「望月の烏」

  ガテン仕事もあと少し。今年は案外早かった気がする。

「望月の烏」阿部智里(2024)

 八咫烏シリーズももはや終盤。最終刊が出るというお知らせも観た、ところからの文庫版(サイン入り!)。いつもいつも一筋縄ではいかないストーリーと展開を華麗に繰り広げている阿部さん、これからまた一ひねり二ひねりあるんだろうなあと期待は高まるばかり。次が出るまでの準備として適当にどんな話だったかを書いとく。

 さてこの「望月の烏」も、「楽園の烏」に至るまでの過去編である。冒頭はまたもお后選び。主上の寵を得んと、東西南北四つの家の姫が鎬を削る異世界ロマン……と思いきや全然違った「烏に単は似合わない」と同様、最初から趨勢が決定しており四家の姫たちも全員が承知している完全な出来レース。殺された金烏奈月彦(「追憶の烏」)に替わり、四家が推す金烏代として後釜に据えられた凪彦は上皇とあせびの息子、つまり今の桜花宮を仕切る大紫の御前はあの「あせび」なのだ!この状況だけでだいぶエグい。

 山内の危機を知る僅かな山内衆の一人・博陸侯雪斎(雪哉)は、絶賛「キレちまったよ」状態で政治的実権を握っている。何せキレてるので、当然闇に手を突っ込みまくりである。闇堕ちなんて甘いもんじゃない。文字通り四面楚歌の中、必ず来る破滅に向け冷徹に準備を進めているその姿は、どこからどう見ても「押しも押されぬ(悪辣な)最高権力者」にしか見えない。しかし今望月ということは道長よろしく、今後は欠けていくばかり。うむむむ。映画だと「地球の危機に瀕した人類が敵味方なく団結して立ち向かう」図がよくあるけど、実際にはなかなか難しいんだろな、とつくづく思う。

「民衆を悪政から救う」ための変革を望む「落女」澄生の存在は、果たして吉と出るのか凶と出るのか。見目麗しく賢い彼女はまさにヒロインキャラそのものだが、そこは阿部さんなので単純ではない。貧民出身の官僚・俵之丞が彼女の本質をガッツリ浮き彫りにしてくれる(この俵之丞、大変良いキャラだ)。この子も素性を含め、何らかのコマとして使われる未来が見える。つか既に使われてたよね「楽園」で。「はじめ」ともども。これも奈月彦の意思なのか?

 となると個人的には、北家(雪哉の出身家)が大きな鍵な気もする。今回出てきたお后候補の一人・北家の鶴が音があまりにわかりやすい悪役すぎて、すべて意図的なのでは?と疑ってる。各お姫様たちはどうでもよくて、おそらく大紫の御前(あせび)を探ろうとしてたんじゃなかろか。アイツが一番怖いもんね、正体も目的もワカランし。

 あーーー次が早く出てほしいような出てほしくないような複雑な気持ち。とはいえお待ち申し上げております。

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