2009年12月29日火曜日

12月に読んだ本

カール・セーガン「悪霊にさいなまれる世界」上下巻

以前、ニセ科学批判を行うサイトで紹介されていて、ずっと気になっていた本。文庫で出ていたので買ってみた。読みやすい文章だが、内容は濃いので読破するのに結構時間がかかった。
「人は誤りを犯すものである」だから、エラー修正機能は必須であり、それが正常にかつ偏りなく機能するためには、言論の自由が保障された社会と充分な教育が必要である、という話。
「懐疑的」という言葉の誤解もこれで解けた。「○○に懐疑的」というと、かなり否定的なニュアンスにとらえられがちだが(マスコミの責任も大)、「懐疑」は否定することではなく、「本当にそうなのか?」と疑うこと、根拠と検証を求めることである。
ちなみにセーガンおじ様は本書で、日本と日本の教育を大変褒めていらっしゃる。だけどこの本が出た年に、ちょうど学校の週休二日制が決まり、ゆとり教育も始まったのであった。ここで述べられているアメリカの教育への批判は、まさに今の日本にも当てはまるような気がして、ちょっと暗い気持ちに。


「風に舞い上がるビニールシート」森 絵都

森さんの本はこれが初めて。直木賞受賞作であり、表題の作品はドラマにもなった。
短編集だが、すべての作品がそれぞれ確りしたテーマを持っており、読み応え抜群。
「鐘の音」などは大河ドラマにもなりそうな内容。
個人的には「器を探して」と「ジェネレーションX」が好き。道行きものが好きなのか、私。
「ビニールシート」が一番重いテーマを扱っているにもかかわらず一番軽い話になっている。いつかこのテーマで長編を書いてほしいもの。

2009年12月14日月曜日

ギネ終了! JINあと一回。

とうとう最後まで観てしまった「ギネ」。案の定な終わり方だったが、最後近くの君島先生のセリフはなかなかだったので、再録しておく。

小笠原行きの船に乗り込む列に並ぶ、柊先生とその息子。そこに駆けつけた玉木と君島。あなたは小笠原で何をする気なの? と詰問する君島に柊先生
「まだ具体的には何も決めていません」(←息子も連れてくのにこれはないよね)「徳本さんのことがあって考えました」「小笠原には産科医がいない、島の妊婦さんと生活をともにすることでもっとお産を知りたい」「高度医療の現場だけがお産ではないと思います」
などと力説。君島先生怒り心頭、
「女学生みたいな考えはやめなさい!」
とバッサリ切り捨てる。

「女の子の心の旅じゃないのよ! そんな甘い気持ちで医療の問題は解決しないわ。小笠原で妊娠した人は、30週になったら本土に移動してお産をしなきゃならない、それは確かに大変だけど、貴方があっちへいくことで、みんなが島でお産をするようになったらどうなると思うの? それまでなんともなくても、急にハイリスクになることもあるのよ。NICUもなく、新生児科の先生もいないところで、あなたはハイリスクの妊婦さんをどうするつもりなの? 飛行場だってないのよ! 赤ちゃんや妊婦さんが死んだら、あなたが殺したことになるわ! これだけ長いことギネやってて、何でそれがわかんないの!」(←このセリフ、もっと前に聞きたかったです、君島先生)

で、まだまだ修行が足りん! 私が鍛えてあげるから戻ってきなさい! で柊、しゅん。
小笠原の妊婦さんについてはどうするんですか? という玉木の質問に君島、人員体制や移動手段など、行政と相談しながら総合的に考えていくべき、個人でどうこういう問題じゃないと一喝。

……えーと、柊先生を教育なさるのはかなり大変かと思いますが……人手不足なので仕方がないのでしょう。柊先生、精進してくださいね。てか、いくら忙しくても自分の息子をそんなに振り回しちゃダメやん。転校手続きもしたんでしょ? 母としても、あまりに考えなさすぎ。ものわかりのいい(良すぎる)息子、心配だぞ。

さて「JIN」です。今回はさきさん主役。ニブチンの仁先生ちょっと分が悪い感じですが、来週は最終回すぺさる一時間半、どうやって終わらせるのか。
旦那曰く、漫画とは全然違う、そうで。原作は色恋要素はあまりなくて「沈黙の艦隊」医者版、みたいな感じらしい。ほ、ほんとか?(艦長好き♪)
まあ、どちらにしても、この「まっすぐな感じ」がすごくいい。真っ当な感じというか。人間性に何ら問題なく、真摯な努力も怠らない人が、それでも様々に悩み苦しみ葛藤する姿というのは清々しい。

