おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「帚木」 (七) ~雨夜の品定め 最終話~

2010年10月26日  2022年6月8日 
雨夜の品定め、恋バナのトリを飾るのは意外や、右近兄・藤田係長(式部丞)でありました。 この面子の中では身分的にも男子力的にも一番下っ端。 「藤田係長、今までダンマリなアンタこそなんかあるんじゃないの?ちょこっと言ってみなよ」 と皆はやしたて煽る。 「自分っすか? いやいやいや……自分みたいな底辺ブサ男に、お聞かせするようなイイ話なんかあるわけないっすよ。勘弁してくださいっす」 と言うのを、頭の中将は穏やかながらびしっと「いいから早く」と責める。 藤田・右近兄は慌てて、困ったっすねえと頭を振りながら、ようよう話し出した。 「まだ学生だった頃っすかね…

10月に読んだ本 その一

2010年10月25日  2023年9月13日 
図書館で大量に借りてきた本の数々。涼しくなったので読書もはかどるというもの。けっこう忙しい日々なのだがそういうときに限って読みたくなるのだ。 「流星ワゴン」重松清 不慮の死を遂げた親子が乗るワゴン車に、生きていたくなくなった人たちが吸い寄せられる。ターニングポイントはどこにあったかをそこで見せられるのだが、いちど決まった未来は簡単には変えられない・・・・・ 変則なタイムスリップもの?未来が基本的には変えられないというのは宮部みゆきの「蒲生邸事件」と同じ。「バックトゥザフューチャー」のように都合よく何もかも解決はしないところが哀しいが、そこは重松さんなので…

10月に観た映画 その三

2010年10月22日  2023年9月12日 
「シャーロック・ホームズ」ガイ・リッチー Sherlock Holmes Guy Ritchie(2009) ホームズ役のロバート・ダウニーJr.が観ているうちに阿部寛に見えてきて笑えた。真面目な顔で突拍子も無い行動に出るあたりが「トリック」の教授に重なるのかも。 さらに、鳥打帽被ってない、身なりを構わずうだつのあがらなさそうなこのホームズは金田一耕助を思わせる。もしかしてもしかしなくても、横溝氏は狙ってたか?まあ、フケは落としてないけど。 ストーリーは「ダ・ヴィンチ・コード」とオウムの事件をまぜくった感じだろうか。オカルトにだまされるな、大抵のことは科…

箒木(六) ~雨夜の品定め~

2010年10月21日  2022年6月8日 
さて、お次の語り手はイケメン・モテ男、 頭の中将 。 家柄こそヒカル王子には及ばないが、容姿端麗・頭脳明晰・センスも良くお洒落で女性にも人気、今をときめく左大臣家の総領息子として生まれ何の苦労も屈折も知らずに育った真正のお坊ちゃまくんである。 「 馬鹿な男の話をしよう 」 と、超のつくナルシーな言葉も似合ってしまう美しい横顔。 「 内緒で見初めた女の子がいてね。(当然)向こうもまんざらでもなく、つきあうことになった。 最初は(カルーイ浮気のつもりで)きっと長続きしないだろうな~と思ってたんだけど、つきあう内にああ超可愛いなぁこの子、合間合間に会ってるだけなの…

10月に観た映画 その二

2010年10月19日  2023年9月11日 
最近観たい映画がなくて・・・というか劇場に観に行く暇が微妙にない。専業主婦なのになぜだー。 というわけで、レンタルDVD。 「沈まぬ太陽」若松節朗監督(2009) 長い映画。公開時は休憩時間まであったほど。しかし原作の長さ、重厚さから考えるとこれでも足りないくらい。特に後半はバタついて、原作読んでないと何のことやらわけわかめ状態になるかも。特に渡辺謙演じる主人公の敵役である行天(三浦友和)の腹黒さがいまひとつだったのが残念。キャスティングは間違っていないと思うが、いかんせん時間が短すぎた。 だが御巣鷹山のあの事故、無数の白い棺が並ぶ体育館内の光景、墜落前…

閑話休題(一)

2010年10月18日  2022年6月8日 
「雨夜の品定め」もいよいよ終盤ですが、ちょっと休憩♪ しまして、源氏物語に対して私が思っていることもろもろを書きつけておきます。 はりめぐらされた門の中、きわめて狭い世界で生きている貴族達。 宮廷づとめは結構ハードだったらしいし(夜勤あり)、 恋愛がなかなか思うようにいかないところも、 子どもが親の思う通りには育たないってことも、 優雅に見える暮らしが「外の人たち」によって支えられていることも、 今の都市生活者と非常によく似ている。 違うところはといえば、「 観念 」みたいなものがはっきりと生きていたということかも。 目に見えるリアルより、目には見え…

