おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「ひかるのきみ」復活♪ 「桐壺」の背景

2010年9月26日  2022年6月8日 
以前、もうひとつのブログで不定期に連載?していた、大雑把な源氏物語訳、を復活させてみる。
しばらくは元記事を手直ししつつ再録、その後はぼちぼちと更新予定。

まずは源氏物語に対する勝手な持論。
源氏物語は、あらゆる少女漫画の大元である。
身分違いの悲恋によって生まれた、容姿端麗・頭脳明晰・運動能力にも長けた、非の打ち所のない主人公が繰り広げる恋の数々・・・

相手は人妻であったり、
誰とも知れぬ街の女であったり、
セレブで聡明な未亡人であったり、
亡き母にそっくりな義母であったり、
その義母にそっくりな少女であったり、
お局様であったり、
落ちぶれた深窓の令嬢であったり

・・・・えーと、レディコミか?(笑)。当初は女房たちの間で回し読みされていたから、女性週刊誌のような性格もあったかもしれない。身近な人や事件をモデルにしてるし。

つまりわりと下世話なんである。

ただ、そのドラマが繰り広げられる舞台というのが、現代とはかなり違う特殊な世界ではあるので、その前提を理解するとしないとでは入れ込み方がかなり変わる・・・かもしれない。

そこで以下、やんごとなき古典にとっかかるためのテキトー説明。

平安時代の宮中とは、ものすごく大雑把にいうと、姻戚関係でガッチガチに結ばれた同族経営会社のようなものであった。

中国から取り入れた冠位制はこのころにはすっかり定着、明確な序列と職の区分により階層化された宮中で、当時の日本人の人口一パーセントにも満たない貴族が、より有利なパイを奪い合っていた。ポイントは、トップにいただく宮家とどの程度血縁関係で食い込めるか、であった。

社長もしくは会長にあたるは、とにかくかしずかれるのが主な仕事。
実際の経営は、役員トップ(太政大臣)以下の部下(臣下)にすべて任せている。
採用基準は一に家柄、二に政治力(コネ)、三に経済力、四に能力といったところだろうか。女子の場合はほとんど「コネ」の大小により配属先も決定されていた。
さて、この会社における男性社員(貴族男子)の最大の目標は、

「自分の娘を社長夫人にしてあととりの男児を産ませること」

社長(帝)の息子の祖父、つまり次期社長候補者(皇太子:東宮)の祖父になることは事実上会社の実権を握るということであった。かくていかに自分の娘を見目良く整え教養と嗜みを兼ね備えた「美女」に育て、社長(帝)の元に送り込むか、と画策するのが上級管理職またはそこを目指す者(大貴族)たちの重要な仕事だったわけである。

のちに源氏の母となる桐壺の更衣は、家柄こそ宮中に参内できる程度に高かったが、父を早くに亡くしていたため「後ろ盾」というものを持っていなかった。父親が常務だとか支社長だとか、最低でも部長クラス以上であるという華やかな女性社員(お妃)たちの中にあっては本来、鼻もひっかけられない最底辺のいち社員でしかないはずだった。
「更衣」とはいえ実際に働くのは女房たちであって、ただ「帝の妻候補としてプライベートスペースに出入り可能な上級貴族の女性」というだけである。女御よりは身分が下だが、気に入られて運良く帝の子を妊娠ということにでもなれば、身分は低くても一応生活は保障されたし、非難されることもなかった。厳然たるヒエラルキーがそこには存在していて、帝の一時の気まぐれ程度では揺るがなかったからだ。

ところが帝の、更衣に対する愛情は、一時の気まぐれと片付けられる程度のものではなかった。昼となく夜となく毎日のように彼女の元に通いつめ、東宮を既に産んでいる北の方や他のやんごとなき后たちの面目は丸潰れとなった。

あんなぺーぺーの新人OLにしてやられるなんて!きいぃい!

非難ごうごう、嫉妬の嵐、会社(宮中)の連中はこぞって彼女をいじめたおした。何しろ皆本物のお局であるから洒落にならない。彼女は心身ともに疲れ果て、男児を産んでまもなくこの世を去る。

男の子は帝の御胤であるかられっきとした皇太子だが、前述のように「母の父親=祖父の後ろ盾」がないため、そのままだと王位継承権は最底辺、不遇な一生確定である。そこで帝は息子に源氏の名を与え臣下におとした。
后たちやその父親たちの怒りを鎮め事態を収拾するためでもあり、また母を亡くした不憫な子に、自由に自分の道を切り開くチャンスを与えようという親心でもあった。

かくて母の顔を知らない男の子は、父の蔭のバックアップを受けつつ、頭も良く何をやらせても人並み以上の超イケメン青年に成長していったのであった。

・・・などと、のっけからジェットコースターな感じで話は始まるのである。
<不定期に続く♪>
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