このところ
「真っ当な人を真っ当に描く」
ことが少なかったんじゃないだろうか。
「ギネ」でもっとも不快な点は、柊のような傲慢でKYな医師で、いろいろやらかしても、なぜか必ず味方がいて、不自然なまでに献身的に助けてくれて何となくうまく行っちゃうというような構図。コメディならともかく、シリアスドラマであの展開はあまりにご都合主義。最後まで、なぜに君島がこれほどまでに柊をかばうのか、さっぱり理解できなかった。まあ最後のは、小笠原行きを阻止するために言ったんだろうけど(自分が見てないと何するかわかんない、というのもあり)。
「ギネ」の柊先生は医師として云々以前に人間としてダメじゃ? というようなことを某お医者さまのブログで発言したら「医師という職業は、社会人として、人間としてダメでも、医師としてはまあまあ優秀、という人がいる業界なんですよね。『医者は常識がない』とかよく言われますしね」などと自嘲気味のコメントを返されてしまった。
いやいやでもね、それをあげつらうのがこのドラマの目的ってわけじゃないですよね。

読売ONLINE「脚本家の仕事とは」より引用

社会的意義のあるドラマではありますが、啓蒙のためにやっているわけではありません。様々な矛盾を抱えて生きる人々のささやかな応援歌になることが、私の願いです。でも、最後まで見ていただければ、産婦人科医の仕事は素晴らしい、と思っていただけると思いますし、産婦人科医をめざす人が増えるといいなとも思っています。

前者のはともかく、後者はどうかなあ???
これだけ医療崩壊が深刻な今なら、はっきり「啓蒙」のため書いてもよかったんじゃないかな。とにもかくにも、柊をもっと魅力的な医師にしておいてほしかった。
まあ、いち主婦の無責任な意見ではありますが。

ああ、「JIN」が終わるのは寂しいなあ。映画化しないかな。深夜アニメ化でもよし。

2009年12月7日月曜日

とほほのギネ、いとしのJIN

今週の「JIN」も、見どころたくさんで満足でありんした(←変)。
江戸の大火の場面が一番の見せどころだったと思うが、今回なんといっても鈴風さんが仁に迫る場面が。

何しろ大沢たかおさんは、困った顔をさせたら天下一品の俳優(と勝手に断言)。吉原の花魁といえば名実ともに女子力最強、しかも恋人激似の鈴風さんのなりふり構わないアタックに、耐えに耐えて、あぁもうダメかも……と自制心がついえていく風情、胸キュンしなかった女子はいないであろう。
いや微妙に女子の感覚じゃなかったかも。私はあの場面観て、若くてすれてない、可愛い女の子に目じりを下げるオジサンの気持ちが一瞬わかったような気がした。とすると極めてオヤジ的な胸キュンか? それか萌えってやつですか? いや、別に私のことはどうでもよくて。

とにかくそのあとで、中村敦夫さん演じる「を組」の辰二郎さんに啖呵を切られ、切り返す仁の凛々しさといったらもう。あのシーンのあとにこれですかーっ惚れてしまうやないのっ。本当にもう、呆れるくらいよく出来ている。脚本も、演じる俳優も、音楽も。
類型的といえばそうなのだけど、一人ひとりの人物、一つ一つのシーンやエピソードがぴたりとはまってるので、素直に乗せられてしまう。
ちなみに辰二郎さんも、最後に笑いだす前の一瞬泣きそうな顔、あちきは見逃しませんでしたえ(←やっぱり変)。

で、「ギネ」ですよ。
何だかなにもかも迷走しています。
この病院、変な人ばっかりじゃん。病院長の「柊は疫病神だ」て言葉にうんうんと頷いてしまう私。
君島先生が懸命にかばう理由が観てる方にもわからんぞ。それに先々週くらいで成長したはずの柊せんせ、またやらかしてるし。

あと、大事なこと。

病院が救急車からの要請を断るのは
「受け入れるための設備・要員が不足(医師がいない・必要な治療が不可能)だから」
であって
「どうしても患者を助けようという正義感に欠けるから」
ではない。
「ギネ」の柊のように「患者をすべて受け入れる」とやってたら、おそらく患者の死亡率も上がるし医師の過労死も増えるだろう。
「たらいまわし」は病院が無責任なせい、ではない。
そりゃ一部に問題ある病院や医師は存在するだろうが、大多数は極めて真面目に、心身が擦り切れるほど働いているのである。

今週、最終回だそうな。
どうやってまとめるんでしょ。その興味だけで観るかも。