「戦後史の解放Ⅰ 歴史認識とは何か」「イエスタディ」

 ようやくとある資料整理が終わった。達成感はあるけど少し寂しくもあり。でも、きっとまだ他に沢山あるんだろうなあ。

「戦後史の解放Ⅰ 歴史認識とは何か ~日露戦争からアジア太平洋戦争まで~」

 細谷雄一 新潮選書(2015)

Twitterでお世話になっている細谷氏の著書。お初だが、読みだしたら止まらなくなってほぼ一気読みしてしまった。「戦後史の解放」シリーズで三冊あるのであと二冊も読みたい。

 私的には、冒頭でいきなり桑田さんの「ピースとハイライト」の歌詞が出てきたのがまずポイント高かった。何を隠そう(何も秘密じゃないが)、桑田さんの歌詞は結構社会派なものも多いのだ。社会に対するモヤモヤをちゃんと自分の土俵で・歌によってのみ表現する桑田さんのスタンスはとても好き。

 ♪教科書は現代史をやる前に時間切れそこが一番知りたいのに何でそうなっちゃうの?♪

 ほんとそれ。まさにそれ。それはもう、私の学生時代から今もずっとそう。そのくせ夏が近づくといつも戦争特集。戦争が如何に悲惨か、如何に軍国主義、大日本帝国が悪かったかのオンパレードだった。昭和が遠くなるにつけ、そういった見方を「自虐史観」として批判する向きも増えて、「そう悪い事ばかりでもなかった」から「あの戦争は自存自衛であり日本に一切の落ち度なし」といった極端な意見に一気に振れるパターンも出て来た。「絶対悪ではない。だが絶対善でもない」ただそれだけのことなのだが、情報が溢れるこの現代において、何のベースも指標もなしにバランスをとるのは簡単なことではない。

 この本の中で述べられているのは一貫して「国際社会から見た日本の姿」である。欧米各国に倣い近代国家を目指していたころの日本は国際法を遵守し、日露戦争での捕虜の扱いが抜きんでて人道的であったという。ところが、その後は徐々に雲行きが怪しくなってくる。まずもって兵学校で「国際法」を(積極的には)教えなくなった、というのには驚いた。まるで現代の、どっかの国みたいじゃないか。たとえ欺瞞や偽善まみれの国際社会にしろ、拠って立つものを知らないのでは同じ土俵にも立てない。島国である日本はそもそも昔から「情報戦」という概念に疎く、暗号も読まれ放題だったというのは知っていたが、こんなに早い段階で既にダメだったかとガックリした。欧米中心の国際社会ではなく新しい枠組みを作っていくつもりだったにしても、ならば尚更現状を把握しておくべきという発想にならなかったのは残念過ぎる。

 ただ思うに、日本のこういった国際的な孤立の原因は案外「感情的な問題」が大きかったのではないだろうか。当時の欧米各国のアジアへの差別意識は現代の比ではなかっただろうし、英語を母国語同様に扱える人材も不足していた。国の代表とはいっても実際に相対するのは人間同士、気持ちの問題というものは必ずや存在するし小さくはない。この本ではそういった「個々人の感情」には殆ど言及していないが、だからこそひしひしと感じられるところはあった。

 してみるとやはり「教育」が国を強くするための大きな幹なんだな。だからこそのこのシリーズということか。若いうちにこういうの読んでたら何かいろいろ違ってたかもなあ。ともあれ婆もまだまだ勉強させてもらう所存。続き読みたい。

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「イエスタディ」ダニー・ボイル

Yesterday Danny Boyle(2019英) 

 此方は予告編で観たくなったがあっという間に上映期間が終わってしまった映画シリーズ。最近ツイッターの映画評ツイでも見かけて、ついに積読ならぬ積映?を消化した次第。

とにかく「ビートルズのいない世界」という発想が素晴らしい。その手があったかー!と感心した。それだけで半分以上成功したも同然。また楽曲がいい感じに挟まっていて、さすがは「トレインスポッティング」の監督。そういや新作トレスポまだ観てない……観なきゃ。積映もどんどん増えるばかり。

 何より良いのが、主人公が最初から最後まで「普通の人」であったこと。ビートルズの曲で一発当ててやるぜ!という野望はあったにしろ、成功すればするほど罪悪感にさいなまれていく。それはやはりビートルズという不世出のバンドとその音楽への高いリスペクトと愛がある故なのだ。ハリウッド映画的展開なら同じストーリーでも全く雰囲気違ってただろうし、ラストもああじゃないだろう。正直、パラレルワールド物としてはもうひとひねりあっても……と思わなくもなかったが、そもそもこの映画はSFではなく

「ビートルズへの愛とリスペクト」

 にどっぷりとつかり堪能することがメインなのだ。監督もきっとそういうつもりで撮ってる(と、とある切ないシーンで確信)。主人公は「その他大勢の普通の人たち」の代表なんである。よって普通の人である私は素直に感動した。ああ、よかった。

 それと。

 この映画は2019年。主人公がモスクワで「バック・イン・ザ・USSR」を歌うシーンがある。数あるビートルズ伝説の中でも一、二位を争う勢いの有名エピソードだからなんだろうけど、今となっては「監督、預言者だったんか」というくらい感慨深い。これ歌詞も歌詞だし物凄くカッコいい曲なのよね(聴きなおした)。 

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