おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「J・エドガー」「パブリック・エネミーズ」

2024年9月20日  2024年9月20日 

  暑すぎてお外にいくと分単位で体力がゴリゴリ削られてくのを感じる。もう暑いのいらんー。いい加減にしてえ。

「J・エドガー」クリント・イーストウッド

J. Edgar Clint Eastwood(2011米)

 FBIの初代長官であるジョン・エドガー・フーバーの半生を描いた映画。監督がイーストウッド、主役はディカプリオとくれば一筋縄ではないとすぐわかるが、この主人公「エドガー」がまず以て癖つよつよなヤバい人物だった。

「科学捜査」が導入される前の警察捜査、現代のクライム物を見慣れた私たちには「うわー」となる雑っぷりである。現場保護なんて概念のない時代はこんなもんだ、と映像でガッツリわからせてくれるクリント監督。さらにアメリカ映画やドラマでよくある、

「地元警察が捜査してる現場に『FBIだ』と乗り込んできて散々ケチをつけまくった挙句証拠品やら何やらをかっさらっていく」

 の元ネタみたいなシーンもちゃんと作ってて笑った。

 作中でのJ・エドガー、超絶有能な仕事デキ男なのは確かだが、決して道徳的・倫理的とはいいがたく、かなりの権威主義だし傲慢だし差別的で嫉妬深く疑り深い。年を取っても丸くなるどころか俺俺俺で隙あらば自分語りの、裏に引っ込もうとしない老害ガンコ爺そのものだし、端的に言ってそうとう面倒臭い(この人物を十代から晩年まで演じ切ったディカプリオすごい)。「いけすかないFBI」のイメージの元もこの人なんじゃなかろうかとも思えてくる。こういったなりふり構わず自分の道を突き進むパワーこそが、あの時代に大改革をものするには必要だったんだろうけど。

「FBIの知名度を上げ広く一般大衆に重要性を理解してもらうために、マスメディアのみならず漫画やドラマ、映画等のエンタメを積極的に利用」

 したのも、この人が初なのかどうかは知らないけど、結構成功はしてるように思った。犯罪者を「社会の敵」とし、捜査をわかりやすい勧善懲悪の型に嵌めたのは良きにつけ悪しきにつけ、大衆の意識に刷り込む方法としては有効だったろうし、その後の創作物に与えた影響も計り知れない。なんといってもはぐれ刑事ダーティハリーを作り上げてヒットを飛ばしたイーストウッドが、FBI初代長官の映画を撮ること自体面白い。「科学捜査の限界」をつきつけるようなエピソードもしっかり入れてて、幾重にも皮肉が効いてる。

 情報の重要性を誰より早く認識し、その怖さも誰より骨身に沁みて理解していたJ・エドガー。派手さはないものの実にお見事なラストシーンだった。


「パブリック・エネミーズ」マイケル・マン

Public Enemies Michael Mann(2009米)

 此方はタイトルまんまの「社会の敵」NO1とFBIに呼ばれた、銀行強盗にして脱獄王デリンジャーの半生。主役はジョニー・デップだが、最初の頃え?これほんとにジョニー?違うくない?などと迷った。俳優さんは表情のみならず顔つきからして変えられるんだなあ。すごい。

 今作はまさに上の映画と同時代、FBI絶賛売り出し中のさなかである。科学捜査といえどもまだまだ初手、盗聴しまくり・暴力恫喝脅迫ありの無茶な取り調べ・ガサ入れイコール銃撃戦、の大変バイオレンスなシカゴの現実がこれでもかと描かれる。ただ、ここで出てくる強盗チームは人質をむやみに殺さない(盾にはするが)。必要とあらば男は容赦なく殴ったりするものの、女性にはあまり手荒なことはしない。警察側(FBIも含む)の方がある意味よっぽど暴力的だったりする。

 ただデリンジャーのチームは度重なる銃撃戦のたびに一人減り二人減り、遂には味方のはずだった仲間にも見放される。デリンジャーが有名になりすぎて警察の追及もキツイということもあろうが、何より、

「複数チームで銀行を襲って現ナマを奪う→捕まったら脱獄して繰り返す」

というやり方がもう金儲けとしてはコスパが悪すぎると見なされての離反だ。もっと楽に・警察にも睨まれず稼げる手段があるのに、何でいつまでもお尋ね者に関わらねばならんのだ、と。物理的な力と金とで繋がっていた関係はかくも脆い。やはり最後に残るのは損得関係ない「愛」なんだろうか、とベタな結論に落ち着く。

 もう15年も前の映画だが、街中がこういう状況ならばフーバー長官が何とかせねば!と考えてガンガン邁進していった気持ちも理解できる気がしてくる。してみると世の中少しはマシになってるんだろうか。それとも別の形になってるだけで大して変わらないのか、もしくは悪化してるのか。わからない。

 映画としてみるとドンパチ場面が往年の映画のオマージュなのか?さして盛り上がりもなく格好よくもなく(ジョニーは格好いい)、ひたすら野蛮に描かれてるせいかレビューはあまり芳しくないが(わからんでもない(笑))この順で観たのはよかった。私は楽しめました。

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