「FLEE」
たまたまX(Twitter)で見かけて。アカデミー賞は逃したものの「長編映画」「長編アニメーション」「長編ドキュメンタリー」の3部門に同時ノミネートされた。
アニメーション、ドキュメンタリーといった映像表現の垣根を超え数々の映画賞を受賞した、デンマークほか合作による映画『FLEE フリー』をEテレで放送します。
— NHKアニメ (@nhk_animeworld) February 7, 2025
『FLEE フリー』
Eテレ2月24日(月・祝)午前0:45~2:15
※23日(日)深夜https://t.co/gATD9h0t2D
「FLEE」ヨナス・ポヘール・ラスムセン
Flee Jonas Poher Rasmussen(2022年、デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フランス合作)
「語り手(主人公)のアミンをはじめ周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作」したという、ちょっと珍しい形のドキュメンタリー。映像や音声が残っているわけではない、聞き語りの場合はこの手法が最適なのかもしれない。実写のニュース映像に被せるように絵が載っていくと同時に、「ニュースの中の人」は今そこに生きている一人の人間として立ち上がる。描写が細かすぎないのも良い。個人の記憶頼みの「体験談」はどうしても時間と共に変化してしまうものだからだ。報道もされて多数の映像や画像もあり、複数の証言もある事実に則したうえでのアニメによる「個人の体験」の表現は、本人が考えていた以上に「リアル」な感覚を呼んだのではないだろうか。
印象的だったのは、助けを求める難民たちを見下ろす大きな客船の乗客たちの振る舞い。今ならばスマホを向けるのだろう。彼らにとってはニュースで見聞きした現実が今そこにある、目の当たりにしている、という物珍しさだけであって完全なる余所事。実際いち乗客に何ができるわけではないし、同情や憐憫の気持ちも少なからずあったかもしれないがそういう話ではなく。難民たちからすればすぐ手の届きそうなところにある「希望」と見えていたものが、心情的にも身体的にもとんでもなく遠い存在だと思い知らされる、かなり残酷なシーンだった。
他者の内面にどれくらい踏み込めるものか(そもそも踏み込んでいいものかわからない)、全部理解できるとも思っていないが、ほんの少し「近い」気がした映画だった。抑制の効いた表現と美しい画面、普通に映画としてクオリティ高い。3部門ノミネートも納得。何で獲れなかった?と思ったが「砂の惑星」が総なめした年だった。日本の「ドライブ・マイ・カー」が初めて「国際映画賞」を勝ち取ってる年でもある(未見)。こういうのって運もタイミングもあるよね。面白かったです。

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