おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「悪魔のひじの家」「歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理」

2024年8月25日  2024年8月25日 

 なかなか暑さが緩まないですねえ。むしむしの夜にはミステリーですわ。


「悪魔のひじの家」ジョン・ディクスン・カー 訳:白須清美(1998)

The House at Satan’s Elbow  John Dickson Carr(1968)

 カーの作品は「夜歩く」を大昔に読んだけど例によって丸っと忘れてる……その他もいくつか読んだ気もするけど、全作品制覇!というほどにはハマらなかった。密室殺人ものの大家なのね。

 これは図書館でジャケ買いならぬタイトル借りした。なんか不穏でいいよねえ。イギリスの話だし「悪魔のひじ」(作中では邸のある一帯の呼び名)って文字通りの意味の他に何か隠れた意味があるんじゃないかと思ったが、わからなかった。作者は生まれも育ちもアメリカだが英国人の妻がいて一時期イギリスに住んでたらしい。

 前置きが結構長いのはS・キングで慣れてるのであまり気にならなかったが、ニックとその友人ガレットの話はともかくとして、ニックの叔父、その妻のディードル、叔母、謎の女フェイ、が出て来たあたりでの会話が何というか、話がまとまらなさ過ぎてキツかった。人間年を取ると質問されたことにスパっと答えられなくなるというが、この話が全然進まない感じ、戻って来られない回りくどさ、ズレっぷりには辟易する。これは作家自身の老いのせいなのか、英国人(昔ながらの教養ある上流階級の老人)を皮肉ってワザとこんな風に書いてるのか、私には判断できなかった。翻訳が読みにくいというレビューが多かったけど、翻訳者のせいじゃない気がする。文章自体はキレイだった。ただ会話が苦痛。

 というわけで「英国風ウィット(←が何なのかよくわかってない)」「年寄りの繰り言」をウンザリするくらい堪能しました。なんやかや楽しんだのかもしれない。


「歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理」三津屋信三(2023)

 此方も図書館で、そういや三津屋さんの最近読んでないわーと思い、おっ結構新しいやつだなと手に取ったら、

 ハイいつもの来たー。

 カーの作品メッチャ出てくるううう。いやね、多分両方の本に出てくる謎解き役の人達にとってはこういうのまさに美味しいネタでしかなく、キッチリ理由や原理を組み上げてくれるんじゃないかなーと思います。思いますが。何かこう本から引き寄せる電波かなんか出てて、それに感応してるんじゃなかろうかと毎度ヒエっとなる(オカルト)。だから図書館や本屋通いはやめらんないのよね。電子書籍じゃこうはいかん、多分。

 この本も上記の「悪魔のひじ」と同じく一見オカルトチックな怪事件を解きほぐしていく形なのだが、会話が普通なので全く疲れなかった(←)。むしろ全編を通じて共通の二人の対話が入って来る構成なので非常にすっきりしてわかりやすい。

第一話 歩く亡者
第二話 近寄る首無女
第三話 腹を裂く狐鬼と縮む蟇家
第四話 目貼りされる座敷婆
第五話 佇む口食女

 タイトルこそおどろおどろしいがホラー苦手な人でも安心して読める親切設計だ。ただ、幽霊化け物関係なくてもこういう体験は実際したら怖いよな、という話には違いない。まだまだ暑い夏の夜にはいいかも。

 ちなみにこれはとあるシリーズの一つではあるのだが、他が未見でも全然大丈夫とだけ言っておく。

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