東屋 一
薫は、筑波山に分け入りたい―――つまり常陸国守の娘である姫君に想いを懸けたい気持ちはあるものの、そんな「端山の繁り」まで一気に踏み込んで熱中してしまうのもあまりに軽率だし外聞も悪い。なんだかんだで腰が引けて、文すら送れないでいた。
※筑波山端山繁山繁けれど思ひ入るには障らざりけり(新古今集恋一-一〇一三 源重之)
姫君の母親・中将の君のもとには弁の尼から薫の思いを匂わせる文が再三送りつけられたが、あまりにも身分が違いすぎて到底本気とは思えない。
「故宮のお血筋をずっと探しておられて遂に見つけた、と……それはまたよくよくのお話だろうけれども、内親王さまとご婚姻なさるほどのハイクラースなお方と宿縁だなんて……こんな数ならぬ身の私どもなど、とてもとても」
常陸国守の家には大勢の子がいた。亡くなった先妻の子、中将の君から生まれた子を合わせて五、六人、一番下はまだ幼児である。常陸守はどちらの子供達も可愛がっていたが、ただ一人血の繋がらない連れ子の姫君には冷たかった。同じ中将の君から生まれた妹は「姫君」として大事に傅いているのに、である。
そんな夫の態度を常々恨めしく思っていた中将の君は、
「この子を何とかして良さそうな人に縁づけて、面目の立つような暮らしをさせてやりたい」
と明けても暮れても頭を悩ませていた。
十人並の容姿で他の子供たちと変わるところがなかったなら気に病むこともない。夫の娘たち同様に扱えばよいことである。が、この姫君は何から何まで明らかに別格の存在であり、このまま地方受領の家に埋没させるには惜しい。
娘が多い家とあって、恋文を送り言い寄ってくる自称「公達」は引きもきらない。先妻腹の娘二、三人は、北の方である中将の君がそれぞれ手を尽くして結婚させた。今はこの姫君一人に力を注ぎ、朝夕目を離さず撫でさすらんばかりに世話をしている。
常陸守も決して卑しい生まれではない。上達部の血筋で、一族揃って見目も良く裕福である。身分なりの自尊心は高く、家の中も一定の格を保ち小ざっぱりと住みなしていた。ただ風流も好む割には、いささか荒っぽく田舎びている。
若い頃から京を遠く離れた地に埋もれて長年過したせいか、荒れただみ声になり、何か言うと田舎訛りが出る。権勢ある家に対しては過剰なほどに警戒し頭を下げひたすら畏まる、万事抜け目のない印象である。風雅に音楽を嗜む道には疎いが、弓を引くに長けている。
身分の低さは意に介さず、ただその財力につられて、見目もよい若い女房連中が集まる家であった。衣裳も身なりも思うさま整え、下手な歌合わせや物語、庚申待ちの会など催して、ただただ派手に騒ぐだけの「ナンチャッテ風流」を好む常陸守だが、恋文を寄越す若者たちは
「なんて雅なお暮しだ。きっと娘も才たけているに違いない。容姿もきっと美しいんだろう」
と、如何にも素晴らしいかのように褒めそやし、我こそはと恋心を披露しあう。
その中に左近少将という二十二、三歳くらいの「公達」がいた。落ち着いた風で学問の心得もある。その美点は誰しも認めるところだったが、特に華やかでも社交的でもなかったせいか通っていた女と縁が切れてしまい、此方に言い寄ってきていたのだ。
中将の君は、
「なみいる求婚者の中でも、この左近少将はまあまあ難がないかしらね。思慮深くて分別も弁えているし品もある。これより上のご身分の方は、ウチのような受領には見向きもしないだろうし……」
と見定めて彼の文を姫君に取り次ぎ、タイミングを見計らって色良い返事もさせた。すべて自身の心ひとつの采配である。
「夫に疎かにされようがなんだろうが、私は命に代えてもこの子を大事にお世話しよう。容姿や気立ての良いところを見れば、どんな人でもいい加減な扱いはするまい」
