「お文の影」「十一人の賊軍」「烏の緑羽」
やっと読書の秋到来ー!積読をどんどん消化していくぜ!
「お文の影」宮部みゆき(2014)
時代物短篇集。他シリーズと世界線が交わっておりファンには嬉しい。例によって独断と偏見で怖さ度を★で表示(私の恐怖感度は鈍鈍の鈍であることご承知ください)。ちなみに全編面白いです。
「坊主の壺」★★★☆☆
商家に伝わる掛け軸にまつわる謎の因縁。「坊主」が意味不明すぎてキモい。
「お文の影」★★★☆☆
とある長屋の子供たちの影踏み遊びでの怪異。怖いというより悲しく切ない話。
「博打眼」★★★★☆
化物との等価交換……というか人間側が負うもの重すぎ。神様カワイイ化物キモい。アニメ化してほしいド迫力の絵面とアクション。
「討債鬼」★★★☆☆
三島屋シリーズの利一郎と悪童三人組出演。利一郎の過去はなかなかにハード。続編できそう。
「ばんば憑き」★★★★☆
旅の途中で雨に足止めされた若夫婦。入り婿の夫が相部屋した老女から聞く奇怪な昔話。人怖要素も入ってなかなかの読後感。
「野槌の墓」★★☆☆☆
異世界バトル物。一番エンタメ性高いかも。読んでると怖くないが映像にするとけっこう怖いかもしれん。
「十一人の賊軍」冲方丁(2024)
映画のノベライズ。原案は脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した「十一人の賊軍」のプロット・脚本。企画は打ち切りになって脚本は笠松により破棄、プロットのみ残されていたという。
こういう、プロットから小説に立ち上げるのが日本で一番上手いのは多分冲方さんに違いない。読んでてまったく違和感なし。本来、こういう風に書くものなんだろうな一般的な小説も。場面の組み立て組み合わせと流れ大事だもの。
映画の封切りはこれからなので、ネタバレしないよう手短にいうと、メッチャ面白かった!群像劇だけどそれぞれのキャラ立ちがハッキリしててわかりやすい。戦闘シーンが多くて迫力満点なのでどんな映像になってるか楽しみ。ひとつ心配なのは、戊辰戦争時の地方の混迷っぷりをどう映像表現するか。小説は大変わかりやすかった。
「烏の緑羽」阿部智里(2024)
「追憶の烏」からの続編プラス過去編。この間アニメが終わったので久しぶりに第一作「烏に単は似合わない」を読み返してみたらひたすらにあせびちゃんが怖い。なんやこいつ……今作での路近のサイコパスっぷりもヤバいっちゃヤバいのだが、それとはまた別方向の怖さ。ハッキリ邪悪なのよね。路近は酷薄ではあるけど「悪」そのものではない。谷間育ちの苦労人・翠寛との絡みは大分ヒドイものの、お互いに「コイツならこうは考えない/しない」という謎の鉄壁な信頼感があり、ある種の友情と呼んでもいいような固い絆で結ばれている。久々に出てきた勁草院はやっぱりホグワーツっぽいけど、ホグワーツよりちょっと、いやだいぶバイオレンス寄りだった。でもいいな勁草院。好き。もっと勁草院がらみのスピンオフ書いてくれないかしらん。
次作はもう出ているけれど、新たな金烏がまたお后選びするのよね。おおおお。個人的には現世との関りも気になるがどうなったんだアレは。
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