「ハーモニー」

子のおススメシリーズが続く続く。

 

単独で書いたものでは最後の長篇となる。「虐殺器官」と世界線が繋がっている。
「ハーモニー」伊藤 計劃

虐殺器官の後、一度崩壊しかけた世界はかろうじて復興、二度と同じ過ちを繰り返さないようにと超管理社会化する。すべての人が同じシステムをインストールして心身の健康から何からすべて管理を政府ならぬ生府に任せ、不調はたちどころに治療され、正しくない感情や行いは是正される。戦争も、犯罪も、喧嘩すらない「平和な世界」。そこは本当に天国となり得るか?
 冒頭のミァハのくだりは、どこにでもあるような夢見がちな少女の現実離れした思い込み、といった風情だが、その実お花畑だったのはこの世界の「現実」の方だったという落ち。度を越した刺激とそれに対する抵抗が意識を生むのであれば、「完全平和」を達成したこの先は何がそのトリガーになり得るんだろう?
 ああー続きが読みたかった。かえすがえすも惜しい。円城塔さんが完成させた「屍者の帝国」があるものの、意識というものが消失した世界が次に何処へむかうのか、彼自身の筆で読んでみたかった。
 今更多くを書く必要も無い。文句なしの名作です。
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