一大決心して、八月くらいにと約束もとりつけた。部屋の調度類をととのえ、ちょっとした遊び道具でも格別に美しく造らせて、蒔絵や螺鈿といった繊細で優れた趣向のものは姫君用にと取り隠した。他のやや落ちる方は
「此方がよろしいですわよ」
と、審美眼のない夫に押しつける。
守は守で、実子である妹姫のためにと、良し悪しに関わらず調度という調度をただ集めに集め、部屋中溢れかえらんばかりに並べ立てた。
内教坊の辺りから琴や琵琶の師を迎えて習わせ、一曲でも習得しようものなら師を伏し拝まんばかりに喜び、埋もれるほどの禄を取らせて持て囃す。調子の速い派手な曲を教えられ、趣ある夕暮れに師と合奏しようものなら感激の涙も流し、愚かしいまでに褒めたたえる。
多少は物の嗜みもある中将の君にとってはどれもこれも見苦しいばかりで、つい冷ややかな態度が表に出てしまう。
「我が娘を馬鹿にしているな!」
と、此方は此方で日頃から苦々しく思っていた。
さて左近少将だが、約束した日時を待たずに
「出来ればもっと早く」
と催促してきた。中将の君は、ここに至りさすがに独断で先走ることを憚った。少将にはまだ、姫君が常陸守の実子ではないことを知らせていなかったのだ。
(どうお思いになるやら……確認しないと)
中将の君は、初めから仲立ちしてくれていた男を近くに呼び寄せて話をした。
「いろいろと憚りが多くて、お申し出をいただいてから何か月も経ってしまいましてね。並々のご身分ではいらっしゃらない少将さまですから畏れ多くも心苦しくて。やっと決心はいたしたものの、父親のない娘ですから私一人で支度をするしかなく、傍目にも見苦しいのではないか、行き届かない点があろうかと今から心配をしております。若い娘達は大勢おりますものの、父親のありますものはどうにでも任せられますが、この姫君のことばかりは、儚い世の中を見るにつけ不安でなりませんの。人の情と申すものを弁えたお方と聞いて、このような事情があってもお許しいただけるかしらと……もし思わぬお心変わりがあれば、人の物笑いとなって悲しいですから、今申し上げた次第です」
仲介人がそのまま左近少将に伝えると、その表情は一気にかき曇った。
「なんだって?守の娘ではない?!そんなの聞いてないよ……同じ結婚でも人聞きが一段落ちる気がするし、出入りするにもし辛いんじゃない?よく調べもしないでうかうかといい加減な縁談を持ってきたものだな、お前も」
と言うので仲介人も口を尖らせた。
「私も詳しくは知らなかったんですよ……女房連中の知り合いの伝手でやり取りを始めた最初に、中で大事にされている娘さんだと聞いただけですもん。向こうが何も言わない先に、いきなり連れ子なんですか?なんて尋ねるわけないじゃありませんか。容姿も気立ても優れていらっしゃること、母君が可愛がっていらっしゃること、晴れがましく面目の立つような縁組をと大切にお世話なさっていることは存じ上げておりましたがね。だいたい貴方さまが
『どこかに守の家との婚姻を取り持ってくれる者はいないか』
と仰せでしたので、それならば伝手はありますよと申し上げた次第です。いい加減だなんだと非難されるいわれはございませんな」
腹黒く口も回る男にまくし立てられた少将は、いささか品の無い顔をしつつ、
「あんな受領ふぜいの家に通うなんて誰もよくは言わないよね。とはいえ昨今はよくある話で別に咎められることでもない。婿をメチャクチャもてなすことで粗を隠すみたいな例もあるしさ。ただ―――内輪じゃ実の娘同様と思っていても、外から見ればどうよ?連れ子と結婚してまで守に媚びるんだ~大変だね(笑)、ってなるよね。他の娘の婿たち、源少納言やら讃岐守やらが我が物顔で出入りするのをよそに、鼻も引っ掛けられないような有様で通うなんてあまりに惨めすぎない?」
