「虐殺器官」
子供が買ってきたシリーズその4(だっけ?)。これがデビュー作でしかも二年後に亡くなってるということに二度びっくり。死後にフィリップ・K・ディック賞取ってて、アニメ化もしてるのね。もっと生きてもっと書いてほしかったなあ。
内容は、ネタバレしてもいいようなダメなような判断つかないので、ちょっと下げとく。
【60字梗概】
人間が持つ大量虐殺を誘発する器官を利用し各所で内戦を起こした男を追いつめた米軍大尉は、自らの罪を贖うため同じやり方を自国に適用した。
うーん難しい。ここまで緻密に組み立てられた世界ごと短い文字数に押し込めるのって大変だ。もっと簡単に言えば「一人の男の贖罪の物語」なんだけど、これが書かれたのがおそらく911テロから間もない時期だということを考えると、色んな国の内部に首を突っ込みつつ戦争で儲けてきたアメリカのやり方に憤懣やるかたないところはあったのかもしれない。とはいえ当事者ではない日本人、その筆致はあくまでクールだ。むしろ距離が近くないからこそこの時期に書けたのかもしれない。洋画を見ているような展開とセリフ回し、翻訳もののような整然とした文章。そして全編にたちこめる「死」。この人が夭逝したと読後に知って驚いたものの、何となく納得はいった。
予感めいたものはやはり、誰にでもあるのではないかと思うのだ。
コメント
コメントを投稿