改めて、ベルばらは紛れもなく不朽の名作!と当たり前の真実を叫んどく。

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思い出の痕跡

  最近、夢の感じが少し変わって来たような気がする。以前より画像が鮮明かつ感触もしっかりある。何でだろう?


 学校にいる。年齢的には高校生なのだが、校舎は通っていた小学校のそれに似ているようだ。三階の一番端にある特別教室に入ろうとしたところ、男子が横から割り込んできた。咎めると、彼は私にハンドルを渡して「代わりにやってくれ」と言う。部屋に入り、奥の機械にハンドルを取り付けたもののけっこう重くてなかなか回らない。ハンドルの回転と同時に大きな扉のようなものが上下に開いていく。回しきったが中に何があるのかはわからなかった。

 授業が終わったので廊下に出た。次は漢文の試験があるという。私は驚いて

「えっ何も勉強してない!ノー勉で受けるしかない」

と口走り、友達にヤバイじゃんと笑われた。何で何もやらなかったんだ?まあでも今持ってる知識で少しはいけるか、出来なかったにしても一度のテスト結果くらい何てことないだろう、と思う。

 自分のクラスの教室に入ると、映画が始まって皆で観た。左側の席の男子がずっと実況している。主人公の隣にいる井上が、と「井上」の話ばかりしている。誰の事かはわからない。

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「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(映画)

  実は封切り直後に観ていた。だいぶ感想が出そろった感もあるし、もうええやろと。

 当日は時間をちょっとだけ勘違いしていて、予告編終了直前にギリ駆け込み。もちろん平日昼間だが一番広い部屋でかなり席は埋まってました。


「プロジェクト・ヘイル・メアリー」フィル・ロード&クリストファー・ミラー

Project Hail Mary / Phil Lord & Christopher Miller(2026米)


 のっけからワクワクが止まらず、ずっとウキウキしつつ観てた。もちろん時間制限のある映画であるからして、上巻でグレースがわけもわからず悪戦苦闘するところはかなりコンパクトに端折られていたものの、何しろグレース役のライアン・ゴズリングが本人連れてきた?!と思うほどイメージ通りだった。「ダイ・ハード」でのブルース・ウィリスよろしく、困った顔が絶妙に似合う俳優というのは案外少ない。眼鏡の使い方も含めナイスキャスティング。「ラ・ラ・ランド」に出てたのは知ってたが、「バービー」のケンもか!!おもろ!!紛れもなく実力派俳優ですね。

 そしてロッキー。まずロッキーの宇宙船がメチャクチャかっこよの上超絶美しい!何だアレは。特にエアーロック!これまた美しい!まるで魔法のような動きにうっとりする。映画ならではの表現よね。あれで折り紙とか、飛び出す絵本とか作ってほしいわ(高そう)。ロッキーはもっと恐ろし気な外見をイメージしてたので予告編の時点で怖さが足りなくない?と思っていたのだが、もういい。可愛いので許す。可愛いは正義。

 地球組もよかった。カールはまたもそのまんま。エヴァは正直イメージ違った。原作のエヴァは「何事にも動じない仕事デキのつよつよ女史」で殆ど感情を見せない。ただ映画においてそのキャラで行くと、エヴァの良さを理解されないまま終わりそうな気はする。すごい頼りになるしかっこよで私は好きだけど、ただ冷たいだけの女って印象になりかねない。なので映画のエヴァはエヴァで原作とは別人として考えた。実際別だ。原作のエヴァならカラオケ歌わない(あの場面でエヴァの差異は全く気にならなくなった。ナイスアイディアだ)。

 しかしいつも思うけど、こうして全世界が一丸となって世界の危機に立ち向かうっていいよね。現状をみるに到底無理な気もしてくるけれども、それはそれで。映画は夢の世界だから。

