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「十一人の賊軍」(映画)

2024年11月15日  2024年11月15日 

  ノベライズ版を先に読んで映画も観たくなったので。ちょうど「埼玉県民の日」でどこもかしこも親子連れと中高生だらけ。最寄りの映画館も平日昼間とは思えない人出。同じ館内で「翔んで埼玉」1・2連続上映(笑)してた。監督登壇とあったのでちょっと惹かれたけど時間が合わず。残念だったわ。まあアテクシは聖地で両方観ておりますしおすし。


「十一人の賊軍」白石和彌(2024)

 これまであまり邦画を観ていなかった私でも知ってる監督さん、「日本で一番悪い奴ら」の人だった!どおりでこの名前打った覚えあるなと思ったら(遅)。以下、ちょいネタバレありです。



 さて映画、冒頭の政の疾走シーンで即持ってかれてしまった。なんという映画らしいアクションなんでしょう!という語彙力皆無の感動で震えるうち話はパッパカ速いテンポで進んでいく。小説版で事細かに綴られていた各人物の諸事情は端折られていたものの、なんというかもう絵面のパワーと役としての存在感ですべてを語ってた。つくづく映像と文字とでは表現の方法が違うんだなと当たり前のことを改めて思った次第。ちなみに人しにまくるし生首ゴロンゴロンだし血はブッシャアアアだし肉片飛び散るしで結構なバイオレンスです。苦手な方は注意ね。

 キャストはほぼイメージ通り。強い人が本当に強そうでよかった(←小学生並の感想)。特に「辻斬り」役の人、見た目からして強そうだし立ち回りもヤバい、目に殺気が宿ってる、きっと私が知らないだけで有名な役者さんに違いないと思ったら、なんと元力士で役者は初とな!あと爺っつぁん役の本山力さん、殆ど喋らないのだが、刀を鞘に収める所作でうわー只者じゃねえと鳥肌立った。もちろん戦闘シーンはつよつよのつよ。「侍タイムスリッパー」でも出てきた「東映剣会」所属のお方だと!通りで!

「ほぼ」と先に書いたが、実は紅一点のなつだけは小説でのイメージと違ってた。いろいろ突き抜けたアクの強い年増女を思い浮かべていたが、観ていくうちに考え直した。この流れならピッタリだ(小説と映画とでは物語の展開もラストシーンも異なる)。何より、むさくるしく暑苦しい男どもの中で、色白スッキリ和風美人のなつさんの存在は絵面的に貴重。鞘師(さやし)里保さん、立ち姿も所作も美しいお方だなーと思ったら、元モー娘。らしい。お名前からしても時代劇向きだ!

 もちろんダブル主役の政(山田孝之)と鷲尾兵士郎(仲野太賀)もいうまでもなく素晴らしい。剣術も何もへったくれもないが持って生まれた身体能力と野生の勘で乗り切る政と、キッチリ訓練された辣腕剣士・兵士郎との対比が一目瞭然。仲野さん、パンフによると「殺陣は初めて」ってマジか。ラスト近くでは政の無頼とミックスされたような渾身の立ち回りをやってのけるというのに。もうかっこよすぎて震える。いやかっこよかろうがかっこよくなかろうが、十一人それぞれ理不尽に死んでいくことに変わりないのだが、全員「なにくそ!」という人間としての根源的なプライドや気概がビンビン感じられるのがいい。身分関係なく、潔いとか捨て鉢とかじゃなく、最大限に生きてやる存在してやる!という原始の叫び。そこを引き出した監督も、応えた役者さんスタッフさんも本当すごすぎる。

 そしてそして個人的には何よりお見事!だったのが「戊辰戦争」という大内乱の混迷を、武士(家老)・武士(一兵卒)・牢人(民草)の三つ巴で表現しきってたところ。小道具として、各藩の家紋の入った旗印や羽織の効果たるや。一つだけネタバレすると、最後の立ち回りで家老の着てる羽織の、新発田の家紋だけが真っ二つに切れるのよ。痺れました。この先の未来はまず新発田藩の終焉、武士の社会の終わりの始まりだもんなあ。

 余談だが「侍タイムスリッパー」を先に観ていた私としては、

「ああこんな大変な時代から高坂さん来たんだなあ。高坂さんこの映画観たら号泣ものだろうなあ」

 などとフィクション同士が繋がっているかのような不思議な感覚にとらわれた。かけてる予算も人数も段違い、ストーリーも雰囲気も全く違う別の映画なのに、時代劇に対する思い入れとアクションへの対峙に関して根底に流れるものが共通している気がする。何にしろ日本映画イイ!時代劇イイ!殺陣は日本の宝。とか言ってたらコラボ企画あるやん!うわー行きたすぎるう。チケ取れなさそうだな……

 おまけ:

 観終わった後前を歩いてた若者二人の

「面白かったな」

「うん、面白かった」

「すっげえ、面白かったわ」

「そうだな、すっげえ面白かった」

 という会話に、脳内ガッツポーズした婆でした。

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