2010年6月30日水曜日

短編小説:穴が開いた(3)

 さらに、有名な占い師が穴の周辺を強烈なパワースポットだと認定したことで、騒ぎは一層加速した。見物人は増えつづけ「奇跡を呼ぶ」鉄の蓋に触れるために長い行列まで出来るようになった。

 きっかけは些細なことだった。列に割り込んだとか割り込まないとかいう類の理由で、背の低い太った若い女が男に突き飛ばされた。女の大きな尻が柵を破り、ゴムマリのように転がった。大勢が見ている前で、女は隙間からすっぽりと、穴に落ちていった。

 口を開く者は誰もいなかった。全員身じろぎもせずその場に立ち竦んだ。


 やがて一人が言った。笑い声が聞こえたと。するともう一人が、ああ確かに聞こえたと頷いた。さらに一人、なんて幸せ、なんて素敵という声も聞こえたと言い張った。何人かがそれに同意した。彼女は自分から落ちたのだ、それを望んだのだと誰かが叫んだ。おおおおおと地鳴りのような声。ここは強力なパワースポット、あの穴の中には最大最強のパワーが満ちているに違いないと誰かがぶち上げ、そうだそうだと口々に答えた。そんな声は聞こえないと否定する者も、様子を見よう、やめておけと止める者も、もはや誰一人いなかった。

 並んでいたものたちが柵を壊し、我先にと穴になだれ込んでいったのは、女が落ちてからたった数分後のことだった。


*****

 真新しいボルトをひとつひとつ締めていく男の、十字型の痣がついた手を、少年がじっと見つめている。ボルトは錆びたり朽ちたりしない最新式のものだ。以前より一回り大きく丈夫な鋼鉄の蓋は、以前より十倍も多い十倍も丈夫なボルトで留められている。少年が口を開いた。

――――おじさん、いつもこれを全部、一人で締めてるの?


――――そうだよ。

と男は答えた。

――――おじさん、毎日来てるよね。

――――そうだよ。

 男は鼻をすんと鳴らすと、お前もなと呟いた。少年は男のすぐ側にしゃがみこんで言った。

―――――穴に落ちていった人たち、誰も見つからなかったんだよね?

――――そうだよ。誰一人、見つからなかった。

――――まだこの穴の中にいるのかな。

――――わからない。いるのかもしれない、いないのかもしれない……だが、もう何十年も経っているからな。

 風が丈高い草の原を渡ってきた。西に傾いた日が少年の顔を照らした。

――――いつまでこうやって締め続けるの?

――――死ぬまでさ。俺が死んだら……そうだな、息子か娘を代わりに寄越すかな。

――――おじさんち、子どもはいないじゃないか。

 男は答えなかった。少年はしばらく黙ると、思いきったように口を開いた。

――――僕が締めに来ようか? おじさんがもし……締められなくなったら。

 男は少年の顔をちらっと見るとまた視線を下に戻し、言った。

――――そうだな。覚えていたら、の話だが。

――――覚えてるよ。

――――お前くらいの男の子は、一ヶ月、いや一週間もすりゃ、心も体も真新しく入れ替わっちまうもんだ。俺もそうだった。

――――おじさんはそうでも、僕は違うかもしれないじゃないか。

 男は一瞬目を丸くし、やがて声を立てて笑った。それから作業の手を止め、少年の目を覗き込んで真面目な顔で言った。

――――そうだな。俺とお前とは、違う人間だ。お前は忘れないかもしれない。ただ、可愛い娘っ子や、身入りのいい仕事に夢中になって、俺の代わりにボルトを締めることをすっかり忘れちまっても、それは構わない。そんなことは些細なことだ。だが――――

