「センチメンタル・バリュー」
観ようと思っていた映画の時間を間違えていて、急遽こちらを観ることにした。雨の平日にもかかわらず結構な人出。雨だからか。2026年ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞受賞(ステラン・スカルスガルト:お父さん役)、2025年カンヌ国際映画祭コンペティション部門グランプリ(監督)。
— NOROSHI 『センチメンタル・バリュー』 (@noroshi_gaga) February 25, 2026
「センチメンタル・バリュー」ヨキアム・トリアー
Affeksjonsverdi / Joachim Trier(2025ノルウェー・フランス・デンマーク・ドイツ合作)
センチメンタル・バリューという言葉は「思い出の品」的な意味で、亡母の持ち物を整理している姉妹の会話中で何気なく出てくる。勿論「思い出の品」は良いものばかりではなく、長年家族の間で蟠りもつれた感情をも指している。以下ネタバレ注意:
一言でいってしまえば「離婚して家を出て行った父親と姉妹が、映画製作を通じて和解する話」なんだけれども、まず冒頭がとてもよい。古い家(この家はもはや主役といってもいい)のひび割れの話から、姉ノーラが舞台に出る直前のパニック状態があまりにも嵌っていて、彼女が長年抱えてきた傷の重さや痛みがどれほどのものか、内容はわからずともひとつの現実として見せつける仕組みになってる。この場面、どえらく緊迫感あって真面目にハラハラした。
お父さん(グスタヴ)役のステランさんがとてもよい。姉妹から何か言われるたびに、微妙に変わる表情と声音とで、細かい心の動きを十二分に語ってる。賞とったのも頷けます。映画監督という業にドップリで、色々矛盾してもいるし自分勝手で押し付けがましいところも多々あったりするんだけれども、その業ゆえに深い所では我が子の思いをガッツリ理解できていた。理解する、理解しようと努めることが「愛」のひとつの要素とすれば、ノーラに断られた自伝的映画の主役を途中までつとめて辞退したレイチェルもまた愛情深い人。プロ意識が高く責任感も強い、紛れもない実力派女優でもある。人を見る目は確かなんよねこのお父さんは。姉妹それぞれの傷の持ちようと、その昇華のしかたもまた繊細で沁みる。
ちょっと長めの映画で特に大きな事件が起こるわけではないけど、過ぎていく時間と降り積もるもの、をリアルに感じられる良作でした。
コメント
コメントを投稿