2013年2月11日月曜日

2月に読んだ本

「血霧」パトリシア・コーンウェル

おお、もう19作目になるのか…最初からのファンとしては感慨深い。
主要な登場人物たちは相変わらず完全無欠、なのに(だから?)様々なトラブルに巻き込まれる。ちょっとやそっとのトラブルではない、心身ともに傷つき疲れ果て、命の危険に何度も晒される。何でも持っているはずなのに幸せになれない。誰もかれも悲惨な殺人現場や状況を知りすぎている故か、あまり神を信じてるようにみえない。真に信じられるのはただ自分のみ。
日本のように八百万の神がいるわけではなく、自然からもたらされる恵みや災害を荒御魂・和御魂とみなし、人の力の及ばないものとしてある意味「諦める」といった宗教観もない。個人の能力には限界があり、いくら努力しても細心の注意を払っていても、抜けることはあるしミスもする、どうにもならないことはあるのに、人並み外れた優秀な頭脳を持つがゆえに納得することができない。能力に見合う高いプライドが、負けることを認めず、許さないのだ。
シリーズを通してずっと作者が書き続けているのは、ひたすらに個人を磨き高めていくというアメリカの「理想」の限界ではないのかなと思う。

個人的に大好きなマリーノが、今回とくに情けないというかかわいそうな立場で胸が痛んだ。この人には幸せになってほしい。ケイやベントンやルーシー、といった人たちに囲まれてはさぞかし普段から辛い思いばかりだろう。カウンターパートとしての役割なんだろうけど、ならばもうちょっと平凡な幸せを与えてあげてもよいのでは・・・でももう、マリーノ自身もこのメンバーから離れたらそれはそれで面白くないのかもなあ。極度に魅力的な集団(しかも自分は絶対にその一員=完全に対等な立場にはなれない)というのも罪つくりだ。

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