 男は巨大な鋼鉄の蓋をぼんやりと眺めながら、呟くように、だが力を込めて言った。

――――この蓋の下に穴があること、それだけは忘れちゃいけない。忘れたが最後、呑み込まれる、永遠にな。だから、片時も忘れちゃならないんだ。

 少年は眉を寄せ首を傾げると、再びボルトを締め始めた男の手元を見つめて言った。

――――おじさん……おじさんは小さい頃、あの蓋の下を……見たんだよね? お爺ちゃんから聞いた。

――――ふん。爺ちゃんはこうも言ってなかったか? あいつは嘘つきの人殺しだって。俺は穴をただ覗いていただけだ。叱られるのが嫌さに、穴に入っていたと嘘をついた。あんな騒ぎを引き起こすとは思ってもみずにな。

――――それは……おじさんが悪いんじゃないよ。あの人たちは自分から落ちていったんだ。

 男はまた黙った。力を込めてボルトを締めるごとに、十字型の痣が生き物のように伸び縮みする。陽が落ちて、周りは急速に色を失っていく。少年の大きな瞳だけが薄闇に輝いた。

――――それで、その……中には、何があったの? 何が見えた?
 十字の動きが止まった。男は小さくため息をつき、道具を地面に置いて何事か呟いた。少年は、今なんて言ったのと膝でにじり寄った。

――――まったく、皆いつも同じことを聞くな。あの下には……何も無い。ただの穴さ。何一つ見えなかったし、聞こえなかったし、感じられなかった。なぜ穴が開いたのか、なぜふさがらないのかは俺にはわからない。だがこれだけは確かだ。あの中には、何も無い。

 なあんにもな、と肩をすくめ、男は十字のない方の手で道具を仕舞い、荷物を背負って歩き出した。少年はしゃがみこんだまま、夕闇の中徐々にくすんでいく鉄蓋の色を眺めた。やがて遠ざかっていく男の後ろ姿が見えなくなると、少年は身震いをして立ち上がり、帰るべき我が家に向かって全速力で駆けていった。

<了>


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2010年6月29日火曜日

短編小説:穴が開いた(2)

 
 日々の暮らしの中で、穴の存在は徐々に忘れ去られていった。蓋にタイヤが乗り上げる度響くごおぉんという不気味な音にも皆慣れて、いちいち怖がらなくなった。

 月日は流れ、小さな村は隣の大きな町と合併することになった。広く便利な道路が沢山作られ、車や人の往来は格段に増えた。かつて町に向かう最短ルートであった鉄蓋付きの道は、歩く人もほとんどいなくなった。蓋の周りには丈高い草が生え放題、整備を施されなくなった路面はデコボコに波打った。

 ある日小さな男の子が行方不明になった。右手の甲に、生まれつき大きな十字型の痣がある子だった。近所中くまなく探したが見つからない。男の子の祖母によると、前の日に散歩に出かけた折、あの鉄蓋の下にある穴の話をしたという。男の子は大変興味を持ったようで、帰ってからも何度も同じ話をせがんだ。男の子の父親と母親は件の道路に走った。男の子の姿はない。草を掻き分け、蓋の近くに寄ると、ボルトが錆びて外れている。蓋はごくわずかだが、開いていた。新月の翌々日の月のように。ちょうど子どもの体の幅くらいだ、と父親が思うのと同時に母親が切り裂くような悲鳴を上げた。見ると草むらに男の子の履いていた靴が片方だけ落ちていた。

 町は大騒ぎになった。警察や消防の車が寂れた道路に殺到した。厚い鉄の蓋は重くて容易に動かせない。誰がどうやって開けたのか、いくら錆びてもボルトがあんなふうに外れることはあり得ない、特殊な道具なしでは絶対に不可能だ、と鍛冶屋を廃業し隠居した老人が震えながら呟いた。

 数時間かけて、やっと大人が二、三人ほど入れる隙間を開けた。だが誰も中に入ろうとしない。かつての村長も、蓋の上を悠々と通ってみせた大工も、とうにこの世を去っていた。母親は髪を振り乱し男どもを押しのけ、半狂乱になりながら自分の体に太縄を結びつけ、さあ下ろせと叫んだ。止める夫の手を振り切った彼女の足が穴の縁にかかったその時、おーいと声がした。薄暮の中、男の子が走ってくる。その手には大きな十字型の痣があった。再会した三人は大きな声でわんわんと泣き出した。周囲から安堵と感動の拍手が沸いた。

