「言語の七番目の機能」
ローラン・ビネの本、もう日本語訳した作品は他にないみたいなのよね……ああああ。
「言語の七番目の機能」ローラン・ビネ(2015)訳 高橋啓(2020)東京創元社
何もかもド素人でしかない私の印象を一言でいうと
「薔薇の名前とダヴィンチ・コードとフランスのエスプリ足しっぱなし」。
何を言ってるかわからないと思うが私もワカラン。ワカランが面白かった……この面白さをどう伝えたらよいのかわからない。筋としては「紙に書かれた言語の七番目の機能」を巡って警視と記号学者の若者が謎解きしつつ真犯人を追う紛れもないミステリー&サスペンスなのだが、途中途中でバンバン出てくる哲学記号学宗教学その他もろもろの議論?が濃すぎて、頻繁に
「何もワカラン」
となる。なるんだけど絶妙に筋立てとのバランスがいいのか悪いのか、なんだか先が気になって読まされてしまう。ビネさんの特徴として、「登場人物が気づいていない何かがそこにある瞬間」を入れ込みがちというのがあるんだけど、本来映画のようなアクションシーンになるだろうところが、何と言うか「自然にそうなった感」が強い。うーん、「これまでの諸々が積み上がり組み合わさって必然の結果に向かう」というニュアンスかな。いやそれ何でもそうだっていえばそうなんだけど。例えば同じ場にこの人物がいたことに気づいてない、とかそういう書き方。作者と読者しかわからない視点で、ネタバレということではない「ハラハラドキドキ」の仕組みを構造的に教えられつつ読まされている感じ?(やっぱ意味不明ですねすみません)
そして「薔薇の名前」と同様、途中の長い議論とか勝敗の理由とか、哲学や記号学や思想とか、理解できるできないはあんまり関係ない。現実世界においてはこういう思索のすべては夢幻、机上の空論でしかないという結論に辿り着く。たまにはうまくいくこともあるかもしれないけどね、たまにはね。でも絶対はないよ、と。それにしてもビネさんの中で日本と日本人はどういう位置づけなんだろう?日本をテーマに何か書いてくれないかなあ。私の解釈としては、七番目の機能って要するに日本でお馴染みのアレだと思うのよね。平安時代に流行ったアレ。言霊信仰はフランスにもありそう。
面白かったです!

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