「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき 文藝春秋(2021)
帯にあるのは「ちょっと困った女たち」。三つの中編がどれもこれも確かに困った女の話ではあるが、正直「ちょっと」どころじゃない。「かなりヤバい女の話」である。先が気になって仕方なく、一気に読んでしまった。
最初の「絶対零度」なんて、いったいこれからどうするんだこの人たちは、と心底冷え切る、まさにタイトル通りの話。ネタバレになるので詳しく言えない(最近そんなのばっかり)が、「見て見ぬ振りをする」「悪に阿る」人間の邪悪を容赦なく描いてみせたのは流石宮部さんだと思った。
一見関係なさそうな「華燭」(こちらも中々シビア)ときて最後「昨日がなければ明日もない」に繋がる流れ、まったく三つの話に関連はないのだけれど、杉村さんが相変わらず何かを引っ張り出したり呼び覚ましてしまう触媒の役割を果たしており(探偵なのだから仕方ないのだが)、ああーこうなのかうんやっぱりこうするしかないよね……という結論に辿り着く。三つとも相当に重い話には違いないのに、妙にすっきりするのは何でなんだろう。なんだかんだ因果応報で、罪を罪としてきちんと扱っているせいなのか。リアルでは中々、そういう流れにはならなかったりするもんね。
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