「フォックスキャッチャー」「THE PROMISE 君への誓い」
大掃除をしつつの録画消化。どっちも特に理由なく何となく観た。ら、両方重量級だったわ汗。
「フォックスキャッチャー」ベネット・ミラー(2014米)
Foxcatcher Bennett Miller
監督は「カポーティ」を撮った人。さもありなん。つかアンミカさんの義兄なのね!知らんかった。
それはともかく映画。タイトルだけは知ってたものの前提知識皆無で観て、ラスト近くでえええ?!となった。実際の事件をベースにしているが、当時も動機がよくわからず不可解だったらしい。とはいえこの映画、特に何らかの答えを出そうという意図はなさそう。淡々と事の経緯を追っていくスタイル。
「大富豪がパトロン&コーチについて、レスリングでオリンピック優勝を目指す」
という胸躍る展開のはずが、なぜか最初から不穏な雰囲気しかなかったのはコレなんかー!と唸った。以下ネタバレなんで少し離しとく。
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兄に頼りきって生きてきた、兄を超えられない弟。母に認めてほしいのに認められない息子。この二人の不安定さがそのまんま映像に現れてる。この世の中、お金で解決できることは多々あるけど、どうにもならないこともまた多々ある、と当たり前の事実を実感。それにしてもどの俳優さんも素晴らしい演技。かなり見ごたえありました。
「THE PROMISE 君への誓い」テリー・ジョージ(2016米西合作)
The Promise Terry George
監督は「ホテル・ルワンダ」を撮った人。脚本も書いてる。此方は第一次大戦時のアルメニア人大量虐殺事件を描いた映画。このタイトル、あまりにも軽すぎない?どうにかならんかったんか?と当初思ったが、最後まで観たらああもうコレしかないよね……という気持ちに。色々と察せられる感ある。
何より平穏な日常がいきなり激変する瞬間が怖すぎ。富裕層を連行して家財産没収、移住と称して村から追い出すばかりか途中で皆殺し……映画が真実そのままを描いているかといえばそれは違うだろうし、すべて鵜呑みにするべきでもないとは思う。思うが、残念ながら同じような惨事は人類史上何度も何度も繰り返され、またぞろ現代でも起きてる。数十年前に映画「略奪の大地」を観た時には「遠い昔遠い国で起こった酷い事」と感じた。「ホテル・ルワンダ」で起こったことも不条理で不可解だった。でも今やかなり身近に来てる気がするのが恐ろしい。
どんな理由があろうと、ある民族を根絶やしになるまで殲滅するなんてこと、到底受け入れられないし認められない。けれどそういうことを何かのきっかけで「普通の人間」がやってしまうんだよね。人間はかくも弱い生き物だ。
「一番の復讐は生き延びることよ。何としても生きて」
この言葉、そしてタイトルの「the」にどれほどの重みと深みがあるか、ラスト近くで嫌というほど思い知る。辛いがひと筋の希望と人間の強さも垣間見える名作。
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