「眠れる美女たち」「ゴーストハント6・7 海からくるもの・扉を開けて」

 積読消化中(常にだけど)。



「眠れる美女たち 上下巻」スティーブン・キング/オーウェン・キング (訳)白石朗

Sleeping Beauties  Stephen King / Owen King (2020)


親子合作。オーウェンは次男。奥様も長男も作家。

ざっくり前提(あえて梗概かかない):

ある日突然、眠りに落ちた女性たちの体を繭が覆い始めた。生きてはいるが目覚めない。無理に繭をはがそうとすると狂暴化して襲いかかられるので迂闊に触れない。「オーロラ病」と名付けられたこの奇病は治す手立てもなく世界中に広がり各所で混乱をきたす。

【以下、ネタバレ注意】

 現実世界に「極めて望ましくない、嫌な状況」をぶち込んでどうなるかを書く、というキング定番の形。「アンダー・ザ・ドーム」や「スタンド」に似た雰囲気もある。今回の舞台の中心はアメリカの片田舎にある女子刑務所。小さなコミュニティが「女性だけがかかる奇病」に翻弄されるさまが、今のコロナ禍やジェンダー、DV、ミソジニーなどの問題を浮き彫りにしていくといった感じ。

 こうして書いてみると「いつものキング」なのだが、何だろう―――今回、予定調和とまではいかないが、背景に横たわる特定の思想がはっきり見えてしまって、それに基づいて話が展開しているような気がしてならなかった。途中で父キングが相当加筆修正を入れたというが(訳者の後書きより)元はもっとこの傾向が強かったのか、それとも全然なかったのか。個人的には前者だと思う。若いオーウェンが色濃く何かに染まっているのを、こりゃさすがにってことで父キングがいくらかぼやかした?逆かもしれないし、全くの的外れかもしれない。オーウェンが書いたものは読んだことがないから何とも言えないが、キングならもう少し「わざとらしくなく」書いたと思うのよね。

 もちろん全体的には「ほぼ」いつものキングではあって、最後まで面白く読めたのは読めた。では、この拭いきれない違和感はいったい何処から?

 そもそもキングはこれまでも作品の中で必ず社会的な問題を多く取り入れているので、その点が引っかかったわけではない。多数の登場人物のバックグランドを詳細に書き込むというのもいつものこと。女たちが迷い込む「異世界」もキングがよく描くイメージではある。

 ただ、女性だけのコミューンが何だかリアリティがないのだ。そもそもファンタジーワールドなんだからと言われればそうだけど、あまりにも皆が「おりこうさん」すぎて。いやいやいや、そこまでうまくいかないでしょうと女としては思ってしまう。「同じ女」というだけでは括れない事象は山ほどある。暴力がすべからく男からだけ生み出されるのか、といったらそんなことはないし、生まれも育ちも教育程度も何もかも違う集団が合意形成するのって、男女に限らず相当難しいぞ?

 女というものを「過剰に」神聖化しすぎてるし、後の方にいくほど何か「選ばれし者」的な感じになっていくところ、以前のキング作品にも確かにあった。あったけれど、圧倒的なストーリーの流れに一気に持ってかれて全然気にならなかった。ちょっとスピード感と推進力に欠けてる気がするの、この長さにしては。「スタンド」みたいに大長編ならこれでもいいのかもだけど、やっぱり盛り込んだ色々を料理しきれていない感がある。妻のタビサさんは読んでどう思ったんだろうか。ある意味イマドキな感じはすごくするけれど。

 ただ結果として、誰が勝つだの負けるだのいう話ではないし、別にどっちかが過剰に祭り上げられるわけでもない。多大な犠牲を払っても特に何も変わらない、モヤモヤしたこの感じ、まさに今のアメリカかもしれない。もしかしたらキング親子の壮大な皮肉に引っかかったのか?なんか悔しい。



「ゴーストハント6 海からくるもの」小野不由美

家と土地にまつわる因縁話。ビジュアル的には横溝正史、中身はあの「残穢」の前身かと思われる筋書きで、私の好みドストライク。一気に読んでしまった。後書きが映画版の監督さん(中村義洋氏)で、映画のラストについて各方面から散々「見せちゃったら怖くないじゃん」的な言われ方をされて(私も言ってたわw)相当凹まれたらしいが、ゴーストハントシリーズの「乙女ノ祈り」とか「死霊遊戯」とか、見せても怖いじゃん!と反論?なさってて面白かった。本当に映画化してくれないかしらん。出来ればあの時代のままで。


「ゴーストハント7 扉を開けて」小野不由美

 シリーズ最終巻。ああ、ついに終わってしまった。この二冊が同時に出た意味もよくわかる。はっきり続いている。「家族」や「一族」といった繋がりを軸にした6の案件から東京へと帰る道中で足止めを食らい(引っ張られて)、SPRとナルの正体も一緒に明かされる。

 ネタバレしないように触りだけ言うと、

 前作で依頼を受けた旅館からの帰り道、迷って辿り着いた場所でナルが「探していた何か」を見つける。その捜索の間、他のメンバーもその地に留まったが、そこに地元の助役から案件が舞い込む。とある廃校を調査してほしいというものだ。そこで起こる数々の異常現象……

 此方も一気読みしてしまった。これで終わりかと思うと寂しくてゆっくり読みたかったがそれどころではない。で、ふー面白かったと余韻に浸っていると、いつもの友人からメッセージ。怖い話がああああと。

「私と旦那に起きた不思議な話」

 これだけでもけっこう怖い(最終話まだアップされてない8/31現在)のだが、友人曰くコメントにあった

「この話とそっくりな漫画がある」

 という情報を追うと、本当にあった。しかももっと怖い。

「僕の記憶は本物か?」

 ヒイイ、何コレ。まんまやん……(ぞぞぞぞ

 さらに後者の方、「扉を開けて」の流れにすごく似通ったところがある。子供絡みであること、事件絡みであること。ちなみに、この友人に「今ゴーストハント読んでるんだー」なんて話はまるでしていない。

 あまり詳しくいうとアレなんで、ご興味のある方はどぞ。自己責任でね。

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