おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

紅葉賀 十(オフィスにて♪)

2019年2月22日  2022年6月8日 
「ねえねえ右近ちゃん」
「なあに侍従ちゃん」
「これってさあ……」
「侍従ちゃんたら、聞くだけ野暮ってものよ夢小説なんだから」
「いやそれはわかってるんだけどさ、妙にリアルっていうかさー」
「典局さんも何かキレイになってるし?」
「そうよー。恋する女状態でしょ。そこは事実じゃん?」
 巻き上がる御簾。
「事実なのよ、彼女にとっては」
「王命婦さん!」
「あらお久しぶり!元気だった?」
「何とかね。やっと落ち着いたわ」
「七月は怒涛の忙しさだったもんね。まあそこ座って」
「あっそうそう!今更ですけど、藤壺の女御さま、中宮立后おめでとうございまーす!」
「ありがとう。若宮さまの夜泣きもおさまって来たからホントに楽になったわ」
「もう五か月でしたっけ。いやーん可愛いだろうなあ。見たいー!」
「可愛いわよ。何しろもうそっくりそのままだからね。生き写し
誰に……あっ(察し)」
「『尽きない想いにもう何も見えない……あの方ははるか高みに昇られてしまった
なんて呟いてらしたけど、もう流石にこうなっては何も出来ませんわアテクシたちには、て感じね。彼も宰相に昇進されたことだし、いい加減落ち着いてくれると助かるんだけど」
「……まあとにかくお疲れさま」
「お、お茶でも入れてきましょうか?」
いえいえお構いなく。すぐ行かなくちゃだから」
「愚痴なら心置きなく吐いていってね。今日は典局さんも宿下がりだし」
「あらそうなの?残念、お会いしたかったのに。藤壺でも大好評だったわ例のアレ。私、丸写ししちゃったわよ仕事する振りして」
「ちょw王命婦さん超多忙だったんじゃ。流石腐っ……」
「侍従ちゃんメッ☆」
「これにサインしていただこうと思ってたのよね」
(巻紙スラーーー)
「(笑)預かっときましょうか。頼んでみる」
「右近ちゃんいい?お願いね。じゃ私はこれで」
「またねー」
「女子会しましょうねー!」
 慌ただしく去って行く王命婦を見送り、結局お茶を入れて休憩する二人。
「やっぱり忙しいんだね王命婦さん。女子会まだまだ厳しそう」
「そらそうよ。今までは単なる帝の寵姫だけど、中宮ともなれば政治の世界にIN!だからね」
「えっマジか。何で?そもそも藤壺宮さまってすっごくお家柄がいいよね。ご親族全員宮家でしょ?」
「そこよ、全員皇族ってとこがミソ。摂関政治だからね、建前として皇族は政治に関われない。つまり今のまま今上帝が退かれたら、藤壺宮さまには何の政治的な後ろ盾もなくなるわけ」
「てことはあの若宮さまも……あ、そうか!つまり若宮さまを次の春宮にしたいわけね。ヒカル王子の時にできなかったことをするってことか」
「さすが侍従ちゃん察しがいい。今上帝の御代のうちに愛する藤壺宮さまを『中宮』という政治的に確固たる地位につけることで、若宮も守るっていう」
ぶっちゃけ、もう譲位の日も近いってことなんだよね。次の帝は今の春宮、つまり弘徽殿の女御さまの息子さん?まあ本人は特に害無さそうだけど、あのヒトが皇太后かあ……ヤバそう……」
「今上帝も思い切ったことをされたよね。二十何年も春宮の母として君臨してきた弘徽殿女御さまの頭越しにやったわけだから筋としては難しい。表立って文句は言えないだろうけど面白くはないわよ絶対」
「明らかに扱いがアレだもんね。あの方実際怖いから近寄りたくないけど、帝も罪な男よのうと思うわ……一番付き合いが長い正妻さんなのに最低限の事務的対応しかしないし、春宮さまより圧倒的にヒカル王子贔屓なのはもう見たまんまだし」
「今は帝お気にのヒカル王子を婿にしてる左大臣寄りの時世だけど、問題はこの後よね。春宮さまは右大臣の孫だから、即位したら色々とひっくり返るんじゃないかしら」
「嵐の予感……あっ!何コレ!」
「なあに侍従ちゃん大声出して。って何見てんの。王命婦さんが持ってきた巻物?」
「ある……あの、間の話が……!」
「えっどういう事?!まさか王命婦さん……遂にそんなところまで手を出……侍従ちゃん、読んだらすぐ回してね!」
「合点だ!」
(仕事どころでなくなったので規制)

 というわけで案外盛りだくさんだった「紅葉賀」終了です。
 中でも、源典侍とのくだりはいわゆる「スピンオフ」だったのでは、と推測しています。ぶっちゃけここにこの話要る?!何の関連が?!て感じだし、何より今までのノリと違う。ただ、典侍とのやり取りは結構凝っているし、頭中将とヒカルとの対決も生き生き描かれているところからして、紫式部自身が別個に書いたか、もしくは源氏の世界をよく知る筋金入りのファンが楽しんで書いたかしたものを突っ込んだのではないかと妄想しました。何にせよ回を追うごとに当時のひとかたならぬ源氏愛の熱が、ひしひしと感じられます。
 まさかこの辺りが授業や試験に出るとは思えませんが、そういうわけで相当改変しておりますので(いや全部そうだけど)改めて、良い子は真に受けちゃダメだぞ☆てことでよろしくお願いいたします。
<紅葉賀 了>

参考HP「源氏物語の世界
「窯変 源氏物語」橋本治
<花宴 一につづく>
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