などと言う。
この仲介人はむやみに媚びへつらいたがる性分なので、自分がまとめようとした縁談がご破算になるのが残念でたまらない。あれこれ考えを巡らせて、
「守の実の娘を娶りたいとお思いなら、少々年齢はお若いですが、妹君の方をいただけないか話をしてみましょうか?此方は守が『姫君』と呼んでそれは大事にしておられるようです」
と提案すると、左近少将は眉をひそめた。
「それはどうかな……初めから申し込んでた娘を差し置いて、別の娘にまた言い寄るなんてヤな感じじゃない?」
「……ではお断りに?」
「いや……待てよ。そもそも私は、あの常陸守の人物が堂々として老成しておられるからこそ後見役になっていただきたく……要は父親を見込んで結婚を考えたんだよね」
「はあ(ぶっちゃけ財産目当てってことね)」
「何も顔や姿のいい妻が欲しいわけじゃない。上品で優雅な女なんて、その気になれば簡単に手に入る。でもさ……貧しくて思うようにならない暮らしの中で風雅を好む人の行き着く先って、ショボイ家に住んでショボイ服着て人から人とも思われない境遇だよね。そういうの見ちゃうと、他人に少々馬鹿にされても平穏無事に世渡りしたいって思うよ、切実に」
「はあ。それで、どうなさいます?」
「守に話を持ち掛けてみて、受け入れて貰えそうだったらGO!だね。誰にどう思われようが、もうどうでもいいや」
結局乗った。
この仲介人、自身の妹がこの西の御方(姉姫君)に仕えている関係で、そこから左近少将の文の取り次ぎを始めたのだが、常陸守にしてみればよくも知らない赤の他人である。それがいきなりずかずかと守の部屋の前に乗り込んで、
「申し上げたいことがございます!」
と声を張り上げたものだから、
「なんだコイツ……最近この辺りで見る顔だが、此方が呼び出したわけでもないのに何しに来た?」
守は明らかにイラっとした様子だったが、
「左近少将殿のお文をお持ちしました!」
と言うので会うことにした。仲介人は如何にも人に聞かれたくないとばかりににじり寄り、滔々と話し出した。
「ここ何か月かずっと内の御方(北の方)にお便りを差し上げておりましたが、お許しがあり、今月辺りにとお約束したことがございます。吉日を選んでいつにするかと考えていましたら、ある人が申したことには―――
『確かに北の方のお計らいにございますが、その姫君は常陸守の娘御ではありません。良家の子弟がお通いになっては、継子まで妻にするほどへつらっているのかと悪く言われるでしょうね。そも公達がたが受領の婿になるのは、ひとえに私的な主君のように傅かれ、掌中の玉のように大事に後見されますのを期待してのことと世間でも言いますし、実際そういう方もいらっしゃる。しかしさすがに継子ではそんなお扱いは無理筋でしょうね……舅から婿として認めて貰えず、碌におもてなしもされずにお通いになるなんてお可哀想では?』
ということらしく、他にもそうだそうだと同調する者が大勢おりました故、ただ今少将さまはどうしたものかと大変お困りでいらっしゃる。
『最初から私は、堂々とした、後見者として頼るに足る、十分な声望のある家と見込んで求婚したのだ。継子がいらしたとは知らなかった。まだ年若い娘御も大勢いらっしゃるとのこと、元々の希望通り、実子の中からお一人お許しいただけたらどんなに嬉しいことだろう。ご意向を伺って参れ』
そう仰せつかったものですから」
「ほほう……そんなやりとりがありましたとは。私は詳しくも聞いておりません。実際、実子同様に扱うべき娘なのですが、他に不出来な子が沢山おりましてね。はかばかしからぬ身ながら懸命に世話をしておりましたら、母に当たる者が連れ子ゆえに分け隔てするのだろうと僻んだ物言いをしまして……あの娘のことには、私は一切口出し出来ないのです。少将さまのお話もチラッと小耳に挟んだ程度で……そうですか、私を見込まれてのお心と」
