「リバー、流れないでよ」「四月は君の嘘」

 暑さが緩んだすきにサクッといってきた。上映館増えないかしらん。



「リバー、流れないでよ」山口淳太(2023)


 上田誠(原案・脚本)率いる劇団「ヨーロッパ企画」のオリジナル長編映画第二弾。このところSNS上で話題に上がっていた。

 例によって平日昼間のとあるシネコン(都心)、さほど広くはない部屋ではあったが半分以上埋まってた。本当は午前中の回にするつもりが、こちらは半分から後ろの席は殆ど取れず、時間ギリギリだったこともあってやめた。都心とはいえ、なんの割引もない平日にこれは中々の入りではないかしらん。

 さて、中身は一言でいうと

「二分間だけ時間が戻る、を延々繰り返す」

 映画である。冒頭は貴船神社界隈、古びた旅館の日常風景がのどかに流れる。この数分間で登場人物全員と大まかな関係性を把握できるが、割合すぐに怒涛の時間巻き戻しループが始まる。ただ物質の状態は戻っても人の記憶はそのままなので、異常事態に驚き騒ぐ登場人物たちと初見の観客は同じ立ち位置にある。まるで演劇の舞台をライブで観ているかのような臨場感で、ひとときも目が離せない。

 この「場」の作り方、セリフ回しや動き方がいかにも劇団といった雰囲気ですごく懐かしかった(学生時代、演劇やってる友人が複数いたので)。ステージまでが遠い大劇場でも、すぐ目前に役者さんたちがうごめく小さい小さいハコでも、映画のスクリーンであっても、そこは確かに「隅から隅まで拘って作られたひとつの世界」なのだ。

 だいたいこの「二分間」にしても尋常ではない。あとからの編集で作り出したものではなく、現場で厳格に「二分以内」を守り、入りきらない時はセリフを削るまでして撮ったという。シンプルと言えばシンプルだがとんでもない手間暇。しかも撮影地が記録的な大雪にも見舞われ、一時は制作の延期も考えたと。

 全編を通して独特の緊張感とスピード感が維持され続ける理由はここにあるのだろう。この愚直なまでのアナログな拘り。山奥の小さな集落のごく狭い範囲での話なのにすごく「世界」と「普遍」を感じられるお得な造りだ。和製エブエブといったら言い過ぎだろうか。失礼ながらあちらとは予算も人員数も比べ物にならないだろうに、チャッカリ(?)マルチバースしてる(←なんも意味わかってないw)。編集の妙じゃなくアイディアと撮り方での真っ向勝負でこんなん作っちゃうとか、すごいぜ日本の劇団!

 手作り感満載なのにただならぬ疾走感とよくわからないパワー溢れるこの映画、地上波放映でCM入りまくると魅力半減どころか台無しだと思うので、ぜひぜひ映画館で体験してほしい。たった86分だけど濃くて広がりのある楽しい86分だった!

 余談だけど冒頭から何回も繰り返されるシーンの中で、ミコトちゃんの超絶技巧編み込みの髪型と旅館のお仕着せ和服の後ろ姿がとても可愛かった。かつてヒロインの後ろ姿がここまで強調される映画があったろうかいやない。みればみるほど可愛くて癖になる。周辺の風景や旅館の建物自体もすごく良い。行ってみたい。貴船神社ならば元から訪れる人は少なくないだろうけど、さらなる町おこしにもなるんでねえべか?

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「四月は君の嘘」全11巻 新川直司(2011-2015)

 此方は子の手持ちの電子書籍を拝借。音楽物でいわゆる読んだら止まらなくなる系。

 音楽というものの過酷さと素晴らしさをいっぱいに詰め込んだ名作!です。

 ネタバレなので以下さげる。





 けっこうなダメージを食らった。結末はこうなると薄々は、いや確実に察してはいたんだけどさ……既読の子二人は揃って

「きれいな終わり方」

だという。そうなんだよ、卓越した構成の妙と表現、タイトル回収だとは思う。キャラ立ても全部良い。

 でもね親の立場からするとキツイ。哀しすぎる。ご両親がどんな思いでわが娘と、主人公の男子を見つめ続けてきたのかと想像すると。ある意味で彼女も自分の望みを叶えたわけだから、決して不幸な人生ではなかったと、それはそう思うんだけど。長く生きていればいるほど幸せとは限らない、仕方のない事とわかってはいるけれど。でもさ、もうすこし生きていてほしかったんだよう。親より先に子がいってはダメなんだよううわーーーん。

「忘れさせない」まさにその通り。刻みつけられました。 

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