2009年7月25日土曜日

七月に読んだ本 その2

「僕たちの戦争」荻原 浩
こちらも図書館で借りました、荻原さんも実はお初
気にはなっていた作家さん、および作品なので
これは読まねばなるまいと思ったのでした

さてその理由ですが

この作品読まれてない方はここからネタバレです、注意!

茨城の海辺でサーフィンをしていた現代の若者と
終戦前年、同じ海で訓練飛行していた海軍の若者が
入れ替わる形でタイムスリップします
二人は誰もが見間違うほどよく似ていて、それぞれの時代で騒動を巻き起こします

じつは以前、やっぱり現代の若者が突然終戦前年にタイムスリップする
という長編を書いたことがありまして
初めての長編だったもんですから(といいわけ)いろいろ盛り込みすぎて
ワケわかんなくなって最後てきとーにまとめちゃった、と
有体にいえば、失敗作です

なので自身の反省点も含め、人気作家荻原さんがどのようにこのネタを
料理するのかがとても気になったので
借りてしまいました(買ってないところが、ややダメな感じですが)

冒頭から中盤までは圧倒されました
何しろ日本海軍パイロットの生活が事細かに、いきいきと描かれていて
現代の若者をそこに投入したらどんなことになるか
ハラハラしながら読みました
逆に現代にやってきた帝国軍人若者の戸惑いもうまく描かれていた

二つの時代に、違う時代の人間を放り込んで、それを書いていくというのは
なかなか大変です
面白いけど、キツイなあ、どっちかだったらまだ楽なのに
と思いつつ読み進んでいくと・・・・

うーん、やっぱりラストはこうかあ・・・
だよねえ・・・・

タイムスリップの難しいところは、必ず「歴史を変える」という問題がつきまとうこと
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のように開き直ってガンガンいくか
「蒲生邸事件」(宮部みゆき)のように、基本歴史は変えられない、と決め打つか
「時をかける少女」(筒井康隆)のように超限定範囲、にするか
はたまたパラレルワールドがどんどん枝分かれする、そこに焦点をおくか

私が言うのもなんですが、苦労するところはそこなんです
荻原さんも相当迷ったのではないでしょうか
ラスト、ちょっと曖昧すぎかな? とは思ったんですが
ネットのレビューなどをのぞくと、評価は決して悪くない
小説指南本などによく「冒頭が大事。ラストは正直どうでもいい」という説がありますが
確かに読書って過程が大事だよなあ
途中がすごくいいのにラストがいまいち、っていうのはよくあるけど
だからって心底腹が立つ、読んで損したっていうようなのは滅多にない
途中が全然ダメでラストだけいいってことはあり得ないし(ていうかそういうものは途中で挫折する)

とにかく思ったのは
タイムスリップものは、開き直るしかない
自分の決めた論理(きっちり作っとかないとダメ!)に従い突き進むべし!
よーし、いつかこの反省を糧に書きなおすぞ!

2009年7月22日水曜日

七月に読んだ本

図書館でまとめ借りした本の数々についてのメモ

「長い長い殺人」宮部みゆき
えーと、これは「模倣犯」の前振りのような作品でした
最初はそれほど深くつっこまないつもりだったのかな? 何しろ語り手が「財布」
なんとなく可愛い、ですし描写もさすがにうまいのですが
先に「模倣犯」を読んでしまった私には物足りなかった
まだ「模倣犯」いってない方はどうぞ♪

「メタボラ」桐野夏生
朝日新聞に連載していた当時、ちょっとだけ読んだことがあって、ずっと気になっていた作品でした
記憶を失った「僕」の行く末は、続きを読んだら余計迷宮にはまった感じですが
人物造形、構成さすがにうまい
出てくる男子がいちいちダメンズばっかりなんですが、妙に魅力的
桐野さんの作品では珍しく、男子が主人公
女子を描くときのような辛辣さがなく
(辛辣にしようとしてるのにしきれない感じ)
あ、桐野さんこの主人公に惚れてるな、と思いました
そのせいか、相当ハードな話で、微妙にハッピーエンドではないにもかかわらず、読後感はよかった

