一月に読んだ本
サルヴァドール・ダリ(著) 音土知花(訳)
ブログ仲間midiさんの訳によるこの本、一昨年12月の発売後すぐに購入、数ヶ月かけて読破した。したのだが、ずっと感想を書けずにいた。絵は描くのも観るのも好きだが、私は完全なるシロートにすぎないと、この本でこれでもかというくらいはっきり思い知らされたからだ。ただただダリおじ様の世界のぶっ飛び方・それでいて異常なほどに繊細かつ緻密なイマジネーションに感服するばかりだったのである。で、今挙げてはみたものの、ろくな感想を書けそうにない点では同じ。あああmidiさまごめんなさい。代わりに重鎮の書評を置いとこうっと。
横尾忠則氏の書評はこちら
それで、私ごときが何で今ここにこの本を挙げているかといいますと、これですよ。
「悪霊の島」上下巻 スティーヴン・キング
これも実は、一昨年の9月に出たのを、キングファンとして気になっていながら何故か買いそびれたままになっていた本。
読んでみたらあらまあ、先に挙げたダリ本と何と親和性があることか。「50の秘伝」の英訳は古くからあるようなので、キングが早い時期に読んでいる可能性は高い。そうでなくても、画家も作家も、普通の人間が普通に見たり聞いたり感じたりしていることの、さらに奥、もしくは表からは決してわからない内面に入り込む作業をする点は同じだから、重なる部分が多いのは当然かもしれない。
一番好感が持てるのは、両方ともオカルティックな方面に十分足を突っ込んでいるのにも関わらず、論理的、科学的思考からも逸脱することなく冷静かつ客観的な姿勢であること。単に「感性」だけで作品は出来ないとはっきり言っている。
裏に隠れた知識・知見、先人の叡智、それを受け容れる鋭敏な知性、長年の経験に培われた勘・・・いろんなものが総動員されて初めて、「普通の人」を驚かせる・感動させる作品を生み出せるのだろう。
それにしても夢って不思議だ。私は夢をよく見るしよく覚えているせいか、夢をそのまま絵にしたとしか思えないダリの作品を観ると一種の懐かしさを感じる。キングの小説も然り。国籍も生い立ちも住んでいる場所も慣習も違うのに、話の筋がオカルトだろうがホラーだろうがアクション&サスペンスだろうが、何か郷愁のようなものを感じるのはどうしてだろう?と長年不思議だった。つまりは「夢」つながりなんだな。
ちなみに夫はほとんど夢を見ない人だ。通りで私とは発想の仕方が違う・・・ってそれは基本的な科学的知識の違いもあるけれど。ダリが瞬間的に夢を見ることの出来る人だと言ったら「それは単にラリってるだけでは」と斬って捨てられた(笑)。
夢つながり。般若心経に、遠離一切顛倒夢想 とあります。本当は現実が夢で、夢である事が実在からの風景かもしれません。そう考えると、時空と言うのは、一つの概念に近い表現になるでしょうか。これまた演繹すると、この現実とは、心の中の出来事であると。ではその心とは、誰のでしょう。
返信削除一種、風変わりな夢も、ユングが提唱した共時性で、誰もが共通した「意識」或いは「いのち」という故郷を持っているのかもしれません。
間違いなく生きていると云うのは、本当でしょうか。ひょっとしたら、誰かの夢の中にいるだけかもしれません。
現実のなんと柔らかな?ことか。どうしたって先験的な事?は、理性では推し量られません。
となると、現実とは、一定の合意の塊りとなるのではないでしょうか。
私の意見では、無条件の愛こそ現実であり、その夢に表現を許し、許されたのが私達ではないかと信じます。そう、ある時空を設定して、制限のある合意をして、この世界で、自分を明らめる。
結局、私達は、夫々愛なのです。
ちょーこさんの本だあ。
返信削除ダリを見ると、ボクはちょーこさんを思い出します。
本人を見たことないけど(笑)
夢かあ。
やっぱ、夢ですよねえ。
夢を小説にできたらなあ。
それがボクの夢です。
あけましておめでとうございます!
ところで、初夢って覚えてます?
預言者様
返信削除胡蝶の夢ですねえ。
よく夢のようなことを、というけど、夢の中の世界も確かに自分が生きている世界なんですよね。
表現を許された、ていう言い方いいですね。謙虚で誇り高い。
ヴァッキーさん
うわあ挨拶忘れてました(笑)
明けましておめでとうございます!
今年も何卒よろしうに♪
夢を小説、私もやってみたい!
小説に興味のある人に「夢」というのはすごく縁があるのではと思う。そこを意識しながら書くとうまくいくかも?
今年はもっと書くぞー!
おさ子、ありがとうーねえー
返信削除うれしいわあ読んでくれて。
めちゃくちゃやん、ほんまに、何回読んでも。
ちょーこさま
返信削除このところまたまた忙しかったのでお返事遅れてしまいました、すみません。
読むたびに違う感想が出て来る、不思議な本ですよ、ほんと。その時の自分の状態によって、響く言葉が違うんでしょうね。これ翻訳するのって本当に大変だったろうと推察いたします。さすがちょーこさま♪ あらためてお疲れさまでした。
私の現状といえば、書くことから距離を置かざるを得ない状況が続いて、ちょっと飢えております(苦笑)。
終わったら(あったかくなったころだろうか・・・)いっぱい書くぞおおお。