三月に観た映画 その2
昔一度観ただけなので記憶が飛んでいたが、クライドの兄の妻役が秀逸だった。牧師の娘だったというのも象徴的だし、外見はいかにも厳格に育てられた風の真面目そうなダサ子ちゃんなのに、他の誰より卑怯で金に汚く自己チュー、ってところが何とも。いるよなあこういう人。
「冷血」ってどっちのことやねん、というのがテーマだと思われる。画面はとにかく構図や色や配置にこだわりまくっていて大変美しく見ごたえあり。セリフは最小限に抑え、無駄なシーン一切なし。アカデミー賞にノミネートされたのも納得いく。この超絶センスは兄貴系、なのかもしれないと監督及び「友人」つながりのスタッフを見つつ思う。
しかし「ノンフィクションノベル」というのは今もあるジャンルだけど、かなり心身ともにキツイみたいだ。特にトルーマンのように自分で取材する場合は。「冷血」のあと書けなくなったというのも頷ける。
山口光市の母子殺人、遺族の本村さんの言葉。「(マスコミは)何故殺したのか、その背景ばかりを気にしているが、そんなことはどうでもいいことで、『どうしたら人を殺さないようにできるか』を考えるべきだと思う」
フィクションが事実に追いつけないと言われて久しいが、フィクションに出来ることはまだありそうな気がする。今のところ気がする、だけだが。
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