「ひつじ探偵団」

  ヒュー・ジャックマンが出てるのに主演はひつじというオモロさ。すぐ終わりそうと思い急いで観に行ったら案外頑張ってる。

「ひつじ探偵団」カイル・バルダ(2026米英合作)

The Sheep Detectives / Kyle Balda

 ひつじが可愛い。とにかく可愛い。初めは生きたひつじで作ろうとしたら、「どの羊も全く言うことを聞かず撮影不能」に陥って諦めたというエピソードも微笑ましい。子供でも楽しめるが(たぶん)決して子供騙しではない。牧場主の不審死をきっかけに牧歌的な閉じた世界から外に出た羊たちが直面する現実の容赦なさ(そもそも羊たちも、ガチ差別と生贄と忘却により「牧歌的世界」の秩序を保っていた)、登場人物の誰もが怪しく見える定番の状況から徐々に謎が紐解かれる展開、紛れもなくガチのミステリー映画だった。なのにモフモフ。モフモフなのにハード。ハードなのにモフモフ。といった感じで情緒が翻弄されっぱなしの109分だった。

 とはいえコメディ映画と銘打ってある通り、かなり深刻で重い状況なのにも関わらず何故か暗くならないしゲンナリもしない。いずれ劣らぬ個性的な人と羊の絵面はあくまで明るく軽妙。超ベテラン俳優二人(ヒュー・ジャックマンとエマ・トンプソン)が極めて贅沢かつ効果的に使われており、Wニコラス(ニコラス・ガリツィンとニコラス・ブラウン)が実に生き生きのびのび映えていた。どちらのニコラスも私は初見だが、今後も注目する所存である。大変面白かった。「マスターズ・オブ・ユニバース」もうっかり観に行ってしまうかもしれん。

 それにしてもこのような子供から大人までいける良質な娯楽作品だというのに、何故!どうして!グッズ展開しないんですか……ひつじたちのキーホルダーとかアクスタとかステッカーとか、キャラごとにコンプリートする系にしたら超売れると思うんですけど。特に日本では。しかもこれも配給ソニーじゃんちょっと!「プロジェクト・ヘイル・メアリー」のと一緒にソニプラで売ってえええ。

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「怪物」

  いつものことだが積読が減らぬ。今のうちに消化スピードを上げたいものだが読書とはそういうものでもないしのう。

「怪物」上下 パトリシア・コーンウェル(2026米)

Unnatural Death / Patricia Cornwell

 来た来たやっと来た!ひっさびさの全員大活躍の巻。ストーリーとしても、本来の「検屍に基づく科学的捜査により謎が解けていく」流れがしっかり取り戻された感じ。紛れもなく上質な法科学ミステリーである。相変わらずなんだかんだと邪魔は入るものの、一応ハピエンなのも嬉しい。もちろんそれはこの話だけで、先行き大いに不穏な要素は多々あるが、それはいつものお約束。そろそろシリーズ終焉に向けての盛大な前振りなのかもしれぬ。だってあれ以上の強敵いないもんね(匂わせ)。お馴染みの登場人物がそれぞれに活発に動き回っていて小気味よい。特にルーシー!ルーシーの成長が著しくて、実にかっこよ!なのである。もはやケイやマリーノに心配される小娘ではない、超絶スキル持ちの仕事デキ女性。心の傷はまだあるものの、急速に克服していってる気がする。ケイとベントンのラブラブっぷりも相変わらず。意外にマリーノとドロシーもうまくいってる。むしろドロシーの方がご執心ぽいのも、マリーノファンの私としては大満足。そうそう、外見や下品な物言いはともかくイイ男なんよマリーノは。

 そしてこれが何気に今作のポイント。とある件でケイとベントンの関係が「パーフェクト」とは言えなくなり、実は誰よりもお互いに信頼しあっているのはケイとマリーノだった、と発覚。未だにベントンの何気ない仕草や姿にウットリ見惚れてるケイがよもやマリーノに靡くなど99.99%ないと思うが、微妙ーに意識が変化した、ような気がする???

 てなことを言いつつも、個人的にはマリーノ&ドロシーのカップルがベストだと思う。ケイは仕事仲間としては良いかもしれないが、ドロシーの百倍メンドクサイ女だ。ベントンのレベルじゃないと扱えないと思う。そもそも超絶面食いである。無理だからやめとけマリーノ(何様)。

 というわけで次回作も楽しみだ。出来れば全員幸せになってほしい(定期)。

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「サンキュー、チャック」

  洋画が光の速さで上映を終えてしまう昨今、さしもの暇人な私でも観損なうこと多々。これは見逃すまいと早めに観にいった。

「サンキュー、チャック」マイク・フラナガン(2026米)

The Life of Chuck / Mike Flanagan

 まずは単刀直入に言う。最高だった。今までのスティーブン・キング原作映画で一番の出来だと思う。今までキングが書いてきたすべてが含まれていて、尚且つ最もエモい。キングの持つエモがここに極まれりである。原作は未読だけど、きっと原作の根幹を少しも損なわず二時間という尺に収めているんだろうと確信。原作ではさらなる緻密で高濃度なエモを体験できるんだろな。読むのも楽しみ。以下、ネタバレにつき注意。特にガチのキングファンで原作未読の向きはここからは画面を閉じて、前提知識皆無で観た方がいい。ファンではない、作品をあまり読んだことがない向きは……個人の判断で。