 皆が安心して解散しかけたとき、祖母が男の子の両手を握り静かに、何処へ行っていたのかと聞いた。男の子は俯き、もじもじしながら、穴の中だとこたえた。一度穴に落ちたのだが、気がつくと原っぱの真ん中にいた、母親らしき声がしたので近づいてきたのだという。

 その話は一夜にして国中に広まった。穴と蓋との隙間は奇跡の証拠として閉じられずそのままにされた。人々は寂れた道路に続々と集い、危険を避けるため周りに張り巡らされた柵は、願い事を書いた紙や板で埋まった。地元では、この騒ぎを苦々しく思う者も少なくなかったが、余所者の落としていく金が馬鹿にならないのも事実で、表立って文句を言うことはなかった。
(3)に続く

2010年6月28日月曜日

短編小説:穴が開いた(1)

 ある朝、道に穴が開いた。

 偶然通りかかった鍛冶屋が慌てて急ブレーキをかけると、車の右半分は何もない空間を2秒ほど走り、穴の縁にぶつかって止まった。外れかけたバンパーが引っかかったおかげでかろうじて落ちずに済んだ車はぎいぎいと不吉な音を立てて揺れた。鍛冶屋の親父は命からがら車から逃げ出し、駆けつけた村長になんとかしてくれ、商売道具がなくなったら得意先に切られちまうと泣きついた。牽引車が彼の車を助け上げる間に、村じゅうの人間が穴の周りに集まった。

 穴は、集まった村人全員がすっぽり入ってしまうほど大きかった。中は真っ暗で何も見えない。興味津々で覗き込む子どもをしっかり抱え、母親たちは身震いをした。バンパーを針金でぐるぐる巻きにしてその場を去ろうとする鍛冶屋を皆が引き止め質問責めにした。が、いつもとかわりなかった、何の前触れもなかった、いきなり真っ黒な穴がそこに出現したのだと繰り返すばかりだった。男たちは首を傾げながら丹念に周囲を見てまわったが、誰にも穴の開いた原因はわからなかった。

 村で一番新しく、幅の広いこの道路をつくったのは、隣町の土建屋だった。欠陥工事ではないかと詰め寄られた村長は首を横に振った。自分は工事を、計画段階から開通するまでの数年間、漏らさずチェックした。こんな大きな、深い穴を道路の下に掘られていたら気づかないはずはない。あり得ない、村長は断言した。

 誰かが、穴から水の音が聞こえると言い出したので、全員が黙って耳を傾けた。本当だ、微かだがそれらしき音が確かに聞こえるという者、いや全然聞こえないという者、村外れにある川の流れの音と混同しているかもしれないという者もいて、結論は出なかった。

 誰かが、穴から風が吹いてきたと言い出した。皆穴に手をかざした。本当だ風が吹いている、と確信を持って言う者と、いや全然吹いていないと否定する者とで論争になり、どちらも譲らなかったのでつかみ合いの喧嘩になった。仲裁に入った村で唯一人の教師は、穴からの風かどうか、今の時点ではしかと判断は出来かねる、様子を見ようと言って議論の熱を冷ました。

 ともあれ、道路の幅一杯に開いた穴をこのままにしておくわけにはいかない。その日のうちに、荷台一杯に土砂を山積みにした土建屋のトラックが三台やってきて、一斉に土砂を投げ込み始めた。だが一向に穴はふさがらない。五十往復を数えたところで、作業人が音を上げ、村人が代わった。百を超えたところで村長も諦めた。

 穴には、蓋がかぶせられた。鍛冶屋が二週間他の仕事を断って作った鉄製の巨大な蓋だった。全部のボルトを締め終わったあと、誰が最初にその上を通ってみるかで揉めたが、独り者の年老いた大工が名乗りを上げた。牛と羊を一頭ずつ荷台に載せたオンボロのライトバンが、悠々と蓋の上を通り抜けた際には、一斉に拍手喝采が上がった。

