「アウトサイダー」
熱は大したことなかったけど頭痛と倦怠感がそれなりにあったので動画は観る気にならず、本ばかり読んでました。しかし病中に活字なら読めるというのも我ながらおかしい。面白かったわ久々のキング。
「アウトサイダー 上下」スティーヴン・キング
The Outsider Stephen King(2018)
「ファインダーズ・キーパーズ」三部作「任務の終わり」からの世界線が繋がってるこの作品は2018年刊行(米)だけど、ちょうど虚偽告訴騒ぎが持ち上がっていたさなかに読んだのでタイムリーにも程があった。
話としてはミステリー仕立てであり、勿論ホラーでもあるが、正直化け物が出てこようが来まいがどっちにしろホラー。
どういうことか、なるべくネタバレにならないように言うと、
「ひとたび『罪人』と世間に見なされてしまうと、本人が何を言おうと客観的事実がどうあろうと、疑いを晴らすには途方もなく時間と手間がかかる。名誉を完全回復することはほぼ不可能に近い」
という話。昔からある問題ではあるけど、実際に具体的な現代の物語として目の前に持って来られると相当怖い。今はどんな情報であれインターネットに乗ってニュースサイトやゴシップサイト、SNSによって瞬時に行き渡ってしまうし、センセーショナルであればあるほど、胸糞悪ければ悪いほどその速度と伝播性はアップする。訴訟大国で弁護士が身近なアメリカでも(だからこそ?)ここまでのことになるのか……と背筋が寒くなる。コロナ前に書かれたもののはずだが、完全に「伝染」「感染」の速さと恐怖を先取りしてる。
キングが描く邪悪は人であれ人外のものであれ、ファンにはお馴染みのものではあるが、その切り口はいつも時代に沿って新しい。それこそ血も滴りそうなほどのフレッシュさ。よくもよくもこんなとんでもない状況を思いつくわ。そう、今回も超絶やな感じイ!なのだ(褒め言葉)。
歴史の浅い国といわれたアメリカももはや建国240年近いわけで、それなりに色々と積みあがってきた感はある。ホラーパートがもはや民俗学のかほり芬々なのだ。詳細は控えるが、日本でいういわくつきの土地とそれにまつわる云々かんぬん的な。
しかし日本ならばそういう場には神社なり祠なり鎮めるための宗教的装置が作られたりしてお祓いなりするけれど、アメリカってどうするんだろう?一応祈りは捧げるのかな。あんまり聞いたことない。下手に土地がデカいもんだから放置して移動、人よりつかない、で終わりなのかな。ああでも同時多発テロは跡地に記念碑が立ってるか。ただ慰霊碑という扱いではないし、教会とかはないんだよね。下手に宗教色持たすと色々問題あるからなのかもしれないけど。大丈夫なものなのかそれで、と日本人としてはつい思ってしまう。
これはこのままシリーズ化するのかなあ。ビル亡きあとの探偵事務所、ホリーの大活躍はこの先もずっと観たい。
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