 というのも構造が少し変わっていて、全三章の物語が逆から始まる形になってる。つまり三章が「前振り」。長年のキングファンならお馴染みのあの「しつこいくらい詳細な前振り」なんですよこれが。しかもホラーとSFと人怖と陰謀論めいた要素まで全のっけもりパート。情報量が半端なく多いので常人(キングガチファン以外)には少々冗長と映るかも。現にTwitter(x)では絶賛だけでなく「よくわからなかった」「私には合わなかった」という感想も散見される。多分だけどこの思わせぶりでミッチミチの三章とシンプルかつ爽やかな二章との落差、隠された繋がりに気づかないまま一章(ラストパート)に突入してしまったんだろなと推測。紛れもなくキングの文脈なんですよ。確かに合う合わないはある。

 三章で出てきた人々や風景が一つ残らず、チャックの人生において出会った人であり風景であること、子供の頃に耳にしたホイットマンの詩が太い骨組みとなってその世界が構築されていることに気がつけば、人間の存在というものの強さと確かさ、儚い一瞬の光の尊さが一気に雪崩れ込んできて溺れそうになる。まさにエモの洪水。キングはホラー小説家だが、このエモこそが本質なのだと改めて理解できる。もうね、二つのダンスシーンが途轍もなく良い。値千金。二度とない、その日その時だけのダンス。振付が「ラ・ラ・ランド」の人と知って納得。大人になってからのそれと、少年時代のそれ、どちらも良いけど後者の甘酸っぱさ、切なさといったらもう。単なる不注意の怪我を「(二人のダンスに嫉妬した)パートナーの彼氏にやられた」ことにするのも良い。良いったらよい。三章には出てこないこの二人は、そっくりそのまま美しくかけがえない記憶として、未だチャックの中に存在しているということなのだ。あ、ダンスもう一つあった。お祖母ちゃんとの台所でのダンス!あれも素敵すぎて倒れそう。しかもお祖母ちゃんの旦那、つまりチャックの祖父はルークなんだぜ(マーク・ハミル)……あああもう何もかも良い。良さがもう書ききれないくらいある。

 それでいてちゃんと物語の軸に、超自然的な不思議がドンと通ってるのがこれまたキングなのよ。監督は「ドクター・スリープ」を撮った人で、正直あの映画は(原作含め)あんまり評価してなかったんだけど、今回のこれでキングを最も理解してるガチファンの一人だとわかりました(手のひらクルー)。面白かった。超絶オススメ。

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「死んだら飛べる」

  色々と溜まりに溜まっている。来週はまたガテン系仕事後半が始まる。サクサクいかなくては。

「死んだら飛べる」スティーヴン・キング、ベヴ・ヴィンセント編(2019)

Flight or Fright / edited by Stephen King & Bev Vicent

 スティーヴンキングの単著ではなくいろいろな作家の短編集だが、さすがキングがセレクトしただけあってどれもこれも面白い。それとこの装丁ね。普通の文庫本よりちょい大きめのサイズ、背表紙もこの色でかなり目立つ。つい手が伸びてしまった。アメリカではもう絶滅しかけているペーパーバック的な雰囲気を狙ってるんだろな。さらにこのタイトル!原題も日本語タイトルもイイ感じにあたまおかしい。ホラー好きの勘所をよくわかってる。

 キングは大の飛行機嫌いの癖に(だから?)、「ランゴリアーズ」というヤバイ中編を書いてもいるが、嫌いが高じてこんな本も作っちゃったということなのかもしれない。それも飛行機の中で是非読め、当然読んでるはずとか何度も繰り返してて鬼すぎ(笑)。でもキングの読者ならあえてやりそうではある。長さもそれぞれだいたい同じくらいで、食事やトイレやトランジットや何かで中断しても大丈夫!行き届いてるね!

 個人的にはコナンドイルの「大空の恐怖」が懐かしかった。小学校の図書室で読んだホラーアンソロジー本のなかにあったのだが、再読してみたらその画がパーッと頭に浮かんだ。ビジュアル的に怖い話のひとつよな(それにつけてもあのアンソロ本挿絵が超秀逸だった。再販しないかな…しないだろな)。正統的なホラーありファンタジーありSFありで最初から最後まで楽しめました。オススメ。 

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「ザ・スーパーマリオ・ギャラクシー・ムービー」

  GW中は多忙につき低浮上でした。今はガテン系仕事真っ最中なので通常運転まではもう少しかかりそう。

「ザ・スーパーマリオ・ギャラクシー・ムービー」アーロン・ホーバス、マイケル・ジェレニック(2026米)

The Super Mario Galaxy Movie / Aaron Horvath & Michael Jelenic


 帰省中の次女とともに三人で観た。例によって細かい小ネタはようワカランものの、出てくるキャラはカワイイし(ヨッシーも星の子もカワイイ!!!)ストーリーはわかりやすく王道、躍動感溢れるカラフルな画面も楽しい。そもそもあの音楽だけで勝ち確定よね。ゲームやるやらない関わらず大抵誰しも聞いてるもんね。次女によるとメインキャラの設定が映画オリジナルだったり、実写映画での諸々オマージュや自虐ネタや、相当色々詰めつめ込みこみということで、「おかーさんたちにはちょっとわかんなかったよねゴメン」などと宣っていた。いやまあ確かに少々羨ましくはあるが、面白かったので別によい。

 前作を観た時も思ったが、何よりやはりこの長い年月ずっと「子供たち」に親しまれて来た・親しまれているという事実がまず尊い。私は自分自身で友達とプレイしたわけじゃないけど、子供たちが肩寄せ合ってゲームしてたのは憶えてる。まさに、テレビでも流れてるあのエモいCMの光景そのもの。もう皆大人になってしまったけれど、確かに存在していたあの時間を、映画という形で再構築してくれてる。前作も今作もテーマが「家族」であるところの理由なのかもしれない。私もゲームやろうかなあ、ボケ防止に(笑)。

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