7月に読んだ本・観た映画
映画館で映画を観ることが本当に少なくなってしまった。いつでも観られる、と思うと観られなくなってしまうんだな人間は。反省。
と、思ったくらいこの映画、良かった。実話を基にしているが、あからさまな昭和アピールというのはなく、クリアで美しい映像・キレッキレでガンガンたたみかけてくる演出、なのに最初から最後までどっぷり「昭和」。なんだろこれ。服装や髪形、店や部屋の散らかり具合、エピソードのひとつひとつに職人のこだわりが見える。綾野剛さんは「八重の桜」の会津藩主役からのファンだが、ますますファンになった。いやほんと凄い役者だわ。元が品良く整った顔立ちだからか、かなり口汚く罵ったり非道なふるまいをしたりしても、くるくる変わるその表情に魅せられて、ますます目を離せなくなってしまう。
他のキャストもあまりにはまりすぎて出てきた瞬間笑ってしまった。ベタ過ぎるほどにそのまんま!本人たちもノリノリなのが見て取れて楽しい。
あとお色気場面が、今ではほとんどみられない、まごうかたなき正統派?なお色気場面だった。出てくる女性たちがいちいちみんな可愛いしいろっぽい。あの役・あの演技は、アイドルには絶対に無理!作り手や役者の並々ならぬ情熱と気概を感じた。昔のにっかつロマン〇ルノ、ちょっと観てみたくなった。ツ〇ヤでも堂々と借りられるぞオバサンだから!(笑)
漫画原作・アイドル頼みの昨今の日本映画に対する挑発的・挑戦的態度満々の作品、間違いなく、映画館で観るべき映画だと思った。
「プラチナタウン」楡 周平(2008)
なんとなく書店で見かけて買ってみた(これも最近は珍しい)。高齢化した田舎で使い道のない広い土地を有効活用するという話だが、建設的かつ具体的で、登場人物の会話により問題点と解決策を提示していくといったスタイルが解りやすく面白かった。
こういったフィクションの世界だとほとんど悪役となることの多い「大企業」が、相当好意的に描かれていたのも新鮮。「利潤追求」は冷たいかのように言われがちだが、そうではない。むしろそこをきちんとしておけば、細かい人間のしがらみや感情的なあれこれも、ほとんど解決できるのだ。よほど常識を逸脱した案件でない限り(その解決の仕方もちょろっと書いてる。おススメとはいえないが(笑))。
閉塞された空間の中にずっといると、その状況に慣れてしまい、考えることも動くこともできなくなる。かといってまったくなんの関連もない人間が来て、それまでの慣習や経緯もすべて無視して動くと、これまた新たな問題の火種になる。結局のところ地方振興は、「短期・長期に関わらず人の出入りの多い・しやすい土地」にすることが一番の対策なのだろう。
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