ムカジーさんの本に出会ったのは、もともとこの「細胞」をTwitter(x)および本屋で見かけて気になって、の話だった。
「細胞 生命と医療の本質を探る」シッダールタ・ムカジー(2023、訳 田中文)
The Song of Cell:An Exploration of Medicine and The New Human / Siddhartha Mukherjee
いやーこちらも面白かった!読みやすくてすいすいいけた(とはいえ全部身になったわけではない!)。「遺伝子」と同じく(一部被る部分もあり)、「細胞」研究の歴史本である。例によって研究者たちの名前がつらつらと現れては消えていくのだが、その過程では当然のことながら間違うことも多々ある。それについての心に残る一言:
「あまりにひどすぎて、まちがってすらいない」
どういうこと(笑)論理の方向が明後日すぎて間違いを指摘する段階にないってことかしら。何にしちょっと面白いセリフだ。使ってみたいけど今後の人生でいったいそういうシチュエーションに巡り会えるかどうか。そもそもどういう状況なんよ(笑)。
以下、私のとっちらかったメモ書き(まとめられぬ)。
〇生物の三つの系統(ドメイン)
1)細菌
2)真核生物(核には染色体を保管)
3)古細菌(アーキア) 2)はここから枝分かれしたか
〇最初の細胞は膜とテンプレートと複写機能
〇細胞は、自律性・増殖・発生 という機能をデザインされている。
〇細胞は二面性を持つ:外に対して閉じていると同時に開いていなければならない
〇細胞の自己認識とは?
T細胞寛容(自己の細胞や抗原に対して攻撃しないよう制御されるしくみ)
自己:攻撃することを禁じられた目に見えないもの
がんとは、道を踏み外した自己進化のプロセスを経て生まれる
〇死とは:ゆるめる・作用がなくなること
〇描くとは:抑えきれない熱を以て、本質を取り出し、真実を引き出す行為。
〇脳の病理:速・遅・中間 うつは「遅い脳」の問題(細胞の障害)
〇再生医療:幹細胞は分化した細胞を作る・分裂する→自己複製と分化、危機において「再生」する
〇iPS細胞の問題:再生を繰り返した細胞は、元のそれと同じなのだろうか?
〇骨は骨芽細胞(太くする・長くする)と破骨細胞(古い骨を除去)があり、先端が伸びる
〇幹細胞は利己的(自己複製)と自己犠牲(分化)の機能があるが、がん細胞は永久に複製し続ける「究極の利己的細胞」である
〇協力と単位、無私と利己、同時に存在する
〇細胞についてのまとめ
①すべての細胞は細胞から生じる
②最初のヒト細胞がすべてのヒト細胞を産む。人体のすべての細胞は原則一個の胚細胞から作ることができる
③各細胞は多様だが根本の生理現象は似ている
④細胞は類似点を特殊な機能のために利用できる
⑤特殊機能をもつ多数の細胞からなるシステムは互いにコミュニケーションしつつ強力な生理機能を産み出す。この協力体制が崩れれば病気になる
⑥細胞の生理は人体の生理の基盤
⑦修復、再生のバランスにより器官は正常を保つ
⑧個々の理解のみならず全体の法則を解明することにより新しい細胞治療を産み出せる
⑨細胞リエンジニアリングにより細胞の病的な状態の改善、正常に戻すことができるかも
⑩細胞リエンジニアリングの医学・倫理学に関わる新しい難問:人間の定義とは?どこまで変化する?
〇「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ:本体のスペアとしての役割を果たすためにクローン体として生まれた人々の話 →読みたいぞこれ
「持って生まれた素材を受け入れ大切に」マイケル・サンデル
〇細胞は「素材」、別のものに作り替えられるのを待っているのか?
〇訳者あとがき
・フランスには生物学者ラスバイユの名がついた通りがある
・本文に一部誤りあり:抗体の発見は、「北里柴三郎の破傷風購読研究」が最初・制御系T細胞の発見者には坂口志文もいる
・日本語の「細胞」は岡山・津山藩医の宇田川 榕菴(ようあん)が名付けた。
「胞」は胞衣、胎児を覆う膜であることから「生命を覆う小さな袋」の意。「cell」よりセンスよいのではないか
メモは以上。
この訳者さんあとがきもアツくて大変面白かったので書き留めてしまった。しかし前回の遺伝子と同じく、こんな超絶細かい仕事をようもまあ歴代の学者さんたちはやってきたものよ。やはり芸術でも研究でも「抑えきれない熱」が尋常じゃない後押しをしてきたんだろな。偉大な先人に、そして今この瞬間も熱を以て励む皆様に最大の敬意と感謝を。
あーもっと若い頃に読みたかったな。高校の生物ももうちょっと真面目にやればよかった。年と共に、如何に自分が物知らずかを思い知らされるばかりだのう。精進しよう。
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