 それ以来しばらくは、寄ると触ると村人の間で話題になったが、ボルトが道の脇で伸びる草の葉に隠れた頃には、次の収穫の話に取ってかわられた。
2に続く

2010年6月14日月曜日

昨日に引き続き

私はこれではやぶさを知りました。超名作動画。
やはりというか何と言うか完結編ができてた。うP主、仕事早っ。
まだの方は是非ぜひご覧あれ。目から汁噴出注意。


はやぶさ最後の画像。燃えながら撮ったらしい。下方の、切れている部分は・・・(;Д;)

それにしても、どこも実況中継しなかった日本のテレビ局。朝のワイドショーでも説明中に、イトカワとはやぶさを取り違えてたりするし。本気で知らなかったのだとしたら、終わってる。
日食のときはしつこい位にやってたのに。
子ども手当なんかよりずっと、日本の子どもたちに元気と希望を与えるのに。

まあ、変な芸能人やアナウンサーが変なリアクションしてブチ壊しにされるよりは良かったかもしれない。いろいろとテレビは終わってる。

ネットから拾ってきた、英国BBCの報道済みコメント(赤字はおさ子)

★日本は世界一の探査技術を手に入れた
★今回のミッション成功は歴史に残る偉業 人類の進歩に新たな一歩
★アポロの月着陸以来の快挙
★日本の今後のミッションに世界中が関心を寄せている
★この快挙に本当におめでとう♪と言いたい
仮にサンプルがなかったとしても、偉大な功績であることに変わりはない

日本のワイドショー系では、「カプセルに砂が入っていれば成功」というのをやけに
強調しているが、騙されてはいけない。入っていようがいまいが、偉大な功績なのである。
何より数々のトラブルに見舞われても諦めず仕事をやり遂げたスタッフの心意気が
素晴らしいし、日本人として誇らしい。
はやぶさは八百万の神のひとりになった、というコメントも見た。だったらいいなあ。

         ,,     
         ゚

         ,,,
         ロ"  < オーイ

         / /
       ロ□ロ     < はやぶさだよー


    _ _,_     _
  ∠/ ヽ  ノ   .∠/
 ∠∠=・∀・=∠/    < 7年ぶり!ただいまー!
∠/     ̄¶' ̄ ∠/


  ;;;;/  /;;;;     .∠;;;;;;;; ボワッ
  ∠∠=・∀・=∠/     <帰ってこられ
((;;;))」   ̄;;;;;  (((:::::::::)) ボワッ


 _;;;;    ;;;;       ;;;;;;;;
 ;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;;;;;;;;; < た・・よ・・・
 ;;;;;;;;    ;;;;;;     ;;;;;;;;



      //
   ;;;;;;,,,,,;;;;;;;

      /
     ;;;;

2010年6月13日日曜日

おかえりそしてさよなら

はやぶさタンが帰ってくる。

はやぶさとはJAXA(宇宙科学研究所)が打ち上げた工学実験探査機。
惑星イトカワに向けて旅立ち、現地でサンプル採取、地球に戻ってくる。
ふーんただそれだけ?てそれはそれは大したことなのである。詳しくはこちらを。

はやぶさ、地球へ!~帰還カウントダウン~
はやぶさまとめウィキ

AAまで出来とる。

田-(^^)-田 <タタイマ


か、かわええ。
 
ツイッターまであります。さあ皆、南の空に祈るのだ。
http://twitter.com/Hayabusa_JAXA/status/16056123795
 
はやぶさカプセルの帰還ライブ中継
 
今夜はワールドカップは置いといて、空を見上げましょう。
ちなみにはやぶさに使われているイオンエンジン、NECが開発・販売に向けて頑張っているようです。
今年8/31までにJAXAに十分な予算がつけば「はやぶさ2」の実現も!
・・・・・・
はやぶさ2・・・

子ども手当なんていらんから、消費税上げてもいいから、こっちにお金回せ!

