「武士の家計簿」磯田道史
磯田さん、歴史番組とか記事とかけっこう見てたので今まで気づかなかったんだけど、実は本読んだの初めてだったー!うわー、アカンやん私。こんなに面白いのに今まで放置していたなんて…呉座さん共々これからちょっとずつ読もうっと♪
さて、のっけから神田古書街の古書店で購入したという
「金沢藩猪山家文書 入拂帳・給禄証書・明治期書状他 天保~明治 一函 十五万円」
これがこの本の元ネタである。はしがきに入手した経緯も克明に書かれていて楽しい。なるほど研究者というのはこういうルートで古文書を手に入れるのか、と思ったとともに、自分ちにある文書の扱いに困った時は「研究者に繋がる古書店」にまとめて見ていただくというのも手なんだなと思った。うちの実家も、床の間のごくごく小さな棚を調べただけでわんさか色んなものが出て来るので、どうしても、となったら考えてみてもいいのかもしれない。捨てるよりは余程いい、誰かがこうして喜んで見てくれて、本になって多くの人に読んでもらえる可能性が広がる。今はコロナで実家に行くのもままならないが、色んなことを考えておかなくちゃと思う。
本の内容に戻るが、何もかも目からウロコなことばかりで、非常に興味深く読んだ。磯田さんは話もうまいが文章も大変読みやすい。情報量は多いのに言葉の選び方が的確で端的、具体的な事例や会話などで表現するのが抜群にうまい。こういう本はネタバレしすぎるのも何なので、特に心に残ったことを簡単に書いとく。
〇武士、特に陪臣のそのまた下、の中流~下流辺りの生活の実態はあまりわかっていない
〇そういう階級の武士は自分の所領がどこにあるのか把握していなかった(米などが上から与えられるスタイル)。よって、欧米などでいう封建主義とはちがう
〇武士同士の結びつきが強く、身分維持費ともいうべき交際費がかさみ使えるお金はわずかであった。下手すると下男下女より小遣い少ない
〇御算用者としての武士はいわば職人、常に不足していた
〇維新後に成功した元武士は、算用者が多い。この本に出て来る猪山家もその一人で、大村益次郎に重用され、大村の死後も海軍で順調にキャリアアップした。
〇武士階級の女性は、実家との結びつきが強く、嫁した後も何かと関わった。むしろ関係の広がりとしての役割を期待されていた
御算用者は書記的な仕事も兼ねていたので達筆であることも条件、というのも面白かった。確かに、夫の先祖(士族:会計方)の遺した文書は超達筆(すぎて読めない汗)。特にこの本に出て来る猪山の直之さんは筆まめで几帳面、お手紙などもキッチリ残していたという。親戚の誰それがどうしたこうした、今の世情がどうだこうだ、ってその時代を生きていた人の生の声だ。まさかこうして、100年以上のちの人間に読まれるなど想像もしていなかったのだろうが。
ああ、やっぱり無暗に捨てるものじゃない、と実感してしまうような本を読んでしまった。一向に片付かない我が家を見て溜息。
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