「大鹿村騒動記」
週中までの酷暑にてまたも録画消化。が、大当たり!
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映画.comより |
「大鹿村騒動記」阪本順治(2011)
例によって何の事前知識も持たずに観たのだが、メチャクチャ面白かった。いわゆるご当地もの的な性格をガッツリ根幹に置きながらもエンタメとしてすごく良く出来てる。「国宝」とは全く違う歌舞伎で人生なんだけれども、共通点バリバリある!と思った。タイトルその他全く覚えがないのは震災の年だったせいか。いや実に勿体無い。もっと大勢の人に観てほしい。映画「国宝」が今まさに大ヒットを飛ばしてるこの時期に観られたのはラッキーにも程がある(狙って放映されたんだろうけど)。舞台はまたも長野。300年続く村歌舞伎、そして鹿!何なんだ長野という場所は。古いものが壊れず廃れず保たれる、山の神に守られてるのかしら(鹿か)。
ストーリーは……もう何というか世俗にまみれた、とんでもなくどうしようもない下世話な内容ではある。それが歌舞伎によって何とかなってしまうというか(浄化されるというわけじゃない、断じて)、とにかく落ち着くところに落ち着く。なんも立派じゃないし何なら結構なクズだし、色々うまくいかないしグダグダでダメダメ、それでも人生は続くし歌舞伎も続くというところ。ラストはイタリア映画かと思いました、いやホントに。
主人公の善役が原田芳雄さん、この映画が遺作だったらしい。治役の岸部一徳さんとの掛け合いが絶妙。治と駆け落ちした善の妻・貴子役の大楠道代さん、その昔「氷点」で陽子役を演じてらっしゃる(ひええ)。そして松たか子さん、「国宝」の寺島しのぶさん同様、その存在だけで歌舞伎の空気を作ってらっしゃる。他もそうそうたる面々で、かなり贅沢で濃い93分だった。歌舞伎のすそ野はかくも広く深い。思っているよりもずっと私たち日本人の奥底に沁みついているのかもしれない。何度も言うが面白かった。超おススメ。「国宝」に感動した人は特におススメ。

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