2010年6月11日金曜日

6月に読んだ本


なんだか知らないが忙しい。運動会が終わったらすこしはマシになるかと思ったがとんでもなかった。
ずうううっと前に買った此の本、多忙の折行方不明になり数日前に発見。友人とのランチに出かける電車の中でやっと読破した。あれ?ホントに忙しいのか私。

「日本辺境論」内田樹

ウチダさんの本はいつも「おお!そうなのか」と一気に腑に落ちることを拒む。文章は簡潔にして平易、わかりやすいのだが、難しいのだ。わかったような気になる瞬間は常時あるのに、ん?ほんとにわかってる?つもり、だけじゃないの?と不安になる。つまり、ちっともすっきりしないのだ。どうやっても読めない時がある。読んでも言葉が頭に入らない、ダダ漏れになる感じ。今回読めたということは調子のいい証拠だ。うん。

今回琴線に触れたのは、「真名」と「仮名」とに分かれている日本語の特性が、外から来る知識や技術の翻訳を容易にしている、ということ。日本独自のものである「仮名」が仮であり外から来た漢語が「真名」。自分たちで作ったものを「仮」といってしまうあたり、なるほど非常に日本的だ。
未知のものは「真名」で受け取り、翻訳するために必要な「ぶっちゃけどういう意味なの?」と突っ込む役割は「仮名」に負わす。このハイブリッドな構成のおかげで、日本には文字を読めない障害というのは非常にすくないらしい。あっても、漢字かひらがなのどちらかだけ読めない、というパターン。つまり脳の使用範囲がほかの言語使用者とは違うのね。すごいぞ、日本語。

あ、でもだから英会話がなかなか習得出来ないのだな。しゅん。

とにかくウチダさんの本は、ある程度時間が経ってから読み返すとまた違った理解が出来る、何度でも楽しめる本なのである。といいつつ、うっすい本一冊がなかなか読めない今日この頃なのだった。ふう。更新がんばります、なるべく。

2010年6月5日土曜日

長くて恐縮だが

例の演説、PC仕事しながら斜め聞きしていただけでげんなりした私だが、テレビでは「名演説」と持ち上げている人間が少なくないことに、心底驚愕している。大丈夫か、日本。

<以下産経ニュースから転載>赤字にしたのはおさ子。青字はツッコミ。

「お集まりのみなさん、ありがとうございます。そして、国民のみなさん、本当にありがとうございました。国民のみなさんの昨年の暑い夏の戦い、その結果、日本の政治の歴史は大きく変わりました。それは国民のみなさんの判断は、決して間違っていなかった。私は今でもそう確信をいたしております。こんなに若い、すばらしい国会議員がすくすくと育ち、国会の中で活動を始めてくれています。それも国民のみなさんの判断のおかげでございます。政権交代によって国民のみなさんのお暮らしが必ずよくなる。その確信のもとで、みなさん方がお選びいただき、私は総理大臣として、今日までその職を行ってまいってまいりました。みなさん方と協力をして日本の歴史を変えよう。官僚任せの政治じゃない。政治主導、国民のみなさんが主役になる政治を作ろう。そのように思いながら今日までがんばってきたつもりでございます」

お暮らし…で一国の代表がこんな日本語。おビール、と同じ位変。
変えられるはずのない歴史を変えるとはどういう意味?史実をねじ曲げるということ?

「私は、きょうお集まりの国会議員のみなさんと一緒に国民のため予算を成立させることができた。そのことを誇りに思っております。ご案内の通り、子ども手当もスタートをいたしました。高校の無償化も始まっています。子供に優しい、未来に魅力のある日本に変えていこう。その私たちの判断は決して間違っていない。そう確信をしています。産業を活性化させなければならない。特に1次産業が厳しい。農業の、一生懸命やっておられる方々の戸別所得補償制度、お米からではありますが、スタートさせていくこともできています。そのことによって1次産業が、さらに2次産業、3次産業とあわせて、6次産業として大いに再生される日も近い。私はそのようにも確信をしています」

確信、判断は間違っていない、がやたら多い。まさに過信だな。
六次産業って一体?

