「君の名前で僕を呼んで」

子のおススメ【布教】本シリーズ。



「君の名前で僕を呼んで」アンドレ・アシマン 翻訳:高岡香
Call me by your name   Andre Aciman
映画が如何に忠実にこの世界を描いていたかがよくわかった。まんまこのイメージだ。ただ、映画では描き切れなかったストーリーがまた深みがあって更に良かった。映画の方の記事はこちら



 私は詩の世界は全く門外漢なのだけれど、この作品が極めて「詩的」であることはわかった。翻訳文がリズミカルで、長文の心理描写が多いのにかなりとっつきやすく、読みやすい。朗読もいけるんじゃないだろうか。かなり大胆であけすけなシーンも多いのだけれど、言葉がすっきり気持ちよく整理されているせいかまったく下品さはない。映画と同じく、一分の隙もない美しさだ。
 映画の梗概では二人の関係を「性別の枠を超えた絆」というように書いたが(今思うと陳腐な表現だw)小説の方を読んでみるとまた違う印象。絆というよりは存在自体が同じ、二人の存在が完全に一体化するという、まさにタイトル通りのことが起こる。
 それぞれに女性の恋人もいる二人だけれども、それは「肉屋とパン屋を同列に語れない」のと同じで、全く別問題なのだ。女性相手であれば自分は自分のままで対峙できる。だがエリオとオリヴァーはそうはいかない。自分が変わることを覚悟しなければならない……うーん、こんなことは考えてみたこともなかったな私は。
 映画の方は夏が終わり、オリヴァーが結婚の報告をするところまででさらりと終わるのだが、小説はお互い別々の人生を歩んだあと、再会するところまで描かれる。ここに至り、時間と空間に遠く隔てられていたあの短い夏の二人の存在はその輪を閉じる、永遠に終わらない、変わらないものとして。
 いやー痺れました。素晴らしいです。単なるBL小説と括ってはいけない、超絶美しく切ない、紛れもない恋愛小説です。

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