「アジアの歴史」「頼朝と義時」「頼朝の武士団」

 積読消化モード。録画も溜まってるう。

「アジアの歴史 東西交渉からみた前近代の世界像」

松田 壽男(1970)

 結構前に積読しておいて、ぶっちゃけ忘れてたのだが何となく思い立って。

 読書猿さんのおススメにあったんだっけ?と思いつつ読み始めたら、もともとNHKテレビで放送したもの(13回)を骨子としている、ということで非常にわかりやすい。かなり古い本だけど地理・地学・地政学が混じったような感じで興味深かった。色んな地名や民族名が怒涛のように流れていくが、トピックがさして長くないのでいい感じに読める。ただ、地図を横に置いて見たほうがいいかな。今とは若干変わってる部分もあるし。

 地図といえば、ところどころに著者の手書きであろう地図があるのだが、字体が懐かしい感じでそこもぐっと来る。この方はきっと何も見なくても描けるくらい何処に何があるのか、地形がどうなっているか道がどう通っているか、全部頭に入っているんだろうな。

 全体的な論調としては、これまで西洋中心の歴史であったものをアジアからの視点もきちんと入れて考えよう、行き来がこんなにあったんだから!という感じ。NHKで「シルクロード」が放送されたのがこの本の十年後の1980年代、と考えると感慨深い。先駆者はやはり凄いのである。

 ところで、件のブログでは最初の図以外はガッカリ、みたいなことが書かれていたので、ますます何で積読にしたんだっけ???と不思議だったんだけど、私としては読んでよかったと思う。何気に「楼蘭」の翻訳もやってらした(多分昔読んだ!内容忘れたけど!)。さらに「丹生の研究」がすごく気になる。積読にいれとこ(減らないな…)。

「頼朝と義時 武家政権の誕生」呉座勇一(2021)

 大河ドラマの方はまだ録画溜めっぱなしで前半しか観てない。けど、この時代ってホント面白いな。人多すぎの合戦多すぎで追うの大変だけど。

 中身の濃いこの本、少しずつ読んで行ったんだけど、呉座さんの本でよくある「途中で急にドライブがかかって一気に読了」が今回も発動してしまった。ドラマに合わせてゆっくり読むつもりだったのに。いやどうせまた何回か読み直すけど。何だろうこの展開の速さ。一時も気が抜けないじゃん……ちょっと前まで味方として戦ってた身内でもある相手を宴会に誘い出して殺したり、後継者争いで子供を出家させただけでは飽き足らず殺したり、謀反の疑いが!とかいって急に攻め入ったり、とか……誰なら信じられるん、という。

 そしてここまで血の気が多くて荒っぽい武士たちが、何故か朝廷を完全になくすことだけはしなかった、というのも興味深い。呉座さん自身が再三本文の中で仰っているように、日本は公武が常に対立しているというわけではない。朝廷の権威はそのままに、文官ではなく武士中心の社会を創り上げた、というのは日本くらいなんだそうだ。

 確かに、承久の乱で後鳥羽院を厳罰に処したものの、じゃあ今後は武士のみでやっていこうぜ、にはならなかった。その後朝廷は南北に分かれて長く混乱はしたものの、常に両者の間でバランスを取っていこうとしていた感はすごくある。

 世界でも類を見ない「武士の社会」創始者としての「頼朝と義時」は、家として考えるとどちらもあっという間に表舞台から消えていく。だが社会そのものは、その後も試行錯誤を繰り返しつつも長く長く続いていくのだ。

 録画しっぱなしでまだ全部観ていないアニメ「平家物語」にしてもそうなのだが、歴史物のフィクションの面白さは「どういう解釈で作っているか」というところにもある。並行して観るとなお愉しい。呉座さん、また何かの時代考証をやってほしいなあ(大体、今回のことだって全く降板する必要なんかなかった!)。


「頼朝の武士団」細川重男(2021)

 こちらはまた、独特な語り口の、超面白い一冊。twitterでちょっと話題になっていたのでつい読んでしまった(ミーハー)。でも、上の呉座さんの本の参考文献の中にもしっかり載ってたもんね。お二人、口調は全然違うけど論としては一致しているところが多い気がする。

 吾妻鏡をはじめ、古来の歴史書の引用が何せこんな感じである。

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「すこぶる彼の遅参を瞋り、あえてもって許容の気なし」

意訳①

「遅~~~い! 絶ッ! 対ッ! 許さん!」

 カンカンである。

意訳②

「今頃来たって遅いのよ!顔も見たくない!べ、べつに広常のこと、待ってたわけじゃないンだからね!」

 ツンデレである。

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 こんな感じで、さらに「ツンデレ」の意味がわからなくなった未来のために説明までなさっている。ヤダ、何だか勝手に親近感とシンパシーを感じるわ(←)。

「物騒とゆるさ」「残虐とほのぼの」という鎌倉の空気感(素晴らしい表現!)、まさに最初から最後まで存分に語られている。今回の大河はこの線ですよね、明らかに。溜めてた分を観るのがますます楽しみ。

 あと最後の、頼朝の肖像画についての話は痺れた。細川氏は「従来の言い伝え通り、あの絵が本物」という説をとっておられるが、その理由が明快にして秀逸。私もあのイケメン肖像画は頼朝であってほしいと思う。いや、直義じゃないでしょアレ。なんて、ただ著者の術中に嵌ってるだけなのかもしれないが。

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