 「さまざまな変化が国民お暮らしの中に起きています。水俣病もそうです。さらには医療崩壊が始まっている地域の医療を何とかしなきゃいけない。厳しい予算の中で医療費をわずかですが増やすことができたのも国民のみなさんの意思だと私はそのように思っています。これから、もっともっと人の命を大切にする政治、進めていかなければなりません」

だからお暮らし、はやめて。

「ただ、残念なことに、そのような私たち政権与党のしっかりとした仕事が必ずしも国民のみなさんの心に映っていません。国民のみなさんが徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。そのことは残念でなりませんし、まさにそれは私の不徳のいたすところ。そのように思っています」

つまり自分たちは何も間違っていなかった、理解しなかった国民が悪いと?
制度的に穴だらけの子ども手当・高校無償化、普天間のちゃぶ台ひっくりかやし、宮崎口蹄疫に対するずさんな対処、あれがしっかりした仕事だと?
傲慢もはなはだしいが、こうして書き起こしたものを読むのではなくただ聞いているだけなら、最後に「私の不徳のいたすところ」と謙虚な言葉を差し挟んでいることで何となく流してしまうかもしれない。話し言葉は、最後に言ったことが一番印象に残りやすいから。
なんと姑息な。

 「その原因、2つだけ申し上げます。その1つは、普天間の問題でありましょう。沖縄のみなさんにも、徳之島のみなさんにもご迷惑をおかけしています。ただ、私は本当に沖縄の外に米軍の基地をできる限り移すために努力をしなきゃいけない。今までのように沖縄の中に基地を求めることが当たり前じゃないだろう。その思いで半年間、努力をしてまいりましたが、結果として県外にはなかなか届きませんでした。これからも県外にできる限り、彼らの仕事を外に移すように努力をしてまいることはいうまでもありませんが、一方で、北朝鮮が韓国の哨戒艇を魚雷で沈没させるという事案も起きています。北東アジアは決して安全安心が確保されている状況ではありません。その中で日米が信頼関係を保つということが日本だけではなく、東アジアの平和と安定のために不可欠なんだと。その思いのもとで残念ながら沖縄にご負担をお願いをせざるを得なくなりました」

努力使いすぎ。最初から最後までまごうかたなき言い訳。

 「そのことで沖縄のみなさん方にもご迷惑をおかけをしています。そして特に社民党さんに政権離脱という厳しい思いをお与えをしてしまったこと。残念でなりません。ただ、みなさん、私もこれからも社民党さんとはさまざま、国民新党さんとも共にではありますが、一緒に今まで仕事をさせていただいてきた。これからもできる限りの協力をお願いを申し上げてまいりたい。さらに、沖縄のみなさん方にもこれからもできる限り、県外に米軍の基地というものを少しずつでも移すことができるように新しい政権としては努力を重ねていくことは何より大切だと思っています。社民党より日米を重視した。けしからん。そのお気持ちも分からないではありません。ただどうぞ、社民党さんとも協力関係を模索をしていきながら、ここはやはり、日米の信頼関係を何としても維持させていかなきゃならないという、その悲痛の思い。ぜひ、みなさんにもご理解を願いたいと思っています

また出た気持ち悪い日本語。自分の職場の課長や部長に「さん」づけする新人OLか。働いたことないの丸わかり。
そして最後にまた、おしつけがましい一言を入れるのを忘れない。

 「私はつまるところ、日本の平和、日本人自身で作り上げていくときを、いつかは求めなきゃならないと思っています。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けていいとは思いません。そこのところもぜひ、みなさん、ご理解をいただいて、だから鳩山が何としても、少しでも県外にと思ってきた。その思い、ご理解を願えればと思っています。その中に今回の普天間の本質が宿っていると、そのように思っています。いつか、私の時代は無理でありますが、あなた方の時代に日本の平和をもっと日本人自身でしっかりと見つめ上げていくことができるような、そんな環境をつくること。現在の日米の同盟の重要性はいうまでもありませんが、一方でそのことも模索をしていただきたい。私はその確信の中で、しかし、社民党さん政権離脱という大変厳しい道に追い込んでしまった。その責任はとらなければならない。そのように感じております」

