「卵をめぐる祖父の戦争」



 子に勧められたシリーズ(もはやタグにすべきなのかこれ)。ほんのりネタバレなので注意。

「卵をめぐる祖父の戦争」ディヴィッド・ベニオフ 田口俊樹(訳)

CITY OF THIEVES    David Benioff 

 著者は脚本家なのね。通りで構成がキレイで、場面の区切りも明確でバランスが良い。訳も上手いんだろうけど元々の文章もキッチリしてるんだろなと思う。ただ、全体の梗概を書こうとするとこれが難しい。そもそもが「祖父の打ち明け話を聞いて孫が書いたフィクション」の体であるので、そう単純ではない。第二次大戦中のロシア、酷薄で悲惨なエピソードが淡々と、まるで他人事のように距離を置いて語られるのはこの前提のせいだが、一見何の脈絡もなさそうなバラバラの事柄がラストに向かい(というか冒頭に向かう)一気に収束していくさまは中々の職人芸。

 誰が敵で誰が味方かわからないし、良い人悪い人の区別も無いのに、ちゃんとラスボスめいた悪役が出て来て、アクション映画を観ているようなハラハラドキドキもちゃんとある。ただ善き者が悪き者をやっつけてメデタシ、という図式にはならない。何をやったところで世界は変わらなくて、人間はずっと愚かである。でもたまにはハッピーなこともあるよ運よく生き延びられればね、というお話。

 面白かった。他のも読んでみたい。映画化されてるやつも。 

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