2010年1月12日火曜日

一月に読んだ本 その一

「野口健が聞いた英霊の声なき声」戦没者遺骨収集のいま

世界的なアルピニスト・野口健さんが、戦没者遺骨収集に関わっている、ということを知っている人はどれくらいいるだろうか?
戦争体験のない三十代の野口氏は、登山で死にかけたことをきっかけに、異国の地で死ぬことの孤独を知った。「待てよ、戦争で亡くなった人たちは一体どうなっているんだ?」
思いを形にするべく、積極的に仲間を得、ともに根気強く国に働きかけた結果、制度の不具合は是正され、民間組織の動きは格段に良くなり、収集数も飛躍的に伸びたという。
「思っているだけではだめだ。まず現場に行く。動いてみて考える。考えたらまた動く。それで何かが変わるはずだ」
耳が痛い。それというのも私は以前、沖縄の遺骨収集をテーマに小説を書いたことがあるのだが、えらく中途半端なシロモノだったから。野口氏の行動力を見習い、いっちょ書き直してみるか?
遺骨収集事業は、当時を知る人の高齢化も進み、あと五年が勝負らしい。心から応援したい。

「妖怪大戦争」荒俣宏                 

映画化もされた、ややお子様向けの作品。だが水木しげるへのリスペクトがそこここに見られ、初期の「ゲゲゲ」世代にも楽しい。妖怪たちは誰もかれも呑気で怠け者で超弱くて、とても外からやってくる妖怪に敵わない。救い主の子どもも、弱虫泣き虫。頼みの綱の霊剣も、敵の攻撃であっさりポキン。おいおい大丈夫か?
折れた剣を直すのに「一本だたら」という妖怪の技術が必要・・・なるほどこれはやはり全き日本の物語だと確信。そうそう何でも日本風にアレンジしたったらええねん。
ところで悪役二人の関係がかなりエロい。ここだけ子供向けじゃないぞ。




「誰か」宮部みゆき

自転車にぶつかられて死んでしまった元運転手を巡る人間ドラマ。いわゆる「逆玉」に乗った主人公の男の「完全無欠な人生」への漠とした不安の描写が秀逸。多分一般人からしたら「甘い」「贅沢」「ヌルイ」と一刀両断にされるようなたぐいのもので、本人もそこは承知している。故に表に出すことはない。だが作品中の一般人には、それをいけすかない余裕と嗅ぎとられ、散々言いたい放題されてしまうのである。
大企業のトップである義父も含め、人もうらやむような位置にいる人は、このような圧倒的な孤独に耐えねばならないのだろう。辛そうだがちょっと憧れる。そう、主人公は「頼りないマスオさん」タイプにも関わらず何となくカッコイイのだ、言い訳しないところ、幸せに溺れ切っていないところ、とかが。

それにしても全然脈絡のないラインナップだ。まあいつものことではあるが。

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