見つめ上げるなんて日本語はない。
「日本の平和を見つめ上げていくことができるような環境を作ることを模索していただきたい」と依頼(あああ意味がわからん)をしているのに、なぜ次に「確信」?何に対して?
ああ疲れてきた…。長過ぎる上に意味不明・・・。

 「いま1つはやはり、政治とカネの問題でありました。そもそも私が自民党を飛び出してさきがけ、さらには民主党を作り上げてまいりましたのも、自民党政治ではだめだ。もっとお金にクリーンな政権を作らなければ国民のみなさん、政権に対して決して好意を持ってくれない。なんとしてもクリーンな政治を取り戻そうではないか。その思いでございました。それが結果として、自分自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなどということが、私自身、まったく想像だにしておりませんでした。そして、そのことが、きょう来会の議員のみなさま方に大変なご迷惑をおかけしてしまったこと。本当に申し訳なく、なんでクリーンであるはずの民主党の、しかも代表がこんな事件に巻き込まれるのか。みなさま方もさぞ、ご苦労され、お怒りになったことだと思います。私はそのような政治とカネに決別をさせる民主党を取り戻したいと思っています。みなさんいかがでしょうか

開いた口がふさがらない。
もっと呆れたことに「みなさんいかがでしょうか」のあとに拍手がきた。

「私自身もこの職を引かせていただくことになりますが、あわせて、この問題は小沢幹事長にも政治資金規正法の議論があったことも、みなさま方、周知のことでございます。先般、2度ほど、幹事長ともご相談申し上げながら、私も引きます。しかし、幹事長も恐縮ですが、幹事長の職を引いていただきたい。そのことによって新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる。そのように申し上げました。幹事長も分かった。そのように申されたのでございます。決して受動的ということではございません。お互いにその責めを果たさなければならない。重ねて申し上げたいと思いますが、きょうも見えております小林千代美(衆院)議員にもその責めをぜひ、負うていただきたい。まことにこの高い壇上から申し上げるのも恐縮ではありますが、私たち民主党、再生させていくためには、とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか、みなさん。そのためのご協力をよろしくお願いたします」

クリーンて言葉が逆の意味に思えてくる。

 「必ず、そうなれば国民のみなさんが新たな民主党に対して聞く耳を持っていただくようになる。そのように確信をいたしています。私たちの声も国民のみなさんに届くでしょうし、国民の声も私たちにすとんと通る新しい政権に生まれ変わると確信をしています。みなさん、私は、しばしば宇宙人だといわれております。それは私なりに勝手に解釈すれば、今の日本の姿ではなく、5年、10年、20年。何か先の姿を国民の皆さんに常に申し上げているから、何を言っているか分からんよ。そのように国民のみなさんにあるいは映っているのではないか。そのようにも思います

未来というか異次元。ありえない世界だと思うが。

 「たとえば地域主権、原口大臣が先頭を切って走ってくれています。国が上で地域が下にあるなんて社会はおかしいんです。むしろ地域のほうが主役になる日本にしていかなければならない。それがどう考えても国会議員や国の官僚が威張っていて、くれてやるからありがたく思え、中央集権の世の中、まだ変わっていませんでした。そこに少なくとも風穴が空いた。かなり大きな変化が今できつつある。これからさらに一括交付金など、強く実現を図っていけば、日本の政治は根底から変わります。地域のみなさんが思い通りの地域を作ることができる、そんな世の中に変えていけると思います。今すぐなかなか分からないかもしれません。しかし、5年、10年たてば必ず、国民のみなさん、ああ、鳩山が言っていること、こういうことだったのか。分かっていただけるときが来ると確信しています。新しい公共もそうです。官が独占している今までの仕事をできる限り公を開くということをやろうじゃありませんか。みなさん方が主役になって、本当に国民が主役になる、そういう政治を、社会を作り上げることができる。まだ、なかなか新しい公共という言葉自体がなじみが薄くてよく分からん。そう思われているかもしれません。ぜひ、きょう、お集まりの議員のみなさん、この思いを、これは正しいんだ。官僚の独占した社会ではなく、できるだけ民が、国民のみなさんができることは全部やりおおせるような社会に変えていく、そのお力を貸していただきたいと思います。東アジアの共同体の話もそうです。今すぐという話ではありません。でも、必ずこの時代が来るんです」

