2011年2月25日金曜日

二月に観た映画

「太平洋の奇跡」 公式サイト

突然思い立って観てきた。予想以上に良かった。以前、クリント・イーストウッド監督の硫黄島シリーズ二本を観たとき、なんで日本でこのような映画が撮れないのかと悔しかったが、よくやった!という感じ。
竹野内の滑舌が気になるという意見をいろんなところで見たが、私はあまり気にならなかった。むしろ役柄に合っている。強烈な個性を持つヒーローというのではなく、朴訥とした真面目な普通の日本人男性、一緒にいればなんとなく安心する。大場栄という人は実際にそういう人だったのではないかなと思ったからだ。

どのテレビ局でやってた番組か忘れたが、この映画の特集をやっていて、大場大尉の息子さんが出演していた。絆がとても強いご夫婦だったらしく、本当に死ぬまで一緒だったようだ。その話をしながら思わずこみ上げて、目を赤くする息子さんの姿に、こちらの胸まで熱くなった。

極限状態の中、足手まといになる民間人を守り、一年以上も山にこもったこと自体驚くべきことだ。余程統制がとれていないと無理。冷静で的確な判断力と実行力とともに、非常に細やかな心遣いがそこにはあっただろう。
生きるか死ぬかという当時、特に民間人にとって「この人のためなら死ねる!」ではなく「この人がいれば安心して死ねる」という存在だったのではないか。
こういうお父さんたちが死力を尽くして頑張ってくれたおかげで今の日本があるんだよなあ。本当にありがたいことである。

脇役もそれぞれ個性があって素晴らしかった。が、中島ともこさんの役がいまひとつわからない。あの人の存在は一体どういう意味が・・・バリバリ愛国者や復讐に燃える人や、なんかぼーっと周りに合わせてる人や、いろんな人がいたんだよってことでしょうか。

イーストウッド監督の作品よりずっと小粒かもしれないが、ひとつだけ「勝った!」と思ったこと。それは、山を下りてきた大尉が、「あなたはこの人々をよく守った」という賞賛に返した言葉。

「私はそれ以上にたくさんの人を殺してきた。私は、褒められるようなことは何一つしていない」

硫黄島を捕ったことで「一万人以上の兵士の命を救った」と最後にテロップを流したイーストウッドに対し、この崇高なまでに謙虚な、美しい人間性はどうだ。この高い精神性が日本人の誇りだ。一万人の兵士の命が、空襲で殺された十万人の日本人の命より重いと考えるアメリカとは違うんだよ。

2011年2月18日金曜日

二月に読んだ本 その一

ふう、バレンタインも終わったー。関東地方の雪はすごかったけど、もう溶けましたね。

「夜がはじまるとき」スティーヴン・キング

原題は日没直後・・・黄昏は逢魔の時間、というが、完全に闇に包まれたその瞬間てことですね。題名だけでもちょっと怖。

短篇集なのだが、相変わらず話の密度が濃くて、五感をリアルに刺激される感はさすが。
「悪霊の島」から「狂気」を描く腕にさらに磨きがかかったように思う。冒頭の「N」なんか、読んでいてこちらの頭まで変になりそうな感じだった。こんな人と面と向かってこんな話を延々聞かされたらそりゃおかしくなるわなあ。
ここに出てくる「異界」のイメージが、日本の神話に出てくる黄泉比良坂や天岩戸に似ているのにも注目。絶対接点のないはずの土地の神話に何故か多くの共通点があることは昔から知られているけど、人種やなんかが違っても、脳の構造にはそれほどかわりはないだろうから、恐怖の原点なるものは似通うのかもしれない。
それぞれに面白かったが、最後の「どんづまりの窮地」は、食事しながら読んじゃダメです。特にカレーとか茶色系はやめたほうが・・・て、誰もいないからってそんな行儀悪いことしてるのは私だけか(笑)。
いやいや、読んだときは何も食べてなかったけど、あまりの内容に、一時想像力を無理くりにレベルダウンさせながら読んだ。キング本人もあとがきに、書きながら自分でも嫌になったって書いてた。オイオイ。まあ、でも面白いです♪


「予防接種は『効く』のか? ワクチン嫌いを考える」岩田健太郎

ホラー好きの私であるが、先日子どもに「お母さんは何が怖い?オバケ?幽霊?」ときかれて「そんなもん全然。生きてる人間の方がよっぽど怖い」と答えた。子ども抱えてる母親にしたら、実体のない霊とかなんとかより、包丁持って押しこんでくる頭のオカシイ人、とかの方がよっぽどホラーだ。

ホラーといえば病気の子どもをみることそのものがホラー。小さければ小さいほど、その恐怖感はハンパない。うちの子どもたちは幸い丈夫で、救急車のお世話になったり入院したりなんてことはなかったが、それでも「最悪の事態」が頭をよぎったことは何回もある。パニくるのを防ぐため想像力無理くりレベルダウン、という技?もこれで培ったようなものだ。それと共につくづく現代医療の恩恵を感じる。この平和な日本の、こんないい時代に産まれて本当に良かったと思う。

話がズレた。予防接種、これについては反省しつつ告白しておく。今でこそ毎年家族全員インフル予防接種をかかさない私だが、数年前まではいろんな情報に惑わされ大いに迷っていた。予防接種のあとに(たまたま)子どもが相次いで発熱、すわ副反応?かと医者に電話したり厚生労働省にメール送ったり、したこともあるし、近所の看護師ママに「予防接種ってホントにやんなきゃいけないの?不要なきがする」などと口走り、やんわりとたしなめられたこともある。この本に出てくる極端な「ワクチン嫌い」(≒電波ゆんゆん)とまではいかないが、情報に振り回された「知ってるつもりのシッタカ母」だったと思う。ああああ。
当時の私、お医者さんの「お母さん、様子をみましょう」という言葉がつらく、誰か絶対大丈夫って言って!と常に思っていた。いろいろ経験を積んでやっと、様子をみるという意味が「どっちつかず」ではなく「常に冷静に子どもを観察する」ことなのだとよくわかった。自分自身に対して「大丈夫大丈夫、慌てるなパニくるな」と言い聞かせ気持ちを落ち着かせ、いろんな角度から見て聞いて判断して、動く、これしかないのだと。当たり前の話なのになあ。あれまた話がズレたような。

何にせよ日本のワクチン事情はまだかなりお寒い状況にあるらしい。マスコミももうちょっと考えないと。すくなくとも数字でちゃんと結果が出てるものに関しては「冷静に」「正確に」伝えてほしいものだ。受け取る方も鵜呑みにしない態度はもちろん大事だけれども。