おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

年末年始にかけ読んだ本

2018年1月9日  2023年9月13日 
2018年明けましておめでとうございます。
旧年中、このような辺境のブログにわざわざお越しいただきました皆さま、誠にありがとうございました。今年はおさ子のまとめサイト的なものを作ろうと目論んでおりますので、その節にはまたどうぞよろしくお願いいたします。今年中に公開できることを祈って、あえて発表(背水の陣)。

多忙な時期を縫って読んでいた本。例によってネタバレ注意です。

 
「童話物語」
上 大きなお話の始まり
下 大きなお話の終わり 向山貴彦
中学生の子供の成績が上がったご褒美に買った。本人はあっという間に読了、「おかーさんも読んでみたら?」とほぼ無理やり押し付けられた由。


60字梗概
世界を滅ぼすか否かの問いを解くために来た妖精フィツと孤児ペチカが共に旅をし、人心を惑わす魔物と戦い勝利、世界は継続する。

設定として、指輪物語のごとく壮大な言い伝えがあったが残存しているのはこの話だけとされている。元々映像にするつもりで製作したらしく、その世界で使われている言葉や道具、仕組みなどイラスト付きの資料あり。物語自体はオーソドックスで、旅立ち→戦い→勝利→成長といった王道な構成。
妖精フィツが終盤までほぼ役立たずなのに対し、ペチカが人間としてのいい所悪い所を含め全て持っていて、したたかに物語を引っ張っていくところが面白い。主人公格としては屈指の性悪さがいかにも人間臭く、中々に痺れる。アニメ化してくれないかなあ。真夜中枠必至だろうけど。


「悲嘆の門」上中下 宮部みゆき
「英雄の書」の続編というか、サイドストーリー?のようなもの。

60字梗概
男子大学生が殺人事件に巻き込まれ、異世界の守護戦士から能力を借り犯人達を裁くが、自らの誤りに気づき現実に呼び戻される。

「英雄の書」の世界と繋がる話なのだが、やはり危惧していた通り、現実世界からファンタジー世界に移行するあたりから正直少し白けてしまった。ファンタジー世界にリアリティが感じられない、というのも変な話だが、どうにも主人公の振舞いに必然性を感じられない。ガラの力を借りて悪者を成敗するにしても、怒りにかられたとはいえ相手にたいしストレートにお前が犯人だろう!と言って強引に自白にもっていくのはさすがに唐突感がいなめない。せっかく言葉を読む能力があるのだから、それで都築と協力し証拠を調べ上げて真っ当にスピード逮捕に持って行く、という形の方が主人公のキャラにも合っているし、終盤の事件での「闇堕ち」にも説得力が大いに出たと思う。
主人公をはじめ登場人物の背景や性格、抱える事情などはもちろん丁寧に作り込んであるしまとまっているのだが、それが現実世界を離れた途端にバラバラに四散してしまった感がある。最大に残念だったのは、主人公がバイトする「サイバー・パトロール社」の扱い。いたく興味を惹かれる設定なのに、その業務に関してほとんど言及がないしストーリー運びにもさして関連性がなかった。これを主テーマにしたら社会派小説が何作も書けそうなのに…。惜しい。
ただ言葉の根源の世界の構成とその描写は精緻で、凄みがありとてもいいと思った。終盤からラストに向けての流れには、宮部さん自身の、言葉に対する畏れを含んだ真摯な姿勢が伺える。だけど、やっぱり私は社会派な作品がいいなあ…。個人的な好みに過ぎないが。 にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ
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