地域主権という言葉はおかしい。主権というのは国にかかるもの。地域がひとつの国と同じ様になるということが言いたいのか?だから宮崎は放っておかれたのか?
上下がないフラットな社会を目指すって、まんま学生運動。ぞっとする。

「おかげさまで3日ほど前、韓国の済州島に行って、李明博大統領、温家宝中国の総理とかなり、とことん話し合ってまいりました。東アジア、われわれは1つだ。壁に『We are the one』。われわれは1つである。その標語が掲げられていました。そういう時代を作ろうじゃありませんか。国境を越えて、お互いに国境というものを感じなくなるような、そんな世の中を作り上げていく。そこに初めて、新たな日本というものを取り戻すことができる。私はそのように思っています。国を開くこと。そのことの先に未来を開くことができる。私はそう確信をしています。ぜひ、新しい民主党、新しい政権をみなさま方のお力によってお作りをいただきたい。そのときに今、鳩山が申していた、どうも先の話だなと思っていたことが必ずみなさんの連携の中で、よし分かった。理解をしていただける、国民のみなさんのお気持ちになっていけると私はそう確信をしています」

こういう考え方を危ないとか気持ち悪いとか思う人は少ないんだろうか。お暮らしとか、お作りとか、これまでの日本語にはない奇妙な言い方に、違和感を覚える人は少ないんだろうか。

「話が長くなりました。私は済州島に行って、あのホテルの部屋の先にテラス、ありまして、そのテラスのところに1羽のムクドリが飛んでまいりました。どうもそのムクドリ、実はわが家にいるムクドリとまったく同じでした。あ、失礼。ヒヨドリであります。鳥の名前を間違えて。1羽のヒヨドリが済州島のホテルに飛んでまいりました。そのヒヨドリはわが家の、わが家から飛んできたヒヨドリかな。姿形が同じだからそのように勝手に解釈をして、そうか、この鳥も早く、もうそろそろ自宅に戻ってこいよ。そのことを招いているようにも感じたところでございます

ポエムと評している人もいるが、何が何だか意味がわからない。

 「雨の日には雨の中を、風の日は風の中を、自然に歩けるような、苦しいときには雨天の友。お互いにそのことを理解し合いながら、しかし、その先に国民のみなさんの未来というものをしっかり見つめ合いながら、手を携えてこの国難とも言えるときに、ぜひみなさん、耐えながら、そして国民との対話の中で、新しい時代をつかみ取っていこうではありませんか。きょうはそのことを、みなさま方にお願いを申し上げながら、大変ふつつかな私でございましたけれども、今日まで8カ月あまり、みなさんとともに、その先頭に立って歩ませていただいたことに心から感謝を申し上げながら、私からの国民のみなさん、特にお集まりのみなさま方へのメッセージといたします。ご静聴ありがとうございました」

国難を招いた元凶が何を言うか。
国会答弁などでもそうなのだが、この人の話は長くて無駄な言い回しが多いので、聞いているのが非常に辛い。だが共通しているのは、最後だけは必ず、耳触りのいい言葉で締めること。中身スッカスカなのに。褒めてる人は、本当に感動したのか?どこに?ちゃんと聞いたのはこの最後の部分だけじゃないの?

ツッコミ疲れた。だが最後にこれだけは書いておく。
気味の悪い「お」つき言葉も、確信だらけの過信も、薄汚れた「クリーン」も、意味不明のポエムまがいも、どうでもいい。
だけど、前日に宮崎入りしていながら、翌日辞任、しかも演説の中に口蹄疫の「こ」の字も入れていなかったことは見過ごせない。政治家として以前に、人間としてどうなのか。

そしてそのことを言わないばかりか、持ち上げるマスコミとその関係者たちは一体何なのか。