悪い気はしなかったのか、守はそのまま話し続ける。
「まことに嬉しいお心と存じます。私が特に可愛がっております女の子は、大勢の娘の中でもとりわけ、命に代えても幸せにしたく思っております。縁談を持ち掛けられたことも何度かありますが、今の世の人の心は移ろいやすいと聞いておりますので、かえって胸を痛めることになろうかと躊躇してしまい決心がつきませんでした。何とか不安なく過ごせるようにと、明け暮れ愛しく見守っております。左近少将殿におかれましては、御尊父の故大将殿にも若い頃からお仕えしてまいりましたので、お小さい頃から存じ上げております。際立って利発でいらっしゃいましたから、いつかお仕えしたいものよとお慕い申し上げておりましたが、遠国に長の年月を過しますうち縁も薄れたような気になりまして、ご挨拶にも伺わないままでした。その少将殿がわが愛娘をお望みと……返す返すも、仰せに従い娘を差し上げますのはたやすいことですが、妻にしてみればここ数か月のお申し出を私のせいで違えられた、と思うやもしれません。そこが気がかりなところです」
承諾したも同然である。
仲介人は内心ほくそ笑みつつ、つるつると喋り出した。
「そこまでお気になさることでもございません。少将殿のお心はただお一方……貴方さまのお許しをいただきたいと、それだけです。
『幼く年端のいかない娘御でも、実子で大事にされておられる方こそ私の希望に叶う。いやまったく、守のご存知ないところで北の方周りの思惑に乗るようなことがあってはならぬ』
とも仰っておられました。少将殿のお人柄はまことにご立派で、世間の評判もすこぶる良い方にございます。若い公達といっても、女受けを狙ってチャラチャラ気取るような真似はなさいませんし、世知にも長けていらっしゃいます。所領地も沢山ございます。今はまだ大したご威勢ではありませんが、何しろお産まれが高貴でいらっしゃいますからね、莫大な財産だけはあるただの人とはわけが違います。来年には四位になられるでしょう。次回の除目で蔵人頭の任官も間違いなしです。何しろ帝が直々に仰いましたからね。
『万事に申し分なく結構な朝臣が、妻も娶っていないとは。早くしかるべき人を選んで後見役をもうけよ。上達部には私の口ききで今日明日にでもしてやるぞ』
こうですよ?どうあっても、この少将殿ほど帝に親しくお仕えされている方はおられません。実際、飛び抜けて優れたお心持ちでいらして、威厳もございます。勿体なくも素晴らしい婿殿ではありませんか。お気持ちがあるうちにお心を決められた方が良うございますよ。あの殿には、あちこちに我も我もと婿に取り申し上げたい方がいらっしゃるので、此方に渋られる気配を察すれば、すぐ他に行ってしまわれるでしょう。私はただ、良縁をお勧め申し上げているだけにございます」
という調子でひたすら左近少将を持ち上げ、褒めちぎり続けた。さすがに盛り過ぎなのは否めないが、そこはどうしようもなく田舎者の守なのである。満面の笑みで、すべて真に受けていた。
「現時点でのご収入が心もとないことなどはもう仰いますな。某が命ある限り、頭上に捧げ奉りましょうぞ。決して不自由な思いはさせません。たとえ中途で寿命が尽きてお仕えがかなわなくなっても、遺産の宝物や所領地など一つとして取り合う者はおりません。すべて我が姫君一人に遺す所存です。子供は大勢おりますが、あの姫君はことほど左様に特別な存在なのでございます。少将殿がただ真心を以てお情けをかけてくださいますなら、何なりと致します―――大臣の地位をお望みとあらば、私がいくらでも財を傾け尽くしましょう。今上帝がそれほどお引き立てになるお方なら、ご後見に不安などありますまい。これは少将殿のためにも、某の娘のためにもなる、一挙両得の縁談といえるかもしれない」
