おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「デンデラ」

2024年7月14日  2024年7月14日 

 例によって映画を先に観て後に原作を読んだ。例によってTwitter(x)で見かけて。



「デンデラ」 天願大介(2011)


 年を取り口減らしで山に捨てられた婆たちが「デンデラ」を造り婆だけで生きていく、しかし過酷な現実が次々とデンデラを襲う……という話。

 何というか、本気で登場人物ほぼ全員お婆さんのみでビックリだった。さらに監督さん、「楢山節考」の今村昌平監督の息子さんなのね。出演者はいずれ劣らぬ美熟女ばかりだというのに、ビジュアル含めガッツリ婆!だった。それでも主人公のカユ役が浅丘ルリ子さん、ボス役が草笛光子さん、片目の穏健派ボスが倍賞美津子さん、なのはすぐわかったけど、山本陽子さん!全然気づかなかった(かなりかっちょええ役)。他にもエッあの人が!って有名女優さんばかり。ようもまあここまで徹底して婆ズ映画を作ったものよとただただ感心するしかない。

 ハリウッド映画ならばもっとバカバカしくコミカルに「婆たちの強さ」を強調したかもしれないが、これは「楢山節考」(未見)の続きでもあるらしい。一度山に捨てられた婆たちはそれぞれにたくましく強気なものの、身体はあくまで普通の年よりなのである。その無力さを残酷なまでにそのまんま描きつつ、どう考えても無理な相手に立ち向かう姿は悲壮にして痛快。とにかく女優さんたちの演技がすごすぎ。厳寒の現場で大変だったらしいが、女優魂半端ないです。

 ただラストはよくわからなかった。唐突感があり、カユさんの今までのキャラと合っていない気がした。

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「デンデラ」佐藤友哉(2009)

 というわけで原作も読んでみた。佐藤さんの作品はこれがお初。この表紙、吉村昭の「羆嵐」そのものじゃん。と思ったら案の定、北海道出身とな!

 語り口が独特。民俗学めいた心理劇・サバイバル活劇を民話口調で語られてる感じ。読みやすいと見せかけて詰めっつめで超濃厚!な内容だったので、私にしては読むのに時間かかった。なるほど、これは映像化するの難しいかもしれない、特にラスト近くは。

 というのも小説では羆の独白が随所にあり、カユの心象とシンクロする様子が明確に描かれているのだ。だからこそカユは最後にああいう行動を取ったわけなのだが、その複雑な心の動きを映像で表現……むー、まず二時間じゃ尺が足りない。緻密に積み上げたエピソードが端折られてしまうと、途端にわからなくなってしまう。疫病騒ぎなんてすっごい重要なのに、映画では多分「雪崩」が代わりになってた(いや無理よそれじゃ)。ドラマ化したらよかったのに。婆だらけのすごい絵面になりそうだけど、それちょっと観たいかも。アニメ化でもよき(間違いなく深夜枠)。どこか企画しないかしら。  

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