2015年7月29日水曜日

読んだ本いろいろ 3


「ソロモンの偽証」 宮部みゆき
久しぶりの宮部さん。こちらは映画も面白そうだったが観ていない。映画って、最近すぐ終わっちゃう気がするんだけどなんでなん?

宮部さんの社会派作品に共通してあるテーマのひとつに「困った人をどう扱うか」っていうのがあると思うのだが(「楽園」しかり「名もなき毒」しかり)、本作品もまさにそれ。
夜の学校の屋上から飛び降りて亡くなった一人の男子生徒。当然自殺として決着しかけるが、突き落とされるのを見たという匿名の目撃証言が出たことで学校内は混乱。ついには生徒だけで「学校内裁判」を行うことに・・・
全編中学生また中学生。これほどまでにとことん中学生を描いた作品が他にあったろうか?時代設定こそ今より少し前だけれども、「中学生」という年齢の子の特性を踏まえた上で、多彩なキャラクターを創った宮部さんの力量に脱帽。完全なリアルではないのかもしれないが、本質的なところはしっかりとらまえている、と現役中学生持ちの私は思う。
それぞれがそれぞれの個性・能力にあわせて振られた役割をこなじていく、裁判の中はもちろん作品全体で、その子でなければいけない役回りを演じる。劇中劇にも似て幾重にも層が感じられ、読み出したら止まらない。問題をスルーせず、正面から向き合って、だが無理にキレイな解決に持って行こうとしていないところがまた良い。宮部さんまたひとつ何か突き抜けた感。面白かった!

「輝天炎上」
「玉村警部補の災難」 海堂 尊
いわずとしれたバチスタシリーズ。安定の品質、といいたいところだが「輝天」の方は途中でかなりネタが割れる。それでも定番キャラの動きが面白いので楽しめるが、シリーズとしてはそろそろ終了かなーと思っていたら最終章はとっくに出ていた。「カレイドスコープの箱庭」、読んだらまとめて感想書こう。
ちなみに「玉村警部補」の方は軽いサイドストーリー。田口と白鳥の絡みがたくさんあって楽しい。特に田口の腹黒さが相当前面に出ていて、なかなかだ。ドラマや映画での田口は真面目一方なふうに描かれているけど、ガチガチの真面目なだけの人間だったら愚痴外来とか無理だし、高階病院長にも仕事任されないでしょうが。腹黒く見えないやつが一番の腹黒なんだよ。白鳥みたいにあからさまに怪しいやつは違うの。田口がシリーズ一の腹黒男だと思うぞ。
まあなんだかんだで田口ファンなんです。

2015年7月19日日曜日

読んだ本いろいろ 2

家族狩り 1-5  天童荒太

ドラマを先に観た。いつも思うが、映像化と原作では、冒頭部分はたしかに同じなのに回を追うごとに徐々に方向がズレていってしまうのはなんでなのだろう。特にこの作品の場合、闇の部分を相当強調しないと説得力がなくなるのだが、そこは民放ドラマの限界か、ちょこちょこ改変され、結果凡庸なラストになってしまった。うーん、完全にダメってわけでもないけど、その持って行き方はちょっと違うよなあ。回数が限られているから仕方ないのか。してみると文章って本当に情報量が多いのね。
しかし自分を罰したいがためにおなじような境遇にある他人を傷つける、それも半端なく残虐に、ていう心理はどういうものなのか。この場合は特定の宗教とかではないけれど、かなり狂信的なこだわりだ。一定の思想やこだわりを全うするもしくは辻褄を合わせることだけを考えて生きるというのは、本人にとっては楽なのかもしれないが、その犠牲と成る人間にとってはたまったものではない。結局は、絶対の真理など無くて、自分以外の人の存在や考え方も認めつつ、危険からは身を守りつつ、自分の言いたいこと・やりたいことを適度に出しながらうまいこと泳いでいくしかないのだ。
ドラマではちょっとヒーローっぽかった刑事が原作だと相当なクズだった。あのdv夫と根っこは同じじゃん。というか下手するとdv夫のほうがまともなこと言ってない?と思うくらい。ドラマでは完全に悪だったけど、そこいらへんもっと掘り下げてほしかったなあ。正直美術教師の主人公より、この二人の相克が本作のキモだと思う。

