「幻覚の脳科学 見てしまう人びと」オリヴァー・サックス
Hallucinations Oliver Sacks
ひっさびさの読書カテゴリ。こちらは阿部智里さんの「発現」の参考文献リストに載ってた一冊。読みたいと言ってたものをちゃんと読む、有言実行なアテクシエライ。
といいつつ読み始めてから読み終わるまで大分時間がかかってしまった。つまらないとか難しいとかではない。専門書ではなく「医学エッセイ」といった括りだ、むしろ相当読みやすいし頭に入る。だけど疲れるのだ凄く。数ページ読んではスヤア…となってしまったことは一度や二度ではない。夏だから?気圧の変化?それも勿論あるだろうが内容だと思う。
幻覚には色々種類があって、その原因も出方も様々である。映像、音以外にもにおい、触覚もあるそうな。すべては脳の成せる技であり、外部の何かではない、ましてオカルトな原因でも何でもないということなんだけれども、これだけ色んな事例をみていると、実存って一体なんだろうと考えさせられる。誤報を受け取ったか、誤作動かであるにせよ、その人にとっては「本当に起こっていること」だ。「マトリックス」じゃないけどすべては機械が見せてる夢なんじゃないかとかいうストーリーが定番なのも頷ける。
この著者、実際にドラッグやら麻薬やらを自ら試してどうなるか実験したというかなり無謀な方だが、あくまで科学的にどう究明するか、どう説明がつくか、を主眼として徹底しているところはすごいと思う。実際に、幻覚や幻聴、幻臭に長年悩まされていた人でも、彼の説明で納得いって乗り越えた例も少なくない。わけが解らないから怖いのであって、発現するメカニズムがわかってしまえば受け入れられることもあるのかもしれない。
それにしても「存在しない匂い」「自分の身体を抜け出ていく感覚」は、まさにひかるのきみ「葵」での六条御息所が体験した状態。平安時代の高貴な女性はそもそも閉塞した空間にいて、恋愛はうまくいかず娘は斎宮に選定されて何かとストレスがかかった状態の上に、車争い事件が起こってPTSD発症、となればそりゃああなるわな…と私的には凄く納得いった。ありがとうオリヴァー先生。まさか自分の本が遠く日本で源氏物語のおちゃらけ翻訳してる人間の役に立つとは夢にも思っていなかったろう。「レナードの朝」再度観てみます(観たはずだけど完全忘却:定期)。
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