2016年9月13日火曜日

九月に観た映画 3

「残穢(ざんえ)」中村義洋 2015
「鬼談百景」2015
 
子供が生まれてある程度大きくなるまで、何が怖いって子供といることが怖かった。圧倒的に弱い生き物と常に密着せざるを得ない状態というのは、つまり一人でいる時よりも数段「弱くなる」ということだ。これがなかなか精神的にキツイ。母は強くなる、というが、それは母の愛とか感情的な色々以前に、この最弱の組み合わせをレベルアップするには大人である母の方が強くなるしか方法がないからだ。母性本能ってつまりそういうことなんだろうと思う。
こういった焦燥感というか、恐怖感を子供の人数分味わった今では、お化けや幽霊はまったく怖くなくなった。そういう話を聞いてもその時うわあと思うだけで、夜怖くてトイレに行けないとか眠れないとかいうことは一切ない。それはそれでちょっとつまらないことではある。
とはいえ今でも怖い話は好きでよく読む。映画は久しぶりだったのだが、二作とも楽しめたことは楽しめた。特に「残穢」は相当トーンを抑え気味に始まって、じわじわと「繋がっていく」感じが中々にぞくぞくできてよかった。が、ラストが…うーん…正体がよくわからないから怖いのに、実体になっちゃったら単なるびっくり箱ですがな。小説と同じにするのは映像的に難しかったのかもしれないが、そこは何とか、もうひと工夫欲しかった。「鬼談」の方も、演出がちょっと派手すぎ。もう少しあの「そこはかとない怖さ」を表現してほしかった。
二作とも丁寧な造りで、竹内結子さんの語りが秀逸だっただけに惜しい。ただ、私以外の人が観れば怖いのかもしれん。基準がもうわからなくなってしまった。
 
「オデッセイ」リドリー・スコット 2016
 
怖いといえば、状況的にはよほどこっちのほうが怖い。火星探索に来ていた宇宙飛行士たち。嵐に見舞われ、ひとりが飛ばされて行方不明、生存絶望として船は出てしまう。一人残された男がいかにして救援が来るまでの日々を生き延びるか、という話。
そもそも宇宙飛行士じたい、生半可な人が就く職業ではない。頭脳明晰・優秀なのはもちろん、鋼の体力とメンタルも要求される(と、「宇宙兄弟」で読んだ)。絶望的な状況下でも、取り乱すことなく冷静に問題点を分析し、ひとつひとつ解決していくという、まさにサバイバル能力の超絶高い主人公であるからこそ成り立ったドラマだ。やっぱり色々知っていて、色々できることが多いほうが、生き延びる確率は上がるんだなーと実感する。
彼の帰還のために、国籍や人種の違いを超えてたくさんの人々が働き、祈る。きれいごとといえばそうかもしれないが、単なる根性とか精神論ではなく、優秀な頭脳と高い能力によって物事が動くさまは見ていて気持ちがいい。
この超絶エリートたちそれぞれの結構なオタクエピソード(でも重要事項)も面白かった。小説のほうも読んでみたい。

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