10月に観た映画 その二
というわけで、レンタルDVD。
「沈まぬ太陽」若松節朗監督(2009)
長い映画。公開時は休憩時間まであったほど。しかし原作の長さ、重厚さから考えるとこれでも足りないくらい。特に後半はバタついて、原作読んでないと何のことやらわけわかめ状態になるかも。特に渡辺謙演じる主人公の敵役である行天(三浦友和)の腹黒さがいまひとつだったのが残念。キャスティングは間違っていないと思うが、いかんせん時間が短すぎた。
だが御巣鷹山のあの事故、無数の白い棺が並ぶ体育館内の光景、墜落前の機内の状況、事故後の遺族の生活……をストレートに映像化したのは初めてのことであり、監督やスタッフはもちろん演じる俳優ひとりひとりが相当の緊張感を持って自分の仕事を行っているのが感じられる。
あの事故は当時学生だった私にも衝撃だったが、人の子の親になった今はさらにそのつらさが骨身に沁みる。息子夫婦と孫をいっぺんに喪い、妻とも死に別れお遍路に出る老人はフィクションだそうだが、語る言葉は遺族の心をも打ったといわれる。主人公は手紙にこう書く「自分はひどい目にあった、つらかったと思い悩んだり怒ったりしていたが、あなたの味わった苦しみや悲しみに到底追いつくことはできない。今までの自分を恥ずかしく思う」。
感動したとか涙が出たとか、浅薄な感想を述べることを許さない、両者の心持ちだと思う。
過去記事:「沈まぬ太陽」山崎豊子を読んだ
コメント
コメントを投稿