「桜田門外ノ変(映画)」「雪の花(本)」

おさ子です。のんびりまったり生きましょう。
俺のせいじゃない。 何度も、何度もそう言い聞かせてきた。俺には何の責任もないと。知らなかったから仕方ないと。すべてはあの女が悪いのだと。 マスクを通した息が白く凍って、薄汚れた革のコートにまとわりつく。 気温は午後から徐々に下がり始め、日が落ちた今は刺すようにつめたい...
多忙につき更新も滞り気味で候。あと一息なので頑張る(何を)。 映画.comより (c)「桜田門外ノ変」製作委員会 「桜田門外ノ変」 佐藤純彌(2010) 吉村昭さんの同名小説を元にした映画(以前書いた記事は こちら )。監督は2019年に亡くなられているが、今般話題の「新幹線...
あー忙しい。忙しいのに何か書いてないと落ち着かない。 「憤怒」上下 パトリシア・コーンウェル Livid Patricia Cornwell(2022) 上下巻なのに薄い。そして高い。翻訳ものが高めなのは仕方ないのだけど辛いわー。 それはともかく「検屍官」シリーズ第...
九月に入ると、小野の尼君はまたもや初瀬詣でを思い立った。 亡き娘を諦めきれないまま寂しく心細い山里暮らしを長年続けていたところに、降ってわいたような浮舟という存在―――尼君にはとても赤の他人とは思えなかった。兄僧都には否定されたが、やはりあの時詣でた観音の効験にちがいない、な...
たまたまX(Twitter)で見かけて。アカデミー賞は逃したものの「長編映画」「長編アニメーション」「長編ドキュメンタリー」の3部門に同時ノミネートされた。 アニメーション、ドキュメンタリーといった映像表現の垣根を超え数々の映画賞を受賞した、デンマークほか合作による映画『F...
ColBase:伊勢物語 鳥の子図 新しい年が明けた。 まだ春のきざしは見えず、川はすっかり凍って水の音すらしない。あまりの心細さに、 「貴女に心惑わされたが、道には迷わなかった」 という匂宮の言葉を思い出す浮舟。恋心は枯れ果てたが、その時の場面だけは心に焼きついている。...
薫は、筑波山に分け入りたい―――つまり常陸国守の娘である姫君に想いを懸けたい気持ちはあるものの、そんな「端山の繁り」まで一気に踏み込んで熱中してしまうのもあまりに軽率だし外聞も悪い。なんだかんだで腰が引けて、文すら送れないでいた。 ※筑波山端山繁山繁けれど思ひ入るには障らざりけ...