2013年2月21日木曜日

2月に読んだ本 その2

「銀婚式」篠田節子 

例によって新聞で連載してた小説の続きが気になって。うちは三大新聞を六ヶ月ずつローテーションしてるのでこういうことになる。ただ、まったく読む気になれないものも中にはあるので、新聞連載だからといってすべて面白く読めるとは限らない。好みもあるけど、大多数の読者に訴えるとしたらある程度その日の分のトピックみたいな部分て必要なのだろうなあ。毎回でなくとも、だいたい◯◯字くらいで引きを作る、みたいな。

この作品は日曜版掲載なので字数はわりと多く読み応えがあった。もちろん篠田さんなのでいつも期待を裏切らない安心のクオリティ。毎週楽しみだったので新聞が切り替わるときは少々悲しかった(といいつつ店頭で当該新聞を買うところまではいかなかったけど)。

今回全部通して読んでみて思った、これはまごうかたなき「新聞小説」だと。一人の男の十数年が描かれているのだが、いわゆる一面に載るような大事件から、三面記事、家庭欄にいたるまですべて読者の「目を引く」ようなファクターが詰め込まれている。大会社破綻や世界的なテロ事件に巻き込まれた普通の人々、熟年離婚、大学生の学力低下、嫁姑・介護問題、子の受験、中年の恋愛・・・要するに「下世話」なのだ。個々のエピソードがまたいちいち極端というか、ありそうで無さそう、無さそうでありそうな感がまるで2ちゃんのまとめサイトみたいだった。広大なネットの海の片隅で、嘘か本当か、誰が書いているのかもわからない書き込みが、下手な小説より面白い場合が往々にしてあるのだが、これはもしかして篠田さんの、作家としての挑戦なのか、それとも諦めまじりの敗北宣言なのか。よくわからないがとにかく、読み出すと止まらない面白さではあった。タイトルも秀逸。その理由は読めばわかる。

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