 それにしてもグッズがないのは不満!不満!不満!パンフが売り切れだったのはともかく、グッズが何もないことを知った時の絶望(ショップを三周はしたぞ)。隣にいた若いお姉さんも私と同じく、店内をぐるぐるさ迷っていらした。メアリー号やロッキーの船のプラモとか、各種キーホルダーとか、アースボール編みぐるみとか、ダクトテープ風マステとか、いくらでもあるやろがい。今からでもいいからSONY頑張ってえ。SONYなら出来るはず。とりまステッカーほしい。吹替観に行こうかしら……。

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「木挽町のあだ討ち」(小説)

  読みました!小説も面白かった!第36回山本周五郎賞、第169回直木賞受賞(2023)。

「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子(2023)

 まず思ったのは、よくもまあこの濃密緻密にして完成された話を、映画は上手いこと二時間にまとめたもんだねえということ。仇討ちを成し遂げ国元に帰って来た若様・菊之助について加瀬が各所から話を聞いて回る、という形はそのままに、それぞれが抱える事情を言葉ではなく役者の見た目、所作、セリフ回しで見事に表現してみせた。つくづくよく出来ている。そしてそれは勿論、原作の出来の良さ故でもある。それぞれの話を一幕として、主たる語り手の独壇場となる構造がすっきり美しくて気持ちいい。

 中でも、特に菊之助の心の動きが相当詳細に描かれていたのはよかった。そういう子だからこそ周りも皆こぞって味方についた、としっかり納得できる(それにしてもその理由を所作含むビジュアルで説得し切った長尾くん、キャスティングと演出すごい)。映画では菊之助の体験を加瀬に移し替えてるところもあって、そこも上手い。映画より小説の方がいいじゃんとなったりその逆もあったりするけど、これは両方!イイ!です。どっちから入っても問題ないけど、強いていえば私は、前提知識無しのまま映画を先に観てよかったと思っています。なにしろ絵と音で入るインパクトが凄かった。もう少し長く上映続いてほしいけど近所の映画館はどこもそろそろ終わるっぽい。

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「正体」

 続くムッスメネフリシリーズ。略してMNtS(たぶんあと数週間で終わる)。これも観たかったのに観損なったやつ。第48回日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞(横浜流星)、最優秀助演女優賞(吉岡里帆)、最優秀監督賞(藤井道人)の3つの最優秀賞を受賞。

 

「正体」藤井道人(2024)

 面白かった!最初から最後まで、一切ダレることなく突っ走った。まず主人公・鏑木慶一役の横浜流星さんの走りっぷりが素晴らしい。古の名画「逃亡者」を思い出した(ただし主人公が本当に罪を犯したかどうかは終盤まで伏せられる)。主人公を執拗に追う又貫(山田孝之)はさしずめレ・ミゼラブルのジャヴェール。横浜流星さんの演技力はもはやいうまでもないですが、冒頭のとある場面の「目」が秀逸でした。たぶん観ればわかる。目力というものではない、こっちの肝がスっと冷えるような、どう解釈していいのかわからない強い光を放つ目。まんまと作品世界に引きずり込まれてしまった。映画館で観たかったなー、惜しいことをした。

 この映画、ネタバレなしで観た方が絶対に面白いので、未見の方はこの先は読まないように。

 逃げる鏑木に関わる人々もそれぞれにのっぴきならない事情を抱えていて、それが鏑木の「諦めない力」に突き動かされるかのように、引っ張られ、繋がり、自身の運命すら変えていく様子が気持ちいい。これが鏑木の「正体」が少しずつ明かされていくのと同時進行なのだ。身をやつしていても、隠しきれない純粋さと賢さが、何気ないエピソードで積み重ねられて、真相が明かされる段より随分前に、ああこの人はきっと何もやっていないと確信できる。

 ひとつだけ引っかかったのは、鏑木が犯人と誤認される経緯。さすがに無理があるやろ、と思ったが、原作はもっと???な感じらしい。読んでみるかな(いつもの)。 

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