おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「碁盤斬り」

2024年12月5日  2024年12月5日 

 「十一人の賊軍」の白石監督の前作。気になってはいたがすぐ終わっちゃったやつ。


「碁盤斬り」白石 和彌(2024)


 白石監督、時代劇はこれが初作品らしい。解説を読んでみたら古典落語「柳田格之進」が元なんだそうだ。へええーーーー。

 まずお江戸の町中の様子がすごく丁寧に描かれてる。雑踏の中に、すぐそれとわかる武士階級。服装や脇差のみならず、立ち姿や歩き方で区別がつく感じなのがすごい。あと何といっても囲碁サロンというか、囲碁所?何と呼ばれてたのか失念しちゃったけど、身分バラバラ・金持ちも貧乏人も関係なく、一堂に会して囲碁を楽しんでいる図がよい!賭け碁もありで仕切り役もいて、いわゆる賭場と同じ位置だったのかもしれないけど、それでも。

 囲碁はむかーしちょっとだけやったことがあるくらいでルールも戦法もまるっと無知なのだが、碁石を盤に置く所作と音には痺れた。これは映画館で観たらさぞかしいい音だったろう。だんだん打ってる人の気持ちまではかれる気がしてくるから不思議(実際そういうセリフも出てくる)。そして誰より何より草薙さんの演技が本当に素晴らしかった。ご自身は高倉健さんをイメージしていたと仰ってたが、どうしてどうして、完全に役をものしてる。草薙オリジナルの「柳田格之進」だ。特に前半、派手な動きはないのに顔つきと碁を打つ手だけで心の内が推し量れる。あと映画で観たのは個人的にお久しぶりの小泉今日子さん。遊郭の遣り手婆の役がメチャクチャ嵌ってた。あの貫禄と色気、時代劇向いてるんと違うやろか。色街の女たちがそれぞれ一様ではなく、カメラが個々の表情を捉えてたのもよかった。

 ストーリーにしても緩急がまことに素晴らしい。前半は派手なアクションシーンこそないけれど、囲碁によって商人と侍が心を通じ合わせる経緯がとても自然であたたかい。そしてタイトル回収の碁盤斬り!柳田の、侍としての矜持と人としての情がせめぎあう。今まで自分が言ったことやったこと、他者との関わり、仇からの言葉すらもその葛藤をあるべき方向へと導く。その緊張感、緊迫感たるや、刀での立ち回りを上回っていたと思う(もちろん殺陣シーンも文句なく素晴らしい)。

 そしてそして!昭和生まれのワタクシが響いたラストシーン!ああああこれってさあああアレよね!木枯し紋次郎だよね!こういう風景の中歩いてたよね!脳内であの音楽が響いたよ。最後の最後までキッチリ楽しませてもらいました。うーん令和の時代劇、良い。もうすでにビッグウェーブだねこれは。

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