「憤怒」
あー忙しい。忙しいのに何か書いてないと落ち着かない。

「憤怒」上下 パトリシア・コーンウェル
Livid Patricia Cornwell(2022)
上下巻なのに薄い。そして高い。翻訳ものが高めなのは仕方ないのだけど辛いわー。
それはともかく「検屍官」シリーズ第26作。前回ヴァージニアの古巣に戻って来たケイ、邪悪な上司エルヴィンとその腰巾着女にまたも悩まされるの巻。しかし今回は嫌がらせというレベルじゃない。タイトル通り、関係者全員激おこものである。
原題のLIVIDは「激怒」の意味のほか「青黒い」もあって、今作で出てくる新型武器による被害にもかかってる。この武器がまためっぽうエグい。ドローン武器も随分早くから作品の中で取り上げていたコーンウェル女史なので、これもいずれ実用化されるのかな……と思うと恐ろしすぎる。
しかしいつも思うことだが、ケイが割に無防備というか、「王家の紋章」のキャロルばりに狙われやすく隙だらけ。お料理場面と同様、一種の様式美になっているんだろうけど、超有能なルーシーやベントンがついてて何やってんのという気はする。あとマリーノがいついかなる時も有能かついいヤツ。あのドロシーを上手く操縦出来るくらいだから、ベントンよりずっといい男だと思うんだけどな。やっぱ見た目なんよね、てとこがあからさまでしんどい。ケイは初手から相当の、人並外れた面食いなんだもの。常にストレス過多の、気を抜くと病みかねない仕事だから仕方ないんだろうけど。
さてまだまだ行ける感じのこのシリーズだけど、次作以降で今のアメリカを作者がどう描くか、非常に興味深い。およそ最先端とは言い難い古めかしいやり方の暗殺からギリ逃れた大統領が、色々とぶっ壊していく様をどう見てるだろうか(エルヴィンのモデルかなとうっすら思ってたけど更に斜め上をいってる)。事実は小説より奇なりというが、この予測のつかない混迷をどうフィクションに落とし込んで料理するか、やや不謹慎ながら(他人事でもない)楽しみにしてる。

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