百舌の叫ぶ夜
砕かれた鍵
幻の翼     逢坂剛

こちらもドラマから入ったパターン。とにかく映像が美しく、すっかりハマってしまった。ただ途中で某有料放送での放映に移管してしまったので2シリーズの途中までしか観ていない(ちょいダレてきたあたりでやめた)。
結論から言うとドラマとはまるで別物。「家族狩り」よりさらにさらに原作とかけ離れた感じ。登場人物のイメージも私には違うように思えた。
男性作家が描く女性ってどうしてこうも凡庸な、感情的な人になっちゃうのかな。あまり私の好みの女性像にお目にかかった試しがない。普通の人の感情を持たない百舌のサイコパスっぷりが際立つといえば際立つが。
まだシリーズはたくさんあるようなので読書続行予定。

2015年7月14日火曜日

久々更新、読んだ本いろいろ

覚書としての読書記録、やはり読んだそばから書かないと忘れてしまう年になったこともあり再開する。順不同。思い出したものからとりあえずUP。


悪夢のバカンス(上下巻) シャーリー・コンラン 1991年新潮文庫
もう何で見たかは忘れてしまったが、書評をみて読みたいと思った本の一つ。なんで思い出したかというと、FBで「このミステリーがすごい!の本なのにハズレだった」という記事を目にし、あーそういうことあるよねー。と返しつつ、ふと思い立って歴代のこのミス本を探してみたことがきっかけ。ランキングにしっかり入ってたのだ。
おおおーと思いamaz◯nで検索したら新品がない!?!しかしこうなると益々読んでみたい・・・と中古品を購入。期待通りかなり面白く、引き込まれてあっというまに読破してしまった。「なんとなく気になった本」ってハズレはあんまりないなあと実感。前振り部分が少々長めだが、そこはスティーヴンキングの超絶長い大量の前振り&伏線に慣れた私にはなんてことない。ちゃんと必然性もあるし。
とある島で開かれた会議に出席する重役達とその妻たち。何不自由ない日々を送る妻たちだが、ある日クーデターが起こり夫たちは皆殺されてしまう。島は封鎖され、連絡手段を断たれた妻たちはジャングルに逃げ込む。セレブな奥様たちは果たして生き残れるか…というお話。
こういう集団で何かに立ち向かう的な話には必ずでてくる、やたら感情的で泣き喚いたり過剰に反応しすぎたりして皆の迷惑になるタイプの女性、作者が女性のせいか懲らしめっぷりが半端ない!うるさいし色気過剰だし自己中だし、えらんときにえらんことして今までの段取りをぶち壊す、っていうような女性って実際に近くにいたらすごく迷惑だけど物語的にはオイシイなあっていうのも万国共通。
映画化されてたのが意外と最近だったのにちょっと驚き。「レフト・トゥ・ダイ」2013年。覚えていたら借りてみよう。

リーシーの物語(上下巻) スティーヴン・キング 2015年文春文庫
言わずと知れたキング作品!何故か買いそびれていたこの本、実は作中に「悪夢のバカンス」が登場する。たまたま上のような経緯で入手して読み終えたあとだったので鳥肌たった。キング愛にもほどがあるな私…ていうか「悪夢のバカンス」が出た当時に手に入れて読んでいたとしたら、今回気づくことができたかどうかわからない。読書の巡り合わせって不思議だ。
さてこの本。正直、読んでいてキング大丈夫か?!と思った。あまりにも主人公の亡き夫の精神状態に入り込みすぎていて、というか自分がそういう状態だからこういう文章になったのか?と思うくらい異様な雰囲気バリバリ。これわざとだとしたら神技。本人、最高傑作と断言してるからしてやったりと満足してるのか?
キングの創りだす独特な世界を愉しめるのはいいが、精神状態がよろしくないときにはやめといたほうがいいかも。ちょっと取り込まれそうな感がある。