美しすぎて進めない
映画「国宝」の効果なのか、ひっさびさにオールカラーの夢を見た。たぶんあの溢れる色彩に触発されたんだね。ただし内容はまったく関係ない。
「今から本を買いに行くの。続きが楽しみ」
と嬉しそうに言った。ああ、道沿いにあるあの本屋に行くのかな、まだあの本屋あったんだ、と考えつつ歩いていると、自転車を置いた場所を勘違いしていたことに気づいた。どうしてその場所だと思い込んでいたのだろう?慌てて元来た道を戻っていると、先ほどの彼女と行き会った。本を抱えている。
「ねえすごく面白かったの!この辺がね、特に」
と本を開いてみせる。よかったね、と言ったものの読んだことのない本なので感想の言い
ようがない。曖昧に誤魔化してその場を去った。
ようやく自転車に乗り走り出したが、道を間違えたのか全く知らない場所に出た。お年寄りが数人ウロウロしていて、看板には「奥多摩」とある。嘘でしょうそんなはずはない、と思いつつスマホでマップを出そうとするが、何故か何度やっても外国の地図しか出ない。諦めて見覚えのある山並に向かって自転車を走らせる。土手のように盛り上がったその道は曲線を描きながら長く続いていて、緑が真っ青な空に映えてとてもキレイだった。ただ、やっと自転車一台通れるくらいの幅しかない。途中で不安になり、引き返してしまった。

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