諸手を上げて大賛成という守の様子に、仲介人の男もすっかり舞い上がり、妹にも事情を語らず、まして中将の君のところには寄りつきもせずにサッサと帰ってしまった。
左近少将に、
「実に結構なおめでたい話」
として守の言葉を伝えるも、少将自身はそこまで額面通りには捉えない。
(さすがに大げさすぎない?田舎のオッサンはこれだから。しかも大臣になるための贖労(ぞくろう)も出すって?!また突拍子のないことを……ありえないだろ)
苦笑しながらも満更でもなく、すっかり話を聞き終わった少将は、ふと不安にかられる。
「ところで……彼方の北の方にはこうなりましたって伝えた?あれ程熱心にしておいでだったのを此方がひっくり返す体になったわけだし、非常識だの道理が通らないだのと言われちゃいかねないよね……どうしよう」
しかし仲介人はあくまで強気である。
「そんなこと気になさる必要ないです。妹の方だってあの北の方の娘には違いないんですし、随分大事にお世話なすってるようですよ?ただ連れ子の姫君が一番年長で適齢期だから先にって、持って来られたお話なんですから」
少将は、
(ここ何か月かは、その連れ子の姫君を世にも珍しいほど大事に傅かれて~なんて言ってた癖に、いきなりこの言い草か。まあよい、一度は恨まれて、他人にも非難されても仕方ないか。長い目で見て頼もしい方を選ぶのが正解だよね)
と「世知に長けた」ところを発揮して心を決めた。日取りはそのままに相手だけ取り替えて、約束した夕暮れに通い始めることとした。
北の方――中将の君は、人知れず準備をし女房達の装束もととのえ、室内も風流に飾りつけた。姫君も髪を洗わせ身づくろいさせる。改めて見れば見る程、左近少将程度の男に娶わせるのも惜しい気がして、
(哀れな子……父宮に認知していただいて成長したならば、亡くなられても薫大将殿の仰るように、身分不相応なりに何とか出来ただろうに。だけど私一人がそう思っているだけで、他から見れば夫の実子と同様、ただの受領の娘でしかないだろうし、真実を知った人でも故宮に棄てられた子と見下すだろう……悲しいこと)
くよくよと思い悩む。
(どうすればいいのかしら……今更ながら迷う。でも、盛りを過ぎてしまっては元も子もない。卑しからず、特に難もない人があれほど熱心に申し出て下さっているのだから……)
中将の君にしても、あの言葉巧みな仲介人の甘言にまんまと騙された口である。約束した期日はもう明日明後日かと思うと、気もそぞろでどうにも落ち着かない。とてものんびりと構えてはいられず、そわそわと歩き回っているところに、常陸守が外から入って来た。
「私を分け隔てして、我が姫君に懸想した人を横取りしようとなさるとは、何と馬鹿々々しくも幼稚なやり口じゃないの?ご立派な貴女の娘御を求める公達などいるわけがない。身分も低く大したこともない私の娘をこそ是非にと仰ってくださるらしいぞ?うまいこと企んだつもりだろうが、彼方さまはまったくその気はない、他家の婿になるとお考えだったのを強いて引き留めて、それでは我が姫君はどうですかと、私がお許し申し上げたんだからな!」
口を挟む暇もなく一気にまくし立てた。そこには、いきなり手のひらを返された妻や連れ子への思いやりは欠片もない。
中将の君は呆れかえって言葉も出ない。言われた内容が徐々に腹落ちするに従って、情けなさがこみ上げて、涙も零れ落ちそうに滲んできた。中将の君は顔を背け、静かにその場を立ち去った。
参考HP「源氏物語の世界」他
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