葵 十四(第二回平安女子会)
「はい」「はいっ」「は~い♪」
「それでは、只今から新年会兼第二回女子会を始めます。乾杯の音頭は、僭越ながら今回もわたくし右近がさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは皆さま、新年あけましておめでとうございます。そして長かった『葵』の巻も遂に最終章、大変お疲れさまでした! 乾杯!」
「(全員)かんぱーい!!」
……しばし飲食と世間話に集中……
「結局前と同じメンツなのね、右近ちゃん」
「そうなのよ王命婦さん。さっき語りをやってたお二人もダメ元でお誘いしたんだけど、大殿はまだ喪中でしょ。若君もまだまだ手がかかるし、女房さん達の頭数減っちゃってるから、中納言さんクラスが一人抜けたらとても回らないんだって。おもとさんの所はほら……落ち着いたとはいえまだまだ目が離せないし、斎宮さまのお世話もあるからって」
「それはそうよねえ……」(全員)
「でも、二人ともとっても残念がってた。 話したい事まだまだたっくさんあるのにーって」
「それはそうよねえ……」(全員)
「王命婦さん、ヒカル王子お元気でした? 久しぶりに参内されてましたよね」
「うん、流石のキラキラ王子もちょい痩せてたかな。桐壺院の所で出されたお食事もあんまり手を付けてなかったらしいわ。藤壺にいらした時は私が応対したんだけど、喪服の地味さがなんていうの、制服効果? 華やかな装いの院が弱ってる美青年を支えてる的な?とってもそそる感じだったわあ、不謹慎だけど」
「さすが王命婦さん……」
「目の付け所が腐……いや何でもない」
「春宮さまもお喜びでね。大将、大将ってそれはもうお可愛らしくて。王子思わず涙ぐんじゃったりしてね。そっくりなんだって、亡き奥様の忘れ形見と」
「ああ……」
「まあ、当然よね」
「あっ、グラス空きましたね! お注ぎします、ってもうない?!えっ?!」
うつろな目の少納言が空のグラスを両手で掴んでいる。
「しょ、少納言さんまさかこれ一人で(瓶カラ)」
「大丈夫? 目がすわっちゃっ……」
ダン! と音を立ててグラスが置かれた。
「おかわり」
「は、はいっ只今。王命婦さん、いただいたお酒もう開けていい?」
「勿論よ。だけど気を付けて、結構強いわよ」
「少納言さん、言いたいことは言わなきゃダゾ☆此処はそういう場なんだから。この侍従ちゃんに話してみて?」
グラスに、少しだけ酒が注がれる。すぐさまあおる少納言。
「んふー。何コレ、美味しい……」
「そうでしょ?ゆっくり飲まないと勿体ないわよ?頂き物だけどね。女所帯じゃ飲み切れないからって年末に下げ渡されたの。何せ贈り元が兵部卿宮さまだから物は確か」
「へーっ流石は藤壺! 羨ましーい」
「兵部卿宮、さま……」
少納言の目が宙を泳いだかと思うと、いきなり突っ伏して泣き出す。
「ちょ、ホントに何があったの少納言さん」
「ハンカチ!ティッシュ!」
「おおよしよし、さては若紫ちゃんのことね? 好きなだけ泣いたら全部吐き出すといいわ」
隣に座って背中をトントンする王命婦。号泣する少納言。そっとお冷やを差しだす右近。せっせと酒を注ぎつまみを分ける侍従。
落ち着いたら少納言さんの語りが始まります(ツッコミあり)。
参考HP「源氏物語の世界」
<葵 十五(第二回平安女子会)につづく>
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