箒木(五)~雨夜の品定め~

2010年10月14日  2022年6月8日 
左馬課長代理の、かなり自己チューな恋愛譚はおかまいなしに続く。 「先ほどの『浮気相手』の女のことなんですがね。 これが人品卑しからず、気配りもバッチリ、和歌を詠ませても、文字を書かせても、琴を弾かせても、けっこうな腕前でして。ルックスもそこそこよかったもんですからかなり入れ込んで、再々会っておりました。もちろん元カノには内緒で。 元カノが亡くなってからは、どうしようかな、悪いかなとは思いつつ、それでも死んじゃったもんは仕方ないですからね、自然デートの回数も増えていったんですが……慣れてくると、それまで魅力だった派手で色っぽいところなんかが、何か裏があ…

箒木(四) ~雨夜の品定め~

2010年10月12日  2022年6月8日 
遠い目をして語り始める左馬課長代理。 「まだほんのぺーぺーのヒラ社員だった頃、つきあっていた女性がおりましてね。いえいえ決して美人では。当時はまだ結婚まで考えてなかったですから、若気の至りでついつい他に目移りも、ねっ?」 わかるでしょ、いひひと周囲に同意を求める左馬。完全にオヤジである。 「ところが浮気がバレたときの、彼女の嫉妬がすごいのなんのって……。 ほとほとやんなっちゃいましてね、もうちょっとおっとり構えられないもんかなあと。 とにかく疑り深いしシメツケは厳しいし、たまらなかったですね。 反面、こんな男に愛想もつかさず、一途に愛してくれているの…

10月に見た映画 その一

2010年10月11日  2023年9月11日 
ひっさびさにレンタルDVD。しかも新作。つまりミーハー。 「シャッター・アイランド」マーティン・スコセッシ監督 えーとこれはネタバレになると全然駄目なのでいろいろ書くことは控える。控えるがしかし、なんというかいろいろ思い出したなー。雰囲気まんまツイン・ピークス。シャイニングもちと入ってるかも。とにかく監督がスコセッシなので、一筋縄ではいかないぞオーラがむんむんと立ち込めていて、目が離せない。家で観てたのにトイレに立てなかった(泣)。 ちなみに私、れお様はまったくタイプではない。世間ではイケメン俳優ということになっているが、今までただの一度もそう思ったこと…

「帚木」 その三

2010年10月6日  2022年6月8日 
男性たちによる 雨夜の品定め はいまだ続いておりますが、 なんとなくこの辺の会話はOL二人のほうがしっくり来るのでは?と思いましたので、現役平安ガール右近ちゃんと侍従ちゃんに、割り込んでいただくことにします。 今後も突然乱入アリ ってことで、ひとつよろしくお願いいたします(ぺこり)。 「ねえねえ、右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「ぶっちゃけ、 結婚って考えたことある? 」 「いきなしストレートにきたわね。何を聞きたいわけ」 「いやあ、恋愛と結婚って、何か別じゃないかなーなんて最近思ってて」 「侍従ちゃんたら(クス)」  当然じゃないの、というよう…

オフィスにて(二)

2010年10月5日  2022年6月8日 
右近兄の武勇伝の前に、ちょっと時を進めてみる。 さて、 平安OLから見た「上・中・下」の品とは! 「おっはよ♪侍従ちゃん」 「おはよう、右近ちゃん。やっと雨上がったねえ」 「ほーんと。長かったよねえ」 「ほんとよねえ」  しばらく縫い物などする二人。 「ねえ右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「この間、右近ちゃんのお兄さん、ヒカル王子と一緒に宿直(とのい)だったって言ってたよね。どうだったって?」 「あーーーー、そうねー・・・何だか無駄にテンション高くってさ、帰ったらその話ばっかし。いいかげんウザかったよもー」 「ででで、どういう話した…

箒木(二)

2010年10月3日  2022年6月8日 
さらに二人恋多き男が加わり、いやがうえにも盛り上がる宿直室(桐壺の局) 。 女性の品格の「上中下」というのはどこで区切られるのか? というヒカルの問いに答え、頭の中将アツく語る。 「家柄がイマイチなのに何かの拍子に成り上がっちゃった、 にわかセレブ ?とか、その逆に家柄はいいけど、コネ無し・生活力ゼロ、その癖やたらタカビーな 元セレブ ?なんてのもありがちだよね。両方とも、差し引きゼロの『中』ってとこかな?」 ふんふん、と聴衆。 「地方のノンキャリア(受領)組にもなかなかどうして、イマドキは結構いい人材がいるんだけど、だいたいはそんじょそこらの中堅キャリア(上達…

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過去記事の改変は原則しない/やむを得ない場合は取り消し線付きで行う/画像リンク切れ対策でテキスト情報追加はあり/本や映画の画像はamazonまたは楽天の商品リンク、公式SNSアカウントからの引用等を使用。(2023/9/11-14に全記事変更)

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