「吉祥寺幸荘物語」花村萬月
吉祥寺、この間いったばっかりなので、なんとなく借りてみた
実は花村作品はこれが初!
主人公は小説家を目指す若者
女の子と付き合ったことのない非モテ系のビンボー男子が
幸荘の住民たちとのかかわりで成長していく話、と書くと
普通の青春物語みたいだが
そこは萬月さん(ってこれ以外知らないが)
おおおここまで書いていいの?というくらいたたみかける
主人公が経験を積むごとにどんどん自信をつけてかっこよくなっていくのがなんと言いますか
男子的妄想なんですが
こういう妄想なら女子でも読んでて楽しめます、けっこうひどい奴なのになんか憎めない
これは萬月さん自身なのかな、と思ったりしました

「私が語り始めた彼は」三浦しをん
三浦さんのもこれが初めて!
とてもよかった、他のも読んでみたい
不倫を繰り返す男の周辺を描いていくのですが
ひとりひとりが類型におちず
とても魅力的
文章も美しく、引っかかるところがない
適切な言葉を適切な場所で使っている感じ
しかし
最後の書き下ろし部分は、不要だったかもしれんなー
というか、長すぎかなー
いやー、でもだからどうしろと言われると、わかんないかもー
などと思いました
きっちりした構成でとても読みやすく書かれています

「温室デイズ」瀬尾まいこ
瀬尾さんのエッセイはよく読んでいましたが小説は初めて
(そう、今回はほとんど初めてシリーズです)
繊細で的確な視線が気持ちいい
容易に答えが出ない問題を
一気に解決しようとするのではなく
まず逃げずに受け入れる努力をする
口で言うのは簡単だが、実際なかなかできないことだ
中学の先生だそうですが
うちの娘もこんな先生に教わりたいもの
文章もまた優しく心地よい、いつまでも読んでいたい感じ

2009年7月6日月曜日

ラノベのチラ見

最近、中学生になった長女はいわゆる「ラノベ」=ライトノベルばっかり読んでいる
学校の図書室に山と置いてあるそうな
表紙は漫画風イラスト
作者名もどことなく漫画家風な、普通ではちょっとありえない名前
あまりに毎日のように借りてくるので
どんなもんかと開いてみたら

なんじゃこりゃー!

ある場面で八人の登場人物が出てくる、しかも一気に
戦闘シーンとかいうのではなく
一つの部屋に八人がいる
さて、あなたは書けますか?八人の場面

それがどういうのになってるかというと
(名前は仮名、セリフは創作となっております(笑))

「ねえ、ちょっと」
とアリサ。
「なに」
ロン。
「これ誰が撮ったのかな?」
サリー。
「しらん」
カイルがそっけない。
「あーあ、俺やるきなし」
サイモン。
「なんでー? ちゃんとやろうよ」
メイがいう。
「んが」
とピートが欠伸。
「ちょっとって何がちょっとなの、アリサ」
イメルダが聞く。
「俺、これ好き」
マック。
「みんな、ちょっと聞いて」
マリーが立ちあがった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おーい

長女、あんたは確かに漫画好きで
毎日毎日、宿題後回しで読んでたりするが
その一方で
「ハリポタ」から始まって「闇の狩人」シリーズ、「ナルニア国物語」「ゲド戦記」
なんかも読破
宮部みゆきも東野圭吾「ガリレオ」シリーズも読む

そのあんたが

これ

読んでどうも思わんのか???

漫画ならいいぞ
絵があるから
こいつはどういうやつで、という情報がぱっと見で手に入る

最初から読まず、ぱっと開けたところを読んだ私が悪いのかっ
しかし
これは
あまりにあまりに
あんまりじゃあありませんかっ

読んでみるべきなのかもしれんが
時間がもったいない
これなら
「青い鳥文庫」の「若おかみシリーズ」の方がずっとマシ
軽いノリではあるものの
文章も物語も一応しかと形がある

ラノベ、お前はどこにいくんだ
こういうの「だけ」を読んだ若者はいったいどういう風になるのだ?

引き続き研